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詩❲心理描写-暗❳

(w)hole world

作者: 日浦海里

信じていた世界が

ホントの世界じゃなかったとしたら

どんな気持ち?


優しい嘘は薄汚くて

伸ばされた手は引きずり回すためで

浮かべた笑顔は嘲笑の仮面で

重ねた身体には温もりなどなくて


真っ白で柔らかくて優しいと信じた世界は

冷たくて青くて暗くて黒くて昏くて闇くて

寂しくて怖くて辛くて痛くて儚くて汚くて

てくてくてくてくてくてくてくてくてくて

くてくてくてくてくてくてくてくてくてく


ここがホントの世界じゃないなら

ホントはどこにあるんだろう


楔に繋ぎ止められて

引き剥がされてるこの世界


ホントの世界と交わらないよう

ホントの世界が汚されないよう

酷と欲と肉と毒と濁と賊と獄と漠とが

引き剥がされて

縫い付けられて

縛り付けられて

生きている

遺棄してる


汚れきった偽りの世界

今更ホントの世界と交わったとしても

ホントの世界を食い荒らしちゃって

あっという間に汚してしまう


それならいっそこのままで

静かに汚れて落ちていって

いなくなったほうがいいかもね


蜘蛛の糸は垂らされない

救いなんてどこにもない


交われば壊れる世界になんて

誰も救いの手は差し伸べない


真っ直ぐな真実は恐ろしく美しくて

握りしめられた手は容赦ない力強さで

哀れみの涙はその頬を流れるばかりで

熱を帯びた感情は触れることもできなくて


黒い靄が隠していた優しさを知らなかった世界は

冷たくて温かくて暗くて明るくて

同じで違って優しくて悲しくて切なくて

愛しくて苦しくて泣きたくて生きたくて


ここがホントの世界じゃなくても

あれがホントの世界かはわからない


ホントなんてどこにもなくて

けれどイツワリだってないかもしれない


こんな救いのない世界が

ホントの世界じゃないって信じたい

どこかに救いはあるんだろうって

ホントの世界があるんだろうって

そう信じたいから自分を騙してる


優しい嘘は薄汚くて

でも

伸ばされた手は抱きとめるためで

浮かべた笑顔は引きつっていて

でも

ぎこちなく抱きしめられた身体は

ほんのりと温かい

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― 新着の感想 ―
[良い点]  堂々巡りの思いが繰り返す言葉に映されるようで。  いきどころのない感情が諦めの言葉と重なるようで。  締め付けられるような文字の中。  それでも最後に救いが見えて。 [一言]  感じ方…
[一言] でも、やさしさはきっとある きっと、ぬくもりもあるはず きりのなかから さしだされたてのように くらやみにともる にほんのろうそくのように うそだらけのよのなかの うそみたいなこのばし…
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