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break fast

「おはよう、迅人」


王林が挨拶をしてくれた。


「あぁ、おは……よう」


テーブルの上にはこれでもかと言うぐらいの……いや、朝食にしては多すぎる程の量が置いてある。

でもちゃんとバランスの取れた食事だと思う……けれども多い。

俺はそれを見てしまい、少しどもってしまった。


「ほら、迅人さん引いてるよ~」


面白おかしく言うのは津雲である。


「迅人が何を引いているというのだ? 津雲よ?」

「あんたのその食事の量だっつーの」

「そ、そんなことないよな? 迅人もこれぐらいど~ってことないよな?」

「えぇぇ……」


俺が困っていると津雲は俺を見ながら笑っている。

実際、このぐらいの量を食べていても、王林は太っている様子は見られない。

むしろ理想の体型を維持しているのが見てわかる。

それだけ消費量が半端ないのと、鍛錬によって維持されているのであろう。


「ほ~ら! 迅人が困ってるんだからそこまでにしなって」


俺が困っていると、間にクララが入ってくれる。


「あ、あぁ、すまない迅人」

「い、いや、気にしていないし、むしろこれぐらいの量を食べる子は魅力的だと思うよ」

「そ、そうか⁈ ふふふ……魅力的……」


王林は何故か俺に背中を見せ、何やら呟いている。


「まったく、王林てば……迅人はまだ朝食食べてないんでしょ?」

「あ、あぁ、まだ食べていない」

「なら一緒に食べようよ」


クララがそう言うと、隣にあるテーブルを焔が。

イスをフィールが用意してくれた。


「ありがとう焔、フィール」

「いえいえ、気にしないでください」

「さぁ座るといい」


俺は二人にお礼を言い、椅子に座り、適当に料理を頼む。


「迅人はダンジョンに潜ってたの?」

「あ、あぁ」


巌樹様の事は言うわけにはいかない。

俺は何とか言い繕う。


「へぇ~、しかも一人で潜るんだもん。迅人は凄いよ~」

「たまたま運が良かったんじゃないかな?」

「いや、まだ日が経っていないのに、迅人……お前また強くなっていないか?」


そう聞いてきたのは焔だ。

真剣な眼差しで俺を見つめる。

美人さんに見つめられるのは嫌じゃないが、この眼差しは正直怖い。


「焔からそう見えるのなら、俺も嬉しい限りだよ」

「いや、私はそう意味で――」

「はいはい! そういった話は相手の方が話したい時に話すもので、無理やり聞き出すもんじゃなないぞ~焔」


俺が困っていると、先程までとは態度が180度変わった王林が助けてくれた。

何だかんだで、このパーティーのリーダーなだけはある。


「さぁ、迅人の食事も届いた事だし、食事を再開しようではないか」

「う、うむ……そうだな……迅人すまなかった」


バツの悪そうな顔をしながら謝ってくる焔。

先程とは違う表情を見せる。

そのギャップに正直かわいいなとさえ思えてしまう。


「別に謝る事ないさ。 俺は全然気にしてないからさ」

「そうか……そう言ってくれると助かる」


焔は俺に笑顔を向ける。

かわいい……。

つか、このパーティー全員レベルが高い。

高いと言うのはかわいさレベルだ。

正直俺如きが、王林達と話をしている事の方が場違いと言うもんだ。

周囲の男衆達から痛い視線を感じるし……

男衆よ……お前達の考えは俺には手に取るように分かる……分かるんだ。

けど、許してくれ。


俺達は食事を再開し、自分達が持っている情報を交換しながら食事をした。

何だかんだで朝食に2時間はかかっていたが、皆の話が面白くて、もっと話をしていたかったが、突然背後から話しかけられると、楽しかった時間に終わりが訪れてしまった。


「楽しそうな所邪魔して悪いな」

「うん?」


俺が後ろを向くと、厳つく、威圧感が半端ない大男が立っていた。

日差しが邪魔で顔がよく見えん。

見えんが誰かは見当がついていた。


「どちらさまでしょうか?」

「おい……分かって聞いている事ぐらい私にもわかるぞ」


俺の顔付近まで、グイッと顔を近づけてくる。

あぁ、近い。


「あぁ、おはようございますロックさん」

「おはよう、迅人」


白い歯をニカッと見せ、俺に挨拶をしてきたのは、ここの協会でマスターをしているロックさんだ。

相変わらず岩のように固そう……いや、固いんだろうな。

俺がロックさんの無駄にある筋肉を凝視していたら胸筋がビクンと跳ね上がる。

正直、男としてそれは羨ましいと感じてしまった。

俺も筋肉付けようかな……?


「何を考えている?」

「あ、いや、何でもありません」

「最初、少し失礼な考えをしたかと思ったら、少し、いや、か~なりいいなぁっと思っただろ?」

「な、何で分かったんんですか⁈」

「いやいや迅人よ……それだけ浮き沈みが激しかったら丸分かりではないか?」

「えっ?」


王林に指摘され、どうやら俺はロックさんの顔を見て嫌そうな表情をしていて、筋肉を見る時の顔は嬉しそうな顔をしていたらしい……気を付けよ……


「さて、食事を終えたばかりのところすまない」

「あ、全然大丈夫です。 これからロックさんも朝食を取るところですか?」

「いや、私は既に朝食は済ましている。 実は迅人、君を探していたのだ」

「俺を……ですか?」


なんだろう?

俺何かしたか?

スレッドワームの鋼糸は全て渡したし……不正をしていない事は確認は済んでる……ならなんだ?


「迅人よ、君に会いたいと言う人が協会に来ている」


お読みいただきありがとうございました。

お読みいただいた皆様に感謝を!

体調不良のため、次回投稿は4/3になりますm(_ _)m

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