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束縛強めの溺愛公爵とのんびり令嬢の恋愛(調教)物語  作者: ましろ


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10/18

10.恥ずかしいの種類

あらまあ。美形だと泣き顔すらお美しいのですね。思わず見惚れてしまいました。


「フィザリス。いい年をした大人が泣いても何もいいことはありませんよ。みっともないからお止めなさい」


あらら。残念ながらお母様はその限りではないようです。


「フィザリス様、そのように泣かれては見ている私まで悲しくなってしまいます。何があったのか仰って下さいませんか?」


もしや、私の物言いが不愉快だったとか?

それならばお別れしなくてはなりませんわね。


「……君があまりにも優しいから」

「はい?」


先程の会話のどこが?あれで泣くほど優しいなら、普段はどれほど罵られながら生きていると言うのです?


「ん~~~、もしやお別れした奥様達のことでしょうか?」


だってマルグリット様は確かに厳しめですがふだんは領地にいらっしゃるのだし、使用人の皆様はお優しいですもの。お父様の口振りだと社交界で虐められているようにも思えません。


「………気持ちが悪いと言われた」

「まあ、何があったのです?」


何をやらかしたら妻に気持ち悪いと言われるの?


「……ただ、妻が傷付くことのないように呼ばれるお茶会の参加者を調べて教えてあげたり」


あの調査能力ですか。確かに少し怖いと思いましたわね。きっと奥様はご自分のことやご実家のことなども調べ上げられていることに気付いて慄いたのではないかしら。


「逆に、わが家でお茶会をする時にはより良くなるようにと少々手出し口出しはしてしまったが」


ああ、そうやって奥様のプライドを傷付けてしまったと。


「あとは、天気が悪くなりそうだからと外出を止めるようお願いしたり」


それでは雨期はずっと家から出られませんね?きっと暑さが続いても冬の寒さでも同じことを言ってそうです。

それが監禁事案の真相ですか。


「……それに、ベタベタと触れてくるなと手を振り払われ」


たぶん、嫌悪感がピークに達していたのでしょう。

一番狭い監禁場所(腕の中)が嫌だったのは理解出来ます。


「どうせお前は使用人のいる前で妻を膝に乗せ、手ずからご飯を食べさせたり、横抱きにして移動したりと恥ずかしい真似をしていたのでしょう?」

「なぜそれを!?というか、ミモザの前で暴露するのは止めて下さい!」

「涙で同情を買おうとするからこうなるのです。反省なさい」


ピシャリと叱られ、垂れ耳が見えるようです。

さて、どうしましょうか。


「フィザリス様?私は貴方に触れられることは嫌ではありませんわ」


嫌悪感があるならさすがにお断りをしています。


「でも、羞恥心はありますので、何でも受け入れることは出来かねますの」

「そんな!夫婦の間で恥ずかしがる必要など無いだろう!?」

「たぶん、そこですよ。フィザリス様の駄目なところは」

「えっ!?」


あら?駄目だとはっきり言っちゃったわ。

まあ言ってしまったものは仕方がありません。


「たぶん、フィザリス様と奥様とでは、恥ずかしいの種類が違ったのではないかしら」

「……恥ずかしいに種類があるのか?」

「そうですね、フィザリス様は奥様が照れていらっしゃると思われたのでは?」

「それ以外に何があるのだ」

「私が思うに、奥様は淑女としてあるまじき姿に恥じ入っておられたのではありませんか?」

「淑女?だが、すでに私の妻で」

「妻である前に淑女なのですよ。だって淑女とはこうあるべきだと10年以上も教育を受けているのです。片や妻にはなったばかり。それならば淑女としての意識の方が強いのは仕方のないことだと思いませんか?」

「そんな……では、私は妻を」

「軟禁して辱めていた極悪人ね」


マルグリット様、止めを刺さないで下さいませ。

これはもうデートは無理そうです。それは構いませんが、せめてこちらで苺タルトだけは頂きたいと思うのですけど、そんな余裕は無いかしら?

いいえ、諦めるのはまだ早いですわ。


「フィザリス様、温かいお茶でも飲んで少し落ち着きましょうか」


出来ればタルトも。苺のタルトもお願いします!


「……ミモザはどうしてこんなに優しくしてくれるのだ」

「ふふ、婚約者ではありませんか」


だってタルトに罪はありません。そろそろ喉も渇いて来ましたし。

個人情報を暴かれたのですもの。美味しいことがなければやっていられませんのよ?


「マルグリット様、よろしいでしょうか?」

「……まあ、なんていい子なの?フィザリスはお馬鹿だけど、女性を見る目はあるようね」


わーい、褒められました。ようやく猫から人になれたみたいです。


それから、三人でのティータイムとなりました。

苺のタルトだけでなく、美味しそうなデザートがいっぱいです。

……駄目です。甘いものは1日ひとつだけと宣言してしまいましたわ!

これはフィザリス様にやつ当たらねば気が済みません。


苺のタルトを堪能したあと、ザッハトルテを。


「フィザリス様、お口をあけて?」

「……は?」

「ほら、あーん♡」


んふふ、どうです?お母様の前でのあーん攻撃ですよ。


「いや、だが…」


困ったようにチラリとマルグリット様の方に目を遣り、


「どうしたの?こういうのがお前の好きな甘やかしなのでしょう?見ていてあげるからどうぞお食べなさいな」

「マルグリット様のお許しが出ましたわ。

ささ、恥ずかしがらず、あーんして下さいませ♡」


あらあら、お顔が真っ赤です。さすがのフィザリス様もお母様の前では恥ずかしいのですね。


「ミモザ……」

「どうぞ?」


縋るような目をしても許しません。何が駄目だったのかを体感なさいませ。


それから、意を決したようにパクリとケーキを口に入れ、もぐもぐゴックンした後に、


「大変申し訳無かった」


と、謝罪の言葉が言えたフィザリス様は大変お利口さんでした。







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― 新着の感想 ―
嫁姑の息が合いまくりですね!よいです!
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