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2.恋文は犯罪予告

信じられないことに公爵……フィザリス様との婚約が決まりました。

初めは1ヶ月と言われましたが、もちろん却下。

恋人期間が欲しいのと、結婚準備のあれこれを1つずつ楽しみたいからという理由で1年という期間を手に入れました!


「…ミモザ、すまない。私に力が無いせいで」

「あら、政略結婚だと思えば中々の優良物件ですわよ?」

「……どこが?お前の頭は大丈夫か」

「お兄様、酷いわ!だって顔がいいもの。ねえ、お母様もそう思いますよね?」

「いくらお顔が良くても監禁されるのは嫌だわ」


なぜかしら。味方がいないみたい。


「フィザリス様は監禁の実績がおありなのかしら」

「怖いことを聞くなっ!」

「だって、お言葉だけなのか実行済みなのかはかなりの差がありますわよ?」


思うだけなら自由です。出来ればお言葉にもされないほうが望ましいですけど。


「最初の奥様は分からないけど、2番目の奥様は中々家から出してもらえないと憤っておられたわ」


まあ!まさかの本物の監禁魔のようです。でも、文句を言えたということは出て来られたということですよね。そのあたりは要努力ということかしら。


「分かりました。では、お部屋の中ではなく、お外での楽しみをプレゼンしながら頑張ることに致します」

「……婚約破棄しないのか?」

「まだ何もされていないのに?」

「されてからじゃ遅いんだぞ」


ん~。でも、先日はお願いしたら聞いて下さったし。


「相手は公爵家ですわ。下手なことをして我が家に何かあっても困ります。まずはお手紙を貰ってから考えますわね。兄様、心配してくれてありがとう」


まだ言いたいことがありそうですが、ここで家族会議は終了です。だって結局のところ公爵家相手に理由も無くお断りなど出来ません。ならば腹を決めましょう。


「まあ、なるようになりますよ」




♢♢♢




「お嬢様、お手紙が届いております」

「…………これは手紙かしら」


思わず使用人と二人で首を傾げてしまいます。

だって、封筒の厚みがおかしいわ。


「よく破れなかったわね」


残念ながら、取り出す時に封筒が少し破れてしまいました。それくらいミチミチに入っていたのです。


ドキドキしながら読み始めます。

残念ながらときめきではありません。これは未知への恐怖です。


冒頭はごく一般的な挨拶から始まり、婚約出来た喜びなどが綴られております。それから私のデビュタントの時のこと。


『貴方が私の前に現れた時、私の魂は歓喜に震えました。

なぜ、どの部分に惹かれたのか。それはまったく無意味な言葉であり、貴方のすべてが私を支配したのです。』


「ええ?そんな、いとも簡単に支配されちゃったの?本当に大丈夫かしら」


『あの夜からずっと貴方に恋焦がれています。

貴方の声が聞きたい。貴方の瞳に映りたい。貴方を私だけのものにしたい。何度貴方を攫いに行こうと思ったことか。』


「……犯罪予告?」


『貴方を私の腕の中に閉じ込めることが出来たなら、それはどれ程の幸せでしょう。』


「監禁場所が狭すぎるわ。せめて邸内、最悪でも室内かと思っていたのに、腕の中だなんて半径1mも無いじゃない。さすがに狭苦しいです。却下ですわ、却下!」


『貴方の為の部屋を用意しました。ぜひ、招待したいです。貴方の為にあつらえた品々を喜んでいただけることを願っております』


「さっそくお家への招待ですか。それもお部屋指定。危険な香りがするのは気のせいでしょうか。

…まさか格子付きの嵌め殺し窓とか外鍵のドアとか?

ドレスか何かを(あつら)えたのよね?監禁部屋を(しつら)えたのではないのよね?」


どうしましょう。お宅訪問がドッキドキな案件です。

でも、おかしな準備をしていないことを確認したい気持ちもあります。

とりあえず考えるのは保留にして続きを読みましょう。


『貴方の好きな苺のタルトと春摘みの茶葉を用意しておきます』


……どちらも好きよ、好きだけど貴方に教えた覚えがないわ。え、調べられてるの?嗜好品まで調べちゃってるの?

そうよね、誂えたと書いてあったわ。もしかして身体のサイズまで調べられちゃったの!?

思わず胸元を見ます。いえ、小さいわけではないし、そこそこあるから困りはしないのですが、何とも恥ずかしい……。


最後は『貴方のフィザリスより』と書かれて締め括られています。


「いつから私のものなの……」


野に放ってもいいかしら。でも、飼ったならば最後まで責任を……いえ、勝手に住み着く場合はどうなのかしら。ああ、ツッコミが追いつかない。


疲れました。便箋8枚に綴られた犯罪予告は中々のパンチ(りょく)でした。






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