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魔王娘の護衛に配属された!??  作者: うなぎ昇再
第4章 軋轢恋慕
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第28話 奴隷攫い

むくむくと太った黒ローブ服の男が目の前で目を輝かせている。


胸部の中心には円形のエンブレムが付けられている。


そこには獣に首輪が嵌められたデザインが印されていた。



「男の方はどうでもいい、女は中々イケるな」



下卑た笑みを浮かべて男は舐め回すようにキハリの全身を見る。



「あんた誰?」



聞くと男は目線をオレの方へ向けてノロノロと歩み寄ってきた。



「こりゃあー挨拶が遅れたな、俺様はスレパラダ団員のロワクラ=リファビってんだ。


よろしく……なぁっ!」




短い自己紹介が終わると同時に腹パンされた。


手加減なしの威力に思わず腹を抱えて膝を着く。



「くっ…」


「ナベチっ!」


「言ったよな、男はどーでもいいんだわ。


これから商品になるお前に喋る権利はない。


そしてそこの女もだ!」



指を指して満足そうにニタニタ笑っている。


と思ったら急に思案顔になった。



(容赦なく入れやがってクソ……今商品って言ったのか?もしかしてコイツ…)



「人攫いなのか?」


「正解と言いたいがそこに限定すんなやぁっ!」


「うっ…」


「やめてっ!」



腹の次は顎を躊躇なく蹴られた。


あまりの衝撃に脳が震え、仰向けに倒れる。


戦闘不能状態に陥ると標的が切り替えられた。



「男の癖に情けねえなー、それでも玉ちゃん付いてんのかぁ?


さてさてぇ〜ゲヒヒヒ、おんなぁ〜


商人に渡しちまう前に野外でたっぷり楽しんでやんよぉ〜」



打鍵するようなやらしい手付きで襲いかかろうとする。


無抵抗で捕まるわけもなく掌をローブ服の男へ向ける。



「アングマ・シャイン!」



地の利を利用した目眩ましかつダメージも与えられる攻撃、やったか?





視界が晴れると男は何食わぬ顔でチョップの構えをしていた。



「あん?なんですかいこれはぁ〜?新手の手揉みマッサージか何かかな〜?


ド素人みたいな手際だなぁ〜?どれ、優しいお兄さんが手本を見せてやろう〜なぁ?」



「や、やめろっ…!」



頭への響きはだいぶ治まったが思った以上に腹に受けたダメージが大きい。


通る声も出せない程に。



落ち着け、考えるんだ。岩人形を倒した時にキハリが言っていた事を思い出せ。


確か第1階位魔法はあのクソサイコ(魔王)と同じ属性だからイメージも同じでいい。



いや、それだけじゃ足りない。


ついさっき第1階位があの男に無意味だったのは目の前で証明されたばかりだろ。


これにもう1つプラスαで決め手になる力があれば……っ!…


そういえば魔王に連れてこられた荒野でカバみたいなモンスターを相手取った時。


一瞬だったけど目覚めたよな。

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