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魔王娘の護衛に配属された!??  作者: うなぎ昇再
第2章 仮初め魔王野郎
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第15話 出来立てほっかほっか

「そもそも儂は未だにアザラシという生物を1度も見たことがないのじゃ」


(この世界にいたらまあおかしいよな、なのにその存在を認知しているのは頑和から情報共有された事実に他ならないじゃないか)。


いや、正確には他の転生者もいるならそいつらから聞いた可能性も生じてくる。 


「どうせこれから外出るんだろ?その時に木の棒でも拾ってアザラシの絵描くからさ」


「貴様!もしや芸術家かのっ!?」


「そんな訳ないだろ、ガキんちょの描くレベルの絵と大差ないから」


そうやってさり気なく外へ誘導するとやっとためにならない雑学問題タイムから解放された。


白黒リバーシブルの大理石の通路を抜け、ラグ有り回転式ドアを通ると日光が出迎えてくれた。


改めて来た道を見渡すとこの神殿だけではなく噴水広場を中心に展開する家々の造形も全体的に異質だ。


屋根らしき物は無く、側面にははめ殺し窓?っぽいモノ。


枠内にはガラスの代わりに薄い木材が2本クロスして嵌められていた。


その他にも似たような構造の建造物が隈なくある。


だがそこに生活感は無く寂れた有様だ。


イメージ訓練をしにやって来たのはハーヒポ荒野というその名の魔物が生息する地帯である。


その特徴は耳、目、鼻が顔の一直線上にあり、大きく開く口、ダルダルの厚い皮下脂肪を持っている。


また、顔を半分だけ表面へ出して砂地をスイスイと移動もできる。


これが海で遭遇するサメであるならヒヤヒヤものだ。


暫く先導していた魔王は足を止め、こちらへ向き直る。


「ここなら思う存分練習しても構わんよ」


「そこまで周囲に気を配らないといけない程の危険な修行をこれからしようとしてるのか?」


「そりゃあ人によるのお、貴様の内に秘めた潜在能力がどれくらいか試してみないことには判断しかねるの」


「ふーん、まあいいやとりあえずさっきの続きやってみる」


もう一度自分が思う世界最強の生物を深く想像して、その風貌を自身の肉体へ落とし込もうと心掛ける。


だけど…やっぱり……


「にゃーん」


「はぁー」


同じネコ科はネコ科でもどうしてもペットとして愛着の湧く姿に変身してしまう。


「デカい溜息つくのやめろよ!これでも必死なんだぞ!」


「今日はもう帰るか、我が神殿に着いたら貴様にぴったりの飼い主を探してやるから安心せい」


「訓練を放棄するな、やめろまだ来て1分も経たずに見限ろうとするんじゃない!」


前世でそんなピュアな願望持った事もないわ、どんな生き地獄だよと心の中で突っ込んだ所で笑いと共に口を開く魔王。


「そのスタイルでとりあえず慣らすんじゃ、馴染んでいけば恐らくイメージの食い違いも改善されるはずじゃ」


それからさっき同様組手を始める。



──約1時間経過…



やはり姿に変化はなく、体力、精神力だけがイタズラに浪費されていくばかり。


砂に足を取られ続けとうとう前後左右の動作に限界がきたためその場で仰向け大の字になる。


「時間を追う事に動きが俊敏になる訳でもジャンプ力が上がる訳でもない、一体どうすれば…」


熱々のミルクティーでも飲めば良いアイデアが思い浮かびそうだがこの世界にはあるんだろうか?


というかあつあつ…?あつ、ぬるぬる??ん?


そういえば背中に何か生暖かい感触がある、考えに浸るあまり気づくのに遅れた。


途轍もなく嫌な予感がする。


恐る恐る上体を起こして振り返ってみるとそこには白茶色の物体がぐちゃぐちゃになっていた。


顔を近づけクンカクンカすると鼻腔を凄まじい臭いが駆け抜ける。


「く、くへぇーーーー!?ほっかほかの白いウンコじゃねーかふざけんなー!!」


ハイハー村まで轟きそうな叫び声をあげると周囲の地中から砂がモクモクと蠢き出した。

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