ついかそのにじゅうさん:烏龍茶やお茶は子供には苦くて人気がない
いつものように駄菓子屋を訪れている雅人と博は飲み物のところに変わったものを見つけた。
「なんだろうこれ?」
「とりりゅうちゃ?」
烏龍茶の発売はこの頃で、サントリーが中国にお酒を輸出したのだが、その代金がウーロン茶の現物で山のように日本に来たことから、サントリーはそれを商品として開発してその後健康的な飲み物として定着した。
それまでも缶コーヒーやレモンティーのような飲み物はあったが甘くない飲み物を缶入り飲料で扱い始めたのはこれが一番最初である。
「美味しいのかな?」
「ちょっと飲んで見る?」
「おばちゃんこれちょーだい」
「ちょーだい」
「はいはい、100円だよ」
「100円はちょっと高いけど……えい!」
二人は100円を払って缶を開けて烏龍茶を口にしたんだけど。
「うわ~、にがーい」
「なんか思ってたのと違うー」
「これなら麦茶のほうが美味しいね」
「うん、麦茶に砂糖入れて飲んだほうがいいよね」
博がそういうと聖人は首を傾げていった。
「麦茶に砂糖入れないだろ?」
「え、僕のうちは普通に麦茶に砂糖入れるよ?」
それでも残したり捨てたりするのはもったいないので、全部のんだけどもう二度と飲まないと二人は思ったのであった。
しかし、無糖の烏龍茶は健康的で脂っぽいものを食べる時に飲むのにちょうどよいともてはやされ各メーカーからの発売ラッシュとなって、その後には緑茶も発売ラッシュとなっていくなど二人には考えもよらぬことであった。




