さいしゅうわ・思い出は輝いているもの
いつものように放課後の駄菓子屋には小学生がたむろしている。
「今日は何色にしようかなー」
博はヨーグルの蓋の色を見て真剣に悩んでいる。
「ヨーグルの蓋の色と中の味は関係なくってみんな同じだってば」
そう言って笑う雅人。
「ええーちょっと違う気がするけど?」
「気のせいだってば」
「じゃあ今日は青いやつで、オバちゃんヨーグルちょーだい」
「はいはい、10円だよ」
「はい10円」
ヨーグルはヨーグルト風味の駄菓子であるが、その中にヨーグルトの原料になる牛乳は全く含まれておらず、その成分はグラニュー糖とショートニングである。
だが甘くてちょっと酸味がある美味しい駄菓子である。
そして博は蓋をめくってみて当たりハズレを確認するが残念ながらハズレ。
「これ当たったことないんだけどなー」
そういう博におばちゃんはあたりの書かれたヨーグルの蓋を見せた
「そう言ってもちゃんとあたりも混ざってるよ」
「うーん、そうだよね」
一方雅人は串烏賊のはいっている容器を前に悩んでる。
「今日はどれにしようかな」
悩んでる雅人にヨーグルを木の匙ですくって食べながら言う博。
「串烏賊にそんなに味とかに差ってあるのかな?」
「おうとも、ゲソとコウでも違うし酢イカと干しイカでも違うよ」
「僕は酸っぱいのは苦手だよー」
「ひろくんは炭酸も駄目な子供だからしょうがないよね」
「僕は烏賊よりソースカツのほうが好きだけど」
「ああ、ソースカツも美味いよな今日はそっちにしよう。
おばちゃんこれ一つ頂戴」
「はいはい、10円だよ」
駄菓子屋には所狭しといろいろなものが並んでいるが、駄菓子の入っているケースの種類は色々。
子どもたちの好みも色々。
でも誰にでも何かしらの好きな駄菓子があるのが駄菓子屋のいいところだ。
「今日はどこに行こうか」
「貝塚で綺麗な貝を探すのなんてどうかな?」
「うん、いいね、でもなんでこんなところに貝がいっぱいいるんだろ?」
「昔は海だったんじゃないのかな?」
「えー、海なんてずっとずっとはなれてるのに?」
「だってわざわざ運んできたりしないだろうし」
「たしかにそうかも。
利根川も昔は海だったのかな?」
「多分そうだよ」
二人は駄菓子を食べ終わると貝塚に向けて走っていった。
ファミコンのまだない時代の放課後はつまらなかったのか?
そんなことは全然ない、むしろみんなでワイワイ遊んでいた記憶は色あせないのだ。
思い出はいつも輝いているものなのだから。
そろそろネタも尽きたので最終話とさせていただきました。
共感がえられる年代の人にはきっと懐かしく思っていただけたと信じております。
読んでいただいた皆様ありがとうございました。




