ついかそのさん・高級アイスと言えばレディーボーデンだよね
「お客さんからアイスいただいから冷凍庫に入れておいてー」
お母さんから博はそれを受け取ったあっと目を丸くした。
「あ、レディーボーデンだ!」
「そうよ、溶けちゃうから早くしまってね」
「はーい」
高級アイスクリームと言えばレディーボーデン。
これは明治乳業から発売されているアイスクリームで950mlで950円という子供にはそうそう手が出ない値段である。
なにせ駄菓子屋のポッキンやあんずバー、ホームランバーなどは10円の時代なのだ。
でも、安いアイスクリームじゃ味わえない濃厚なバニラのがすごく美味しいので子どもたちにとっては憧れの食べ物でもあった。
そしてそれが食べられるのは家にお客さんがお土産として持ってきてくれた時だ。
もちろんお客さんがいる前で食べるのは駄目だから今は食べれない。
100円のカップアイスすら高級なアイスだけど、レディーボーデンの濃厚さはその他のアイスでは勝てないとみんな思ってる。
「宿題はやったのー?」
「あ、すぐやるねー」
小学校三年生でも宿題はある。
「漢字ドリルをやらないとな、よし頑張っておわらせるぞ」
博はレディーボーデンのために頑張ってドリルを埋めていった。
「やった、終わったー」
「あら終わったのね、それじゃ頂いたアイスを持ってきたから食べなさい」
お母さんお手によりアイス皿に丸くスプーンでくり抜いたレディボーデンが載せられて運ばれてきたことに博は当然喜んだ。
「ありがとうお母さん! いっただっきまーす」
スプーンで美味しそうにレディーボーデンを救っては頬張りその味を堪能している息子に母はいった。
「もう、普段からそのくらいやる気をだして勉強しなさいね」
「はーい、わかってるよー」
とは言え子供にとっては外で友達と一緒に遊ぶということはなかなか辞められなかったりするのだが。




