ついかそのはち:超合金ベーゴマを取られるととっても悔しい
涼しくなってきた後には体をいっぱい動かす遊びのほうが多くなる。
「いっせーのっせ!」
という合言葉とともに、皆が一斉に紐からベーゴマを放ってコマをぶつけ合うのだ。
「よし! そこだ!」
「まけるなー! がんばれ!」
今、少年たちが集まってやっているのは、超合金でできたベーゴマでの喧嘩独楽である。
大きめのバケツにバケツの上にシーツをやや弛ませ、凹ませて張ったものの上に鈍い銀色の比較的浅い円錐形のベーゴマをベーゴマの本体にひもを巻き付けて準備をし、次にベーゴマに巻き付けたひもを一気に引いて独楽を投げ入れて、最後まで残ったものが勝ち、はじき出されたら負けではじき出した独楽の持ち主にそれは取られてしまう。
ベーゴマの歴史は相当古く、平安時代の京都で始まったといわれ、このときはバイ貝という貝の殻に砂や粘土を詰めてそれをひもで回したのが始まりであると言われている。
これが関西から関東に伝わった際に「バイゴマ」が訛って「ベーゴマ」となった。
大正時代頃に鋳鉄製のものになったが戦時中に金属類回収令で鉄のベーゴマも供出されたため、戦中ではガラスや瀬戸物製になってたが、これはかなり割れやすかった。
そして昭和50年代だとベーゴマは亜鉛ダイキャスト、通称超合金と呼ばれる金属でできていた。
値段は5個で100円位で、紐は一本10円、キャラクターベーゴマなどはもう少し高かったりする。
そしてベーゴマは、負ければ相手に取られてしまうので、如何に相手の独楽を弾き、最後まで回っていられるかが重要であったため、負けないようにいろいろな改造をしたりする。
改造することが子供達の間で盛んに行われてきたが、基本的な手法として、まわりの余分な部分を削りバランスをよくすることや、下の部分にヤスリをかけて全体を低くしたり、模様が入っている上面に溶かしたハンダや鉛を流し込んで重量を増やしたりだ。
「あ、やられたー」
「やったぜー」
こうやって決着がつくと勝ったものは喜び、負けたものは悔しやしがる。
ちなみに同じように女の子たちを夢中にさせたのは、ガラスやプラスチックでで出来たおはじきで、これまた時間を忘れて、カチカチとおはじきをぶつけ合う光景が街のあちこちで見られたりする。




