ついかそのにじゅうよん:石油ストーブで焼くお餅は何故か美味しい
「おばあちゃんから、お餅をもらったからストーブで焼いて食べてね」
「わーい、おばあちゃんのお餅美味しいから僕大好き!」
このころの冬休みの楽しみのひとつが餅つきとその餅を焼いて食べること。
この頃はまだあちこちの家庭の前で杵と臼を使っての餅つきが行われていて、そのあまりを送ってもらったりするのが普通に行われていたのである。
とは言え新興住宅地では餅つきを行う家庭は少ないので、おばあちゃんの家から送ってもらったりすることが多かったのだが。
「うまく焼けるかなー」
石油ストーブの上で餅を焼くときは穴が空いている、端っこで焼いて、焦げないにようにするのが大事。
「そろそろいいかな?」
お餅を乗せて少し茶色くなって膨らみかけたらひっくり返して、更に膨らんだら醤油を入れた皿にお餅を入れてそれにのりを巻いて食べるのだ。
「ん、やっぱり美味しい」
「博、私の分も焼いてちょうだいね」
「はーい」
石油ストーブの上にはお餅を4つくらいは置けるので、それをいっぺんにおいて焼いてしまっても大丈夫。
でも気をつけないと焦げるのでお餅から目を離せないのが欠点だ。
「やっぱりスーパーで売ってるものよりお母さんのお餅の方が美味しいわね」
「僕もそう思うよ」
「明日はお雑煮にしましょう」
「うん、おしるこもいいな!」
「お雑煮のほうがちゃんと野菜が食べられるからいいのよ」
「ちぇー、お汁粉のほうが甘くて美味しいのになー」
他には黄な粉をまぶして食べたり、小さく切って揚げたりしても美味しい。
お餅はお正月だけの特別な食べ物なのだ。




