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Hateful blue  作者: 結桜 閑
1/3

誰かの衝動

*****


ばかなことを言わないでくれる。


ええ?


知らないなあ、まるで身に覚えがない。


いつボクがそんな思わせぶりな言葉を発したか言ってみなよ。


とりあえず、ボクは君と付き合う気はさらさらないし、そもそも君のことを好きだと思ったことが一度もない。


……あー、あのねえ、受話器の向こう側でしくしく泣かれても困るよ。


あのさ、勘違いしないで欲しいんだけど、別にボクは君に同情してあげてるわけじゃないからね。


ただ単に通話時間が長くなって料金が積み上がっていくのが心配なだけ。


ああ、この場合料金は君持ちだからある意味同情かな?


まあそんなことどうでもいいや。


正直今誰かと話したい気分じゃないの、そろそろわかってくれる?


ずいぶん冷たいのね、って? ああそうかもね。


普段は人付き合いがとても面倒だから口数少なく生きているけど、ボクはもともとそういう性分なんだからさ、そこんとこも含めた上で、まあ余裕さえあればの話だけどもう一度吟味してみたらどうかな。


え?なに、聞こえない。


もうちょっと声のボリューム上げて……、ああそう。


急に偉そうになったのが気に食わなかった?


ボクのことは幾らでも罵ってくれていいよ。


でも残念ながらボクはMじゃないからね、多少は不快感を感じざるを得ないから、ほどほどにね。


……なに、どうしたの急に黙りこくっちゃって。


あー、君の弱味?


君の個人情報は名前と性別とケータイ番号くらいしか握ってないし、バラしてもいいけどボクにそんな趣味はないよ。


第一、特に興味のない君の情報なんて、その辺を歩いてる人の個人情報よろしくどうでもいいかな。


酷いって?


うん、うん、わかってる。


言っておくけどね、今ここで君がどれだけボクを褒めようと蔑もうと、ボクの君に対する評価は変わらないよ。


この数分の会話で何かが変わるとでも思った?


ボクの中の君の株が特別上がるとか下がるなんてことはいくら待ってもないからね。


そもそもボクはそんな目でキミのことを見れない。


あと最初に言おうと思ってたんだけど、君くらいの女性ならもっといい男がいるはずだよ。


なんでボクなんかに惚れちゃったの?


かわいそうな人。


第一印象が素晴らしい人ほど信用しちゃいけないよ。


次からはもっとマシな恋愛をした方がいいよ、恋人のいたことのないボクが言えた話じゃないけど。


そろそろ話もまとまってきた頃だし、通話終わりにしない?


うん、そう、そういうこと。


じゃあ……あ。


またね、なんて女々しいことは言わないから。


また会う気は全くないからね。


期待させるようなことは極力言わないようにしているだけ。


それにしても君はすごいと思うよ。


このボクのことをここまで追いかけてきたことがね。


じゃあ、お互いの幸せを願って。


さよなら。


*****



ボクは静かに静かに、受話器を置く。




空っぽになった両手を組んでグッと伸びをし、そのまま机に突っ伏して重たい瞼を閉じた。

闇を生み出した細いペンの先が、歪んだ青を頬にえがいていた。


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