事情
「あなたの名前はハイデンベルグ=サンダー=デルボーゲン。年齢は13歳。今は鍛冶見習いとして、この村の鍛冶屋のスムンさんのところで働きながら勉強中よ。そして、あたしはあんたの幼馴染みにして許嫁のセレナーデ=シン=ナルボルトよ。年齢はあんたの一個上の14歳。」
「許嫁!?」まさか、許嫁なんて制度があって、俺に許嫁がいたとは。衝撃的だぜ。
「そうよ。あんたはあたしの許嫁なの。だからはやく記憶を取り戻すなり、人格を取り戻すなりしてちょうだい!」エレナは涙ぐみながら俺に訴えかけてくる。
「まだ、話は続くわ。ちょうど一月前に、500年前に封印されたはずの大魔王ヘルプラスが蘇って大変なことになっているの。次々と周辺の村々は大魔王の手下達に滅ぼされていってるわ。このままではあたし達の村が滅ぼされるのも時間の問題なの。でも、あたし達にはどうすることも出来ないの。伝説の勇者様が大魔王を倒してくれるのをじっと待って堪え忍ぶことしかできないのよ。」エレナは泣いている。だが、魔王がいたなんて。作り事の世界だけだと思っていたが、、、まぁ今の今まで驚くことの連続だった訳だから今更驚くようなことではないが。
「エレナ、泣くなよ。もし、エレナが襲われても俺が守ってやるから。」我ながら、恥ずかしい発言をしてしまった。うー、死にたい。
「本当!嬉しい!ありがとう!」エレナは本当に嬉しそうだ。
「お、おぅ。」エレナのことがちょっと好きになり始めていた。