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ついかそのにじゅう:意外とこの頃の食卓の栄養バランスは悪くない

 駄菓子屋に立ち寄ったりみんなで遊んだあとで日が暮れれば当然みんな家に帰って晩御飯を食べる。


「お母さんの夜ご飯はなに?」


 博が母親にそうきくと、母親はにっこり笑って答えた。


「今日はハンバーグよ」


「わーい、ハンバーグ! 僕ハンバーグだいすきー」


 昭和50年の食事は和洋折衷で、かなり理想的な内容だった。


 この頃のおかずは肉や卵ではなく魚や豆腐がまだまだメイン。


 これは肉や卵よりも魚や豆腐のほうがが安かったという事情もあるし、買い物や調理などの食事に手間をかけるだけの余裕が主婦にあったというのもある。


 夕飯の時間になるとどこからともなくサンマやサバ、アジの開きなどを焼く匂いが漂ってくる事なども多く、タラやカレイの煮付けなどもよく食卓に上がったが、魚は骨が多かったので子供はそれを食べるのに四苦八苦したものである。


 なので食べやすくて美味しいハンバーグやカレーは子供には大人気だった。


 相対的に見れば昭和三十年代よりもおかずの種類がかなり増え、食べる米の量が減ったが、豆腐や卯の花の白あえなどの大豆食品、ヒジキの煮物やわかめの味噌汁など海藻の摂取量も多く、味付けは出汁をしっかりと取った上で味噌・醤油・調理酒などの発酵調味料がメインで、おかずの品数も豊富だった。


「ああー、煮物にしいたけがある?!」


 ハンバーグと一緒に出されているのは野菜の煮物。


 博士はしいたけが大の苦手だった。


「ちゃんと好き嫌いしないで食べなさい。

 しいたけは美味しいのよ」


「そうかなぁ……僕しいたけはどうしても苦手なんだけど」


「ちゃんと食べないと大きくなれませんよ」


「う、うん」


 椎茸嫌いはけっこういて、その味や食感が苦手という子供は多いのだ。


 もっとも椎茸はうまみと栄養素を豊富に持った食材であり食べないのはたしかにもったいなくはあるのだが。


 今夜のおかずはハンバーグに加え、なめこの味噌汁、黄色いたくあん、野菜ときのこの煮物、きんぴらごぼうとみかんだが、里芋や八頭などの芋や野菜、そしてお祝いの日のごちそうだった卵焼きが目玉焼きのような卵料理も増え、ハンバーグ、ソーセージやハムなどの肉、牛乳やヨーグルトなどの乳製品に加えて、バナナやみかんやりんごなどの果物も普通に食べられるようになったので、タンパク質やビタミンミネラルなども十分取られるようになったのがこの時代。


 その前はおかずは目刺ししらす干しなどの小魚が多く、タンパク質の摂取量が十分ではなく、漬物と味噌汁でご飯を多量に食べるというのが基本だったから随分と栄養事情は改善しているのだ。


 駄菓子はともかく、コンビニエンスストア、焼肉屋、ラーメン店、ドーナッツ店、牛丼屋やファミレスなどもまだあまりなくて、あるのはせいぜい昭和風の喫茶店や洋食レストランだが、そういった所で食べるのは誕生日とかの特別な時だけであることのほうが多い。


「ケチャップとソースを掛けて混ぜてー。

 ん、おいしい」


 デミグラスソースなんてちゃんとしたものはなくてもウスターソースとトマトケチャップを一度ににかけてそれを混ぜればデミグラスソース風になる。


 ナイフやフォークをいちいち使うこともなく、食べるときは全部お箸で食べたりもするがそんなことはいちいち気にしなかったりもする。


 もっともお母さんの方は旦那や子供が飽きないように日々の献立を考えて沢山の種類のおかずを作るのは大変だったりするが。


 友達の家に少し遅くまでいたら”家に帰る前にうちでごはん食べていきなさい”と、晩ごはんを友達と一緒に食べることも多い。


 余ったもののご近所さんへのおすそ分けなども行われていて、それがあるとお母さんは助かったりもするし、預かった鍋を返すのは子供の役目でもあった

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