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魔王娘の護衛に配属された!??  作者: うなぎ昇再
第4章 軋轢恋慕
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第26話 透明な拳

モンスターとやっと対峙した好機、だが逃げられない。


というか、心地よくて此処から動きたくない。


だって時間が経過するごとに肩が解れてくんだもん、仕方ないよな。



「こんなトコで油売ってていいの?」



洞窟の暗闇へ一直線を決め込もうとしていた足先はなんとか岩人形と睨めっこし合う現場へ向いた。


だが相変わらず冷たい視線だ。



「肩凝りが取れて蕩けそう…あと5 分…」


「何分だろうとめっ!」


「!?っ今のもう1回!」


「?…めっ!」


「女性が爪に塗るのは?」


「ラメっ!」


「恥ずかしく拒絶するのも?」


「らめっ!って何言わしてんのーーもう!!」


「ぐはっ」



突発的な無茶振りに恥じらいを隠せず石ころを投げられおケツにクリーンヒット。


モンスターよりよっぽどそれらしい攻撃力じゃないか。


かなりジンジン痛むけどいいもん見れたな。


そんなどこかにいそうな芸人のコントみたいな絡みを見せられた岩人形が更に激昂する。



「目の前でイチャつくなぁーー!!


いいから早く披瀝を聞かせろーーー!!!」


「此処に来た目的でも答えればいいのか?」


「そうではない、その女子とはどんな関係だ?」


「何だそれ、ただの旅仲間だよ、まだ会って数日しか経ってない」



そう言うと背後で何故かプクッと不満そうに頬を膨らませるパーティがいるが置いておいて。



「で、もういいか?鼻離してもらっても」


「関係がつまらんかったから離さない」


「参ったな、どう答えたら正解なんだ」


「あーもうじれったいわね」



ピントを合わせて掌を2人へ向けるとその周りが黄色く淡い光に包まれる。



「アングマ・シャイン」


「ぐおぉぉぉ!」



眩い光が差すと何時の間にか岩の摘みから解放されていた。


足元には無数の砕けた大小ある岩石が転がっている。


今発動したのもダイバーシティスキルの内の1つなのだろうか。


でも生活で役に立つスキルとしか言ってなかったから攻め系統は含まれてないよな。


考えに耽って難しい顔をしていると心を読んだかのように疑問に答えてくれた。



「これは第1階位魔法アン&グレイ&マジック、この世界ワーミラで総人口およそ1億人を占める中誰もが扱える術。


赤ちゃんでもその気になれば使える基礎中の基礎。


属性ごとに語尾に付ける詠唱が違うわ、私はシャイン、ナベ……尋奈辺くんはベアハンズね」


「第1階位にベアハンズか、オレでも使えんのかな?」


「魔王様とイメージの特訓したんでしょ?その時の感覚をマスターできたなら楽勝なはず」



あの死闘を繰り広げてる間キハリだけ神殿に残って日課の執事業務を熟していた。


あまりにも2人の帰りが遅いから行き先は伝えられていなかったが修業場所に選びそうな所を探して発見したみたいだ。


魔王はその日何処ヘ行ったのかは不明。


キハリの発見とジャジダ兄弟による蘇生がなければこうして再び頑和を探す目標だって立てられなかった。



「またイメージしないとなのか、具体的にモデルにする対象物とかどうしよ?」


「階位魔法のイメージも属性ごとに違うからね、あなたと同じ属性の魔王様はまず格闘家になったつもりで拳を一突きするなんて言ってたな」


「突きねえ、真似すんのは癪だけど強さには変えられない」



目を閉じて意識を集中させる。


一点の汚れもない真っ白な道着を身に纏い、まだ労苦を知らない白帯で気持ちを引き締める。


そして不純な精神を払うように喝を入れ、拳を前へ。



"ボオッ"



「おお!拳の先っちょから透明な何か出てる」


「飲み込みが早いね、それがナ…尋奈辺くんのだね!


あの人と瓜二つ…あっ!魔王様と瓜二つだよ!」


「せっかく濁したのにわざわざ神経を逆撫でする方に直すな」



獣化、第1階位魔法の取得、まだまだどれも出来立てホヤホヤの代物だけど伸びしろはあるはずだ。


じっくり磨いていこう。


微量だが手応えを掴んだ拳からは陽炎がメラメラと静かに闘志を零していた。

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