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束縛強めの溺愛公爵とのんびり令嬢の恋愛(調教)物語  作者: ましろ


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12/18

12.所有印

「それは駄目だ、ミモザ」


フィザリス様がフルフルと頭を振りながら嘆いています。


「こんなに美しい姿を他の男達に見せるだなんて許せないっ!」

「まあ、美しいと思って下さるの?」

「……うん、凄く綺麗だ。デビュタントの頃の可愛らしさと清純さに、小悪魔ミモザが降臨して更に魅力的になってる」


小悪魔って褒め言葉なの?初めて知りました。


「それならばすべてフィザリス様のせいですわ。だって、貴方に出会ったからこういう私になったのですもの」


フィザリス様の欲を躱すには、何故か小悪魔モードが一番上手くいくのです。

感情を隠さなくなったフィザリス様は、ちょいちょい情欲も溢れ出るから要注意。でもそれを必死に抑えて下さる姿に愛を感じてしまう、私はちょっぴり悪い子になりました。


今日のドレスは淡い水色です。そこに黒糸での刺繍と黒のリボンで引き締め、可愛らしさと小悪魔感を出しているのだとマルグリット様が仰っていました。

イヤリングとネックレスは小ぶりなサファイアで、黒髪で青い瞳のフィザリス様カラーを纏っているのですが、どうやらお気に召したようで嬉しいです。


「フィザリス様こそ、こんなにも素敵なのですもの。絶対に私の側から離れないで下さいね?私以外と踊っては嫌ですよ」


離れたら最後、私を妬む女狐や女豹達に嬲り殺されそうですから。女の嫉妬は怖いのです。


「……ミモザが嫉妬?」

「はい、嫉妬してしまっても許して下さる?」

「否定しないだと!?……もちろん許すよ、行こう!今すぐ行こうっ!」


相変わらずチョロくて助かります。

あの時の喧嘩のおかげで私の気持ちも少し前進しました。

このチョロくて少し重たい愛のあるフィザリス様が可愛いと思う。多少舐められたり噛まれたりしても仕方がないなぁと頭を撫でてあげられるくらいには愛が育ったと思います。




◇◇◇




王宮での公式な場に婚約者として赴くのは今日が初めてです。これでもかなり緊張しているので本当に私から離れないで欲しいと切望しております。


「嗅がないで下さる?」

「だって抱き締めたいけどドレスや髪が乱れるじゃないか。触れる以外に感じられるのは君の香りだけだ」


うっとりとほほえむ姿はなかなかに眼福な男前ですのに、発言はただの残念な変態さんです。


「私の緊張を解そうとして下さっているのですね。嬉しいですわ」


彼の手をそっと握る。私よりも大きな温かい手。


「ちっちゃい可愛い舐めたい」


なぜすぐに口に入れたがるのかしら。やっぱりわんこだから?


「ばっちいから駄目」


唾液臭くなるのは遠慮したいです。


「君に汚いところなどない。許してくれるなら君の足を舐め「フィザリス様はダンスはお得意?」


なぜ足を舐めるの?わんこの気持ちは難しいです。


「うん?まあ、普通だと思うが」

「私、とても緊張していますの。足を踏んでしまったらごめんなさい。今から謝っておきますわ」

「君に踏まれるなんてご褒美だ」


……なぜ?そんな褒美は聞いたことがありませんけど。


「フィザリス様はおかしな方ね」

「君のせいだ。だから早く私のものにおなり」

「まだ半年以上ありますわよ?」

「……公爵家で暮らさないか」


あら、まさかのお誘いです。


「君が足りなくて死にそうなんだ。私を哀れだと少しでも思ってくれるなら」

「マルグリット様に鉄扇で叩かれますよ?」

「それくらい甘んじるさ」


踏まれたいとか殴られるのも厭わないだなんて、いつの間に新しい扉を開いてしまったの?


「味見ははしたないですわ」

「だって心配なんだ。君はどんどんと魅力的になるから。どこかで異国の王子に見初められて連れ去られたらと思うと……」

「フィザリス様も恋物語をお読みになるのですね」

「……だって君が好きだと言うから」


ああ、なるほど?読んでみたら略奪愛だったから、私もそれを望んでいるのではと不安になったのですか。


「平平凡凡な子爵家での生活から私を略奪したのはフィザリス様ですよ」


あら驚いてる。自覚がなかったの?


「私に、略奪されてくれたのか」

「どうでしょう?」

「………帰りは覚えてろよ」


まあ、怖い。煽り過ぎてはいけませんね。


「あ、そろそろ着きそうですわ」


そんな私の言葉には返事をせず、私の手袋をスルリとずらすと手首にキスをされた。

チリッとした痛みがして少し驚く。

ちゅっとわざとらしくリップ音をさせ、ようやく放してくれた自分の手を見ると、そこには薄紅の跡が。


「君は私のものだ」

「……何ですの、これ?」

「知らなくて安心したよ。それはキスマークだ」


これが噂の?先日読んだ本にも書いてありました。

『初夜を終えた花嫁の首筋から胸元にかけて薄紅の花びらが……』と物語の内容を思い出します。

所謂、所有印ですわね?痛みがあるとは初めて知りました。


「私にも出来ます?」

「いいのか!?ああ、だが紅が取れてしまうな。

帰りならばいくらでも構わない!思う存分付けてくれ!」


一回でいいのですけど。でも、機嫌がなおったみたいでよかったわ。


そんなやり取りをしていると、ようやく到着したみたいです。


「では、ミモザ。行こうか」

「はい」


さて、頑張りますか。







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