赤い機兵
久々の連投稿です。
突如現れた赤い機兵により、難を逃れた俺達は、頭上に浮かぶ赤い機兵を見つめていた。
あの異形な大型モンスターを一瞬で塵と化させた。
言わずもがな、その攻撃力は圧倒的だ。
どうする?
もし敵ならクラナを守りながら戦わないといけない。
だが、機兵と戦って対応ができるであろうか?
俺は様々なケースを考えて対応――
「おい」
「あ、はい」
色々と考え込んでいると、赤い機兵から声を掛けられる。
「逃げださず、仲間を最後まで守ろうとするその姿を見て、お前達を助けようと思った」
「え?」
そう言うと、頭上から舞い降り、砂地に着陸する赤い機兵。
コックピットが開くと、現れたのはブロンドの長髪に、褐色肌でコバルトブルーの瞳が綺麗なイケメンが現れた。
うん?
よく見ると左目に眼帯をしている。
眼帯を付けたイケメンは機兵から舞い降り、俺達に近づいてくる。
俺はすぐさま警戒するが、イケメンは両手を上げる。
「お前達を攻撃するつもりはない」
確かに俺達に対する殺気は感じない。
「お前達がそこの穴から出てきた時から見ていた」
「俺達を見ていたんですか?」
「あぁ。 お前達があの大型のモンスターと壮絶な戦いも見ていた」
なら早く助けにこいよ!
「お前達がよからぬ者達かどうか見極めるため、少し様子を見させてもらっていた」
「あ、そうでしたか」
ごもっともな答えに、俺でもそうしたであろうと考えがつく。
そうだよな。
助けたと思っても、悪い奴だったら後味が悪い。
先程の早く助けにこいよって言葉は訂正させていただきます。
すいません。
「助けに入るのが遅くなって悪かったな」
「あ、いえ、こうして助けていただいたんですから、むしろ、こちらが助けていただいてすいませんですよ」
「そう言ってもらえると、こちらも助けた甲斐があった。しかし、君たち二人はお互いを思いながら戦っていた。 その姿を見て死なせてはいけないと俺は思った」
「いや、ただただ必死だっただけだと思います」
「その必死さが、時に運命を決めるのだ」
「それなら、全部クラナが運命を手繰り寄せてくれたんだと思います」
「謙虚だな」
そう言うとイケメンは白い歯を見せ笑顔を見せる。
くぅ……イケメンの笑顔は見ていてモヤッとするが、この人の笑顔は男の俺でもキュンッてする。
助けていただいたからではなく、心の底からそう感じたんだ。
それに、クラナについては本心だ。
クラナが居なければ俺は異形なモンスターにやられていたと思う。
あの時、クラナが身を投げてまで俺に着いてきてくれた事を感謝しなければいけない。
俺は誰かに生かされているんだと改めて感じた。
クラナを見ると、かわいい寝息を立てている。
ほんとありがとな、クラナ。
「すまない。 まだ名を名乗っていなかったな。 俺はローガンだ」
「あ、俺は市原迅人と言います。 そしてこの子はクラナと言います」
「迅人君にクラナ君だな」
「あ、俺は迅人とお呼びください」
「なら俺もローガンと呼んでもらって構わない」
「いやいや、命の恩人に対して呼び捨ては」
「なら俺も呼び捨てはできんな」
頑なに拒むローガンさん。
綺麗な瞳なのに、俺を見る目が怖い。
「わかりました……ローガン」
「それでいい。 迅人よ」
ローガンはそう言うと、クラナに視線を向ける。
「クラナ君は必要以上に力を酷使したようだな」
「はい……俺が不甲斐ないばかりに」
「そんな事はない。 あの機兵の状態で、あそこまで対処できていたんだ。 迅人は最善を尽くしていた」
「そう言ってもらえるのは嬉しいのですが、クラナがこんな風になってしまった以上、俺の弱さが原因ですから」
「今は何を言っても自分を責めてしまうだろう。 俺には迅人の気持ちは分からない。 だが本性は行動に出る。迅人はどっちだ? 今日起こった事を今後にどう生かすのか、それともここで立ち止まるのか?」
先程とは違い、怖さを感じない瞳。 今は俺を見守っている温かな瞳だ。
そして、始めて会ったはずなのに、ローガンの言葉がスゥ―ッと胸に入っていく。
俺とそう歳が変わらないローガンを見ていると、いくつもの修羅場をくぐってきたオーラを感じた。
「いいえ、俺は今日起きた事を糧にして進むつもりです」
「フッ。おもいっきって吹っ切る事もたまには良いものだ」
「そうですね」
「さて、気持ちの整理も一段落したところで、クラナ君をそのままにはしておけん」
「あ、この近くに治療ができる町や村はありますか?」
「いや、無い」
「そ、そうですか……なら、クラナだけでもローガンの機兵に乗せて治療ができる場所まで連れて行ってもらえませんか?」
「その必要はない」
「えっ?」
ゴゴゴゴゴゴゴ―――
ローガンが必要はないと発した瞬間、地面が揺れ出す。
「クラナ君は、俺の船で治療すればいい」
「はっ⁈ ふ、船⁈」
すると、目の前の砂海から徐々に船が浮上してきたのだ。
そう……船は船でも、これは―――
「潜水艦⁈」
「そう。 これは俺の船……エンデヴァーだ」
おやっさんの船までとはいかないが、それでも大きな潜水艦が俺の目の前に姿を現したのであった。
目を留めていただき、ありがとうございました。
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