ついかそのなな:カラー竹馬や缶ぼっくりで歩くのは何故か楽しいね
子供は高いところが大好きだ。
「あーひろくん、それカラー竹馬だよね?
いいなー」
雅人は博が乗っているステンレス製の竹馬を見て羨ましそうに言った。
「うん、お父さんが買ってくれたんだ」
カラー竹馬は本体の棒の部分がステンレス製で手で持つところに青や赤黄色といったフィルムが付いていて、博の竹馬は青いやつであった。
この頃にも棒が竹、足台は木でそれらを紐でギュッと縛って作る竹馬もあったが、それは廃れつつあった。
カラー竹馬はそんな竹馬を復活させようと第一というメーカーが作ったものでプラスティック製の足台の穴にステンレスの本体を通し、止め具に差し込んで上から手で強く押し込んだあとで、木槌で叩いて乗っても落ちないようにちゃんと固定してその上に乗って歩くというものである。
「えい」
高さを一番低くすれば仕える踵の部分の補助具なんかもあったりするが、そんなものがなくても大抵は普通に乗れる。
竹馬で倒れないコツは棒を倒れそうな方向倒してそれに逆らわずに進むだけだ。
「僕は缶ぽっくりなのになー」
ほんらいは木履とは木製に高下駄のことだが缶ぽっくりはパイン缶などスチール製の缶を洗ってから逆さにし、怪我をしない様に注意しながら両側の同じ高さにキリを使って穴を開け、もう一つ同じ大きさ高さの缶にも穴あけを行って、乗る人の身長というか手の高さに合わせた紐を通しそれをキュッと結んでつかめるようにして掴んで歩くというもの。
カラー竹馬がゲイラカイトなどと同じくそれなりの値段がするのに対して、缶ぽっくりは安い値段で作れる。
そして竹馬も缶ぽっくりも最初は転ぶということに対する恐怖との戦いを乗り越えてうまくなっていくのは自転車や一輪車、ローラースケートなどと変わらない。
そういった恐怖がうまく歩ける楽しさに変わる速さなども個人差がある。
「僕もカラー竹馬買ってもらおうっかな」
「運動会の種目に竹馬競争もあるしそうしてもらったほうがいいと思うよ」
「だよね」
そして運動会では竹馬競争やぽっくり競争もあるのがこの時代なので意外と竹馬に乗れて早く走れるというのは重要だったりもするのだ。




