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ついかそのご:おっぱいアイスは食べづらい

 いつもの放課後、博と雅人はいつもの駄菓子屋に立ち寄っていた。


 駄菓子屋に小中学生がたむろしているのは暑い夏でも寒い冬でも、過ごしやすい春や秋でも変わらないが、夏が一番飲み物やアイスが売れる時期であるのは間違いない。


「今日は何を食べようかな」


 雅人が冷凍ケースを開けて中を覗き込むと色とりどりのポッキンやあんずバー、ホームランバーなどがはいっているが一番手前においてある目についたアイスに彼はてをのばした。


「おばちゃん、おっぱいアイス一個ちょーだい」


 雅人が取り出したのはゴム容器アイス。


「はいはい30円だよ」


「ボンボン」「たまごアイス」「風船アイス」「爆弾アイス」「おっぱいアイス」などといろいろな名前で呼ばれるそれは、駄菓子屋の冷凍ショーケースにゴムがむき出しでのままではいっているが、安くて美味しいことで、レディボーデンやホームランバーとはまた違った子供達の人気のアイスでもあった。


「はい30円!」


「はいはい、30円受け取ったよ。

 すぐに食べるんでしょう」


「うん、おばちゃん、おっぱいの先をハサミで切って」


「はい、はい」


 これはコンドーム状の白いゴムの風船のようなものにバニラもしくはもミルクアイスが詰め込まれており、反対側はそのまま結ばれていたり、金属製やプラスチック製の留め具があったり、輪ゴムで止められていたりするが、輪ゴムで止められていたものはお祭りのヨーヨーすくいのあれに似ているので「ヨーヨーアイス」ともいわれる。


 子どもたちはおっぱいアイスと呼ぶことが多いが。


 そしてそのたべ方はおっぱいの乳首にように尖った部分をはさみで切り、まるでおっぱいを赤ちゃんが吸うように中身のアイスを吸うのである。


「あ、僕もおっぱいアイスにしよう、30円だよね」


「はいはい30円だよ。

 やっぱりすぐに食べるんでしょう」


「うん、僕のもハサミで切って」


「はい、はい」


 ちょっとゴムの味が混ざっているがそれはそれでこのアイス独特の味。


 ちなみにハサミがないばあいは先を歯で噛みちぎって中身を吸い出し始める。


 そしてゴムで出来ているので、アイスが勢いよく溢れてきて手をベトベトにしてしまったり、ツルっと手がすべってゴムが砂だらけになったりと、あまり食べやすいアイスではないが、それだからこそ印象が強いアイスでもある。


 そしてこのアイスは食べていると溶けてどんどん小さくなるのと、ずっと口をつけていると冷たいので時々口をはなすのだが………。


「みぎゃ! 目に入った!」


「あいかわらず最後に顔にかけるんだなぁ、ひろくんは」


 雅人はそうやってわらうが、これ、最後は溶けたアイスがゴムが縮む力と共に勢いよくビュー!!!っと噴射するので、それを顔や服に浴びることもよくあったし、目や鼻に入ると結構悲惨だったりする。


「うう、おっぱいで顔がベタベタだよ」


 そういう博におばちゃんはタオルを渡す。


「はいはい、水道で顔を洗ってきなさい」


「はーい」


 まあそれにこりずにおっぱいアイスをまた食べるのだが、安くて美味しくて食べづらいこのアイスはなんだかんだで人気なのだ。

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