普通なんだよ?
普通ってなんだろう?
周りと同調できることが普通でできないとオカシイのだろうか?
私はたぶん周りと同調が苦手なオカシイヒトの部類に分類される気がする。
「あれ? 私の普通はオカシイのかな?」
そんな風に思ったのは中学の時。
人と普通をすり合わせれなくて息苦しかった。
それでも半分夢の中。まわりから目を逸らして時間を過した。
私が愛し、逃げた先は本を読むこと。
主人公たちの行動にドキドキハラハラ恋をする。
何度も何度も繰り返し読む。
狭い世界がひろがってゆく。
そこだけがホントウの世界だった。
小さな箱庭を少しずつひろげていく作業は楽しくて仕方がない。
私は夢中になって、他の人の描き出す世界に触れた。
ああ。
なんて素敵なんだろう。
甘やかな世界も、キビシイばかりの世界も、それはとても素晴らしい世界。
手の届かない恋しさ。
あまりにも遠い愛おしさ。
それは人の心が描き出す世界。
私は人に恋することを手放せない。
その世界。
その登場人物。
そのルール。
それは全て、その人なのだ。
素晴らしい世界に触れ、恋をする。
とても愛おしくその世界に触れたい。
それはあなたと関わりたいと思うこと。
どうか、あなたの心に触れようとしても、私は許されるのだろうか?
それは恐怖だ。
拒絶される恐怖。
恋し、愛おしくなったあなたからの拒絶がおそろしい。
『普通』
そんなこと考えないよ。
私は気になる。
『普通』
当たり前のことだよ。
私は知らなかったんだ。
『普通』
その言葉がナイフのように鋭い。
だから、こわい。
私は『普通』なんか知らないから。
痛いことは嫌だ。
それなのに愛しく想う人を切り裂く言葉を放ってしまうかもしれないのだ。
私は恋した人の心を傷つけたくない。
見えない傷は人には見えないから。
でも、傷つけたくないのだ。
私は『無関心』の痛さも知っているから。
ソレが痛くなくなっても、ソレはじぐりと重いのだ。
だから、心に感じた言葉を残す。
いろいろな言葉を飾らず感じたことを。
返事なんかこないと戒める。
期待することは嫌だから。
私は『普通』であることなど分からない。
人が何を求めるかなんてわからない。
でも、もしかしたら、私じゃなくても、思っているかも知れない。
嫌われてるかもしれない。
受け入れられることはないんだと思う。
それでも、
やっぱり、
好きなんだよ。
私が私の普通を受け入れたのは、もう、どうでも良くなったから。
他の人の描き出す『普通』が私を殺すだけのものだったから。
それなのにどうして、世界は優しいんだろう。
テレビが歌う虚構の世界に魅せられる。
ああ。
なんて、甘美な死の世界。
そして私は痛さすら愛おしい君に出会う。