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魔王娘の護衛に配属された!??  作者: うなぎ昇再
第3章 最愛を追って
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第19話 影の兄貴

「ねえ、どうしてナベチが死ななくちゃいけないの?」


「本人達にしかわからない悩みがあったんだろう、きっと」


「悩みって何なの?クラスのみんなからは愛されてるし、学業、運動は正直あんまり振るってなかったけどいつもやる気満々で充実してたと思うのに…」


「ホントに惜しい奴を失ったよ、努力に見返りを求めない底なしのチャレンジ精神には部員みんなが一目置いていたし。


代わりにはなれないけどあいつの果たせなかった分まで挑戦する心を絶やさないようにしないとな」


普通、親しい友人を失って正気を保ち続けるのは困難なはずなのに何故ここまで大人びた前向き思考になれるんだろう。


ショウと比べると自分のメンタルの弱さが惨めで嫌になる。


「何でそんな簡単に開き直れるの?…

私なんてもう実感湧かないし、未だに何がなんだか頭が回らない…」


そう言われるとポケットから小さい布袋を取り出し、それを見つめながらどこか沈んだ表情で話し出す。


「開き直れてなんかないさ、単なる強がりだよこんなのは。


時々アイツからは頼れる兄貴なんてもてはやされていたが実際、引っ張られてたのはずっとオレの方だった。


目標を小さく言う割に練習を見てると誰よりも直向きに走る事に向き合っていたり。


そんなヤツがいなくなったら誰が支える?


そう思ったら自然と使命感が湧くんだ」



(そういう所で責任感を持てるのが凄いんだよ。


やっぱり人として器が違うんだろうな…)


改めてショウが無類の人格者だと再確認した所で手に持っている布袋が気になった。


「その手に持ってるお守りは何なの?」


「ああ、これはアイツから貰ったんだ。


インターハイ予選突破できるようにさ。


人の事心配する前に自分に買ってやればいいのにな。


お節介なヤツだよ、、ほんっとっ…」


表情を誤魔化すように後ろを向くショウ。


だけどその背中から嗚咽が漏れて聞こえる。


「わりっ、少し花みてく…る…」


そう言って学校の中庭を目指して走っていった。


やっぱり平気じゃなかったんだ。


勉強でも休み時間でもよく絡んでたもんね。


ショウはショウで面倒見いいし、ナベチはナベチで何事にも一生懸命だし、互いに通じ合う所があるんだろうね。


なんか妬けちゃうな。


誰かと話す事で気持ちが楽になっていたのか1人になった瞬間、その反動が襲いかかる。


その場で崩れ落ち、溢れ出る涙を零さないために両手で精一杯覆った。


数分してから憂鬱な気分で立ち上がり、校舎へ向かう。


雑に上履きを履き、移動して教室へ入ると先生が黒板に連絡事項を書いていた。


今日は朝礼なしで緊急の全校集会を開き、終了後即下校だそうだ。

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