そのよん・大勢集まればケイドロでかけっこ
”キーンコーンカーンコーン!”
放課後の鐘がなると皆がランドセルを背負って帰り支度をする。
「なーなーきょうはみんなであそばねー?」
なんとなく誰かがそんなことを言い出すとみんなそれにこたえたりするものだ。
「うん、いいよー」
「あ、ごめん、俺塾があるから無理なんだ」
「そっか塾なんて大変だねー」
「あ、俺は大丈夫だよ」
「おれもー」
そんな感じで今日の放課後は同じクラスの男子10人位が集まったのでみんなでケイドロ遊びをすることになった。
やるのは近くの大きな桜のある公園。
公園とは名前ばかりの何もない大きな空き地だったりするが。
「じゃあ、警察を誰がやるかぐーぱで決めよーぜ。
少ないほうが警察な」
ケイドロはまずはチーム分けから。
警察の方が少し有利なので警察が少ない方でやるのが普通。
「おーけー!」
「了ー解」
みんな頷いて、手を組んで穴の中を覗きこんでウンウンと頷く。
手を組んだ時にできている穴の形を見て丸いとパー、四角だとグー本当は三角だとチョキだけでグーパーだと三角はないからどっちかといえば丸いとか四角いで決める。
「っせーのぐーぱえす」
「ぐっとぱーえい」
「ぐーぱ!」
それぞれが好きな掛け声を出しながらグーやパーを出す。
「グーが三人だから警察だね」
博はグーだったので警察
「じゃあこの大きな桜が牢屋で行こうぜ」
チーム分けができたら牢屋となる場所を決める、
別に本当に人間を閉じ込められるような場所じゃなくてわかりやすい目印だったらどこでもいいのだが大抵はわかりやすい大きな木が牢屋だった。
「じゃあ、にげるぞー」
雅人はパーで泥棒だった。
チームが決まったら警察が10数えて、そのあいだにドロボウが逃げる。
当然だけどドロボウの逃げられる範囲は空き地の中だけ。
とはいえ学校の校庭と同じくらいはあるから小学校三年生には結構な広さだ。
警察側はわかりやすいように紅白帽を白でかぶる。
「いーち、にーい、さーん、しー、ごー、ろーく、ひーち、はーち、きゅー、じゅー」
「いくぞー」
「それー」
警察が一斉に走り出して泥棒側が逃げ惑う。
「まてールパーーン」
「あばよーとっつああーん」
とTVアニメのルパン三世の真似をしながら追いかけ合う博と雅人。
しかし、挟み撃ちに有ってあえなくタッチされた雅人は、牢屋まで連行されていく。
「ひろくんひどいよー」
「ふふ、そういっても警察は逮捕しないと駄目なんだから」
最初に捕まった雅人は桜に当てて助けを求める。
「じげーん、ごえもーん、たーすけてくれ-」
しかし、あえなく二人目が捕まって2人目は、1人目の雅人と手を繋いで助けを待つことになった。
こうして捕まるたびに手を繋いで泥棒は列を伸ばしていくのです。
「次元おまえもか」
「すまん、るぱん」
しかし警察も逮捕した人間がいるとそっちにとどまらないといけない。
しかし、それにかかりきりになると泥棒を捕まえる事ができない。
そして、泥棒側も捕らえられた味方をなんとか助けようとするわけで……。
仲間のドロボウがスキを見計らって、警察に追いかけられてきた泥棒を捕まえようと博が桜の木を少し離れた瞬間に別の泥棒が捕まった泥棒をタッチしてしまった。
「ああ!」
「あばよーとっつああーん」
そして30分がたち子供の帰りを促すサイレン放送が始まってしまった。
それで今日のケイドロ勝負は泥棒の勝ちで終わりだ。
「あーあ、泥棒の勝ちかー」
「正義はかつんだよ」
「泥棒は正義じゃないだろー」
みんなそんなことを言いながらワイワイと帰っていく。
遊びが終わればみんな友達で仲間なのだから。
そして温かい風呂に入って泥を落として夜ご飯を食べたら宿題をやるのだ。