表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/40

ついかそのきゅう:雪印のアイスクリーム宝石箱は女の子にとっては本当の宝石箱みたいだった

 いつもの放課後、博と雅人はいつもの駄菓子屋に立ち寄っていた。


「あれ、弥生ちゃんだ」


「おーほんとだ」


 弥生ちゃんこと、中西弥生は二人のクラスメイトの女の子である。


「弥生ちゃんなにかうのー」


 雅人がそう声を掛けると弥生は手にしているアイスを見せた。


「これ」


 それは雪印乳業が販売しているカップアイスで、黒いパッケージが珍しい”宝石箱”アイスだ。


 白いバニラアイスの中に、カラフルでストロベリー、メロン、オレンジのいずれかのフルーツの香りが付いた氷粒が散りばめられている。


 テレビCMはピンクレディーが歌っていて女子に特に大人気のアイスだった。


「あー、宝石箱かあ、美味しいけどちょっと高いんだよね」


 博がそういうと弥生は苦笑した。


「そうなのよねー」


 レディボーデンの千円やビエネッタの五百円ほど高級というわけではないが、宝石箱の家格は120円。


 おっぱいアイスが30円、あたり付きのホームランバーが10円で、いちごフロートなどが50円程度の時代だと120円は少し高い。


 だがそれだからこそ人気だとも言えた。


「宝石箱だから高いのは仕方ないわよね」


 さらにキャンペーンとして、実際の宝石などの抽選プレゼントも行われているのだから、女の子にはたまらない。


「でもたしかに綺麗で美味しいよね」


「うん、綺麗で美味しいのよね」


「僕はおっぱいアイスのほうがいいけどな」


 雅人はそういって宝石箱の脇にあるおっぱいアイスを手にとった。


 これはこれでたしかに美味しいものではある。


「箱と蓋も綺麗だからちゃんととっておいてるわ」


「そうなんだぁ」


 結局博はつられて宝石箱のメロンを買い、弥生はストロベリーを買った。


「エメラルドとルビーね」


「ああ、なるほど、たしかにそうかも」


「ちぇ、ひろくんのうらぎりものー」


「ええー」


「キラキラしててきれいよねー」


 弥生は嬉しそうにそれをたべ、博も同じようにたべた。


「アイスの容器もらってもいい?」


 弥生はたべ終わったアイスの容器をもらえないか博に聞く。


「うん、別にいいよ」


 こうやって女の子は宝石箱の箱と蓋を大事にとっておいたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ