表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/40

そのさん・利根川の土手でダンボールスキー

「ひろくーん、よういできたー?」


「うんできたよー」


 今日、雅人と博は利根川の土手で遊ぶつもりだ。

河川敷を走り回ったり川の水をぴちゃぴちゃしたりするのもそれはそれで悪くないが、二人が持っているのは近くにあるスーパーマーケット”マルエツ”の裏でもらってきた厚めのダンボールである。


 ハサミで切り開いたダンボールにカッターで穴を開けて引っ越しに使うビニールひもをつけた”ダンボールソリ”とろうそくを抱えて二人は利根川の土手まで歩いて行く。

今の季節は土手には青々と草が茂っているのでその上を滑り降りるのはとても楽しいのだ。

花やしきや後楽園ゆうえんちにあるジェットコースターには負けるかもしれないけど、ダンボールそりならお金もかからないし何度でも滑れるのがいい。

博はまだ暑い中だが長袖長ズボン、雅人は半袖半ズボン。


「雅人くんその格好だところんだ時痛いよ?」


「へへん、僕はころんだりしないからだいじょうぶだよ」


 そんなことを言いながらようやく土手の上までたどり着いた。


「ちゃんとろうを塗らないとあんまり滑らないからね」


「そうだねー」


 二人はろうそくをダンボールの裏にゴリゴリこすりつけていく。

ダンボールにはっきり見えるほどついたら準備OKだ。


「これくらいやればいいかな?」


「多分大丈夫じゃないかな」


 土手の上の平らな場所の橋の上にダンボールそりをおいてその上に座りダンボールの前の部分を折って紐をつかむ。


「じゃあいくよー」


「どっちが早く降りれるかなー」


「競争だぞー」


 土を蹴って斜面に降りれば後は重力で自然と滑り出す。


「うわー」


「はやーい」


 土手の斜面はそこそこ急なのでなかなかの勢いでダンボールは滑り落ちていくのだ。

平らな場所に降りても少しの間滑り続けてやがてとまった。


「よーしもう一度」


「うん、もう一回」


 二人はダンボールの紐を掴んで土手を駆け上がる。

紐がなくても滑り落ちていくのだけならダンボールの端をつかむだけでも十分なのだがこうやって土手を駆け上がる時に紐があると楽なのだ。


「よーし、もういっかーい」


「いっくよー」


 そしてもう一回が延々と続くのはもうお約束だ。

しかし、何度もやっていればたまには失敗することがある。


「うわっ」


 雅人のダンボールの紐が切れてしまいひっくり返ってしまったのだ。

斜面を転げ落ちる雅人。


「まーくん、大丈夫ー?」


 博は滑り降りた後聖人にあわてて駆け寄った。


「あー、いてー」


 雅人は転げ落ちた拍子に膝やら肘やらを擦りむいて血が滲んでいた。


「だから長袖のほうが良かったのに」


「でも服が破けたらそれはそれで怒られるだろ?」


「まあ、そうだね、今日は帰ろっか」


「そうだね」


 二人は土手にダンボールを投げ捨てて家にもどった。

そして肘と膝の傷口を水で洗ってから救急箱を開けて中身を見る。


「とりあえず赤チン塗っとこうか」


 博士は雅人の傷口に赤チンを塗った。


「あいてて、赤チンしみるなぁ」


 赤チンを塗ると傷口付近が真っ赤でむしろ大怪我をしたようにみえるため雅人はその夜お母さんにとても怒られた。

そして風呂に入ると傷口にお湯がしみるから次からは長袖を着ようと思う雅人だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ