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群青、行く春。  作者: クサナギカナデ
2/10

2

 屋上で昼飯を食べながら、さっきあったことを話してみる。


「どう思う? 」


「クソみなたいな話だな」


 率直にそんな言葉を口にするのは瀬川楓である。

 眉目秀麗のこの男は少々口が悪い。


「何それ、だから野球部は嫌いなのよ」


 野球部批判を口にするのは容姿端麗の藤咲綾。

 幼馴染みたいなものである。

 

 昼はこの3人で集まって食べることが多い。

 


「ところでお二人さんは呼び出された事ってある? 」


「あるけど? 」

 

 当たり前のように返してくる楓は流石ではあるけれど、お前はないの? 的なのは止めて欲しい。

 

「一応あるけど、私は行かないよ」


 行く行かないよりも、どっちも呼び出されたことがあるという事実。

 それだけでもうお腹いっぱいです。

 そういうのってよくあることなのか? ただ俺が知らないだけ?

 俺の周りで呼び出されてる率、高すぎないか?

 

 

「俺は行くよ、何かあるかもしれねぇし」

 

 何かしら起こる事を期待している、楓らしい答え。

 そうやって楽しめるのは本当すごいと思う。

 

「それが嫌。よくわかんない相手と二人っきりって危なすぎる」


 普通はそうでしょう、女子なら当然の反応です。

 やっぱり楓は変わっている。


「まぁ、それもそうか。虎は? 」


「呼び出されたことがねぇ」


「嗚呼、知ってる知ってる」


 楓がニヤつきながら言ってくる。

 今更訊く必要はなかったよなその質問。確信犯だな、悪いやつだ。

 

「そんなことより虎ちゃん。補修はちゃんと出ないとあかんよ、わかってる? 」


「わかってるって」


 真剣に言ってくる綾に気圧されながら返事をする。

 そのためだけに来たのだから、出ないという選択肢はない……はずなのだが、出たくないのが本音だ。

 そんな俺の心の内を知ってか知らずか、釘を刺してくる綾には付き合いの長さを感じる。

 

「何、お前補修なの? じゃあ俺が冷やかしにいってやる」


「いいよ、来なくて。お前が来るとろくなことにならん」


「いいじゃん、その方が面白いだろうに」


「面白い要素はいらん」


「楓は何の補修か知ってるの? 」


「知らん。何の補修? 」


「水泳」


 そして放課後、水泳の補修が始まる。

 

 

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