trouble?
誰だ?
こんな所まで来て、俺に会いたいと言う人は?
あ、一人心当たりがあるけど、そのお方は今は多忙なため会いに来れません。
そうです、氷歌のことです。
でもなんだろうか……会えばきっと――
「面倒くさそうとか思っているだろう」
「アウチッ⁈」
突如俺の視線にデカく、褐色肌の厳つい坊主が割って入ってきた。
しかも俺の考えを見透かしやがった。
いったいどうやって俺の考えを――
「いや、だから顔に出ていると話をしていたではないか……」
「あ、そっかそっか。 気を付けよっと」
王林に言われ、問題は解決……いや、これは死活問題だ……早急に対処せねばならん。
こうも俺の考えを見透かされると今後の俺の人生に影響を――
「及ぼしかねんとか考えているんだろ~が、治せるのなら治した方がよいだろうな」
「また~……まぁ、別に分かるようにワザとやっているんですけどね」
「嘘だ」
ロックさんにすぐ看破される。
はい、嘘です。
「それで、俺に会いたいと言う人はどういった方なんですか?」
「あぁ、迅人に会いたいと言う人は……あぁ……行けば分かる」
「軽く説明とかないんですか?」
「う~ん……とにかく元気だ」
「先程俺の考えを見透かしたと思うんですが、俺の考えは当たっているんじゃないんですか?」
「そんな事を言ったら会ってはくれないだろうがお前は」
「ちなみに拒否権は?」
「拒否したら、あの時拒否しとかなきゃよかったな~っと思う日が凄く近い内に来るだろうな」
「そこは遠い日なんじゃないんですか⁈」
会わなきゃすぐに酷い目に遭うって事じゃなね~かよ!
久々に頭の中に警報が鳴り響く。
この警報音はどっちの警報音だ?
行かなければいけない方なのか?
それとも行くべきではない方なのか?
だが、ロックさんは信用できる人だ。
ならなぜちゃんと説明がないっ⁈
俺は自身の思いと葛藤する。
上がったり、下がったりを繰り返す。
「は、迅人……私もちゃんと説明を省きすぎている事には悪くは思っている。 だが、お前にとってはプラスになる事は確かだ」
「分かりました……行きます」
「は、迅人……が、頑張るのだぞ」
なんだよ皆引き攣った顔をして……
「お、おう」
俺は王林達に励まされながらロックさんの後を付いて行く。
「あのなぁ……別に死にに行くわけではないんだぞ」
「なら説明をしてくださいよ」
「実はな……皆の前では言えなかったのだが、迅人に会いたいと言う人は、私のお師匠なのだ」
「ロックさんのお師匠様ですか? な~んで俺に会いたいんですか?」
「わからん……突然、お前がここにいるんだろうっていきなり来られたんだ……何かしたのか?」」
「俺はここに来てまだ日は浅く、悪さをする程気は強くはありませんぜ」
「急に口調を変えるな。 気持ちが悪い……素でいろ、素で」
「はぁ、わかりました」
気持ち悪い余計でない……この――
「私の事を悪く思うのは勝手だが、師匠の前では止めておくんだぞ。 あれでも我が国最高にして、最強の部隊……第一騎兵部隊長、白彪のオレオールなのだからな」
「おっと! 今日はすっごく大事な用があった――」
「既にお前を連れてそちらに向かいますって連絡は入れているんだ。 逃げられると思うなよ」
「くっ⁈ なんてこった……」
何で俺なんかに第一騎兵部隊長が会いたがるんだよ!
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