表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/107

shallow and deep

俺は夜峩さんの話を聞き終え、ダンジョンを出た。


「結局、夜峩さんのために頑張っていたんだな~夜宵さん」


まぁ、結局はお互い相思相愛の中でしたってことだったと……


正直羨ましいと思わない訳でもないが、俺にもそういった人がいたらいいなぁ~とか思うと、ふと氷歌が脳裏に過る。


「いやいや、ないな……うん、ない」

自分に言い聞かせながら歩を進め宿へと着き、俺はその日、すぐにベッドに入り、携帯を開く。

開くと着信が100件近く入っていた。


「おいおいおい⁈ こんなことをするのはお前しかいないよな~」


携帯の着信者は氷歌である。

俺はすぐに電話をかける。


――トゥル――


『もしもし、何ですぐに電話にでない? なぜすぐに電話をかけてこない?』


ワンコール終わる前にで出やがった。

携帯の前でスタンバっていたのか?


「あ、悪い悪い、今日ダンジョンに潜っていたんだよ」

『そう……なら仕方が――』

「あ、実は――」

『無い訳ないだろうが⁈ こんな時間まで潜っていたのか? あぁんっ⁈』

「えぇぇぇぇ――⁈」


出た……久々過ぎて、心配した氷歌の怒りモードの事をすっかり忘れていた。

俺が消息を絶ってから、出会った時にこの怒りモードを覚悟していた。

けど、氷歌の怒りモードは起こらなかった……

時間が経ち、氷歌も大人になったんだなと思っていた……が、違ったみたいだ。


その後、俺は久々に怒りモードの氷歌に説教されることになった。

けど、久々に聞いた怒りモードの氷歌の声を聞けて、『あぁ……戻ってきた』と実感した。


『なるほど……そうだったのね』

「はい……そういうわけで、もう深夜の3時なので、そろそろ寝かしてもらえませんかね~?」

『なに? 私と喋るのが嫌なの?』

「いや、嫌とかそういうんじゃなくて、時間が――」

『時間が何?』

「いや、だからもぅ深夜の3時なわけで……」

『眠たいわけ?』

「今日は色々とあって疲れたし、さすがに今日はもう寝たいかな~って」

「……」


返答がない……なぜだ?

怒りモードの氷歌はすでに終えたはず……充電までまだ時間がかかるはず!

何かあったのか⁈


『私は眠くない』

「俺は眠いんだよ! つか聞いてました俺の話し! あと、妙に黙るの止めてもらえます⁈」

『迅人の声を聞いていると落ち着くのよ』

「へ、へ〜」


おいおい、不覚にも一瞬ドキッとしちまったじゃね~か……

ま、まぁ、氷歌にも心配をかけていたわけだし、今日ぐらいは我慢してやるか。


「そんなに俺の声を聞きたいのなら、今日はトコトン付き合うとしますかね~」

『……』

「お~い、氷歌さ~ん? またダンマリですか?」

『……』

「氷歌さん?」

『クゥ――』

「寝てんのかよっ⁈」

『はっ⁈ 迅人の声を聞いたら眠くなっちゃった……もぅ寝るわ……お休みぃ』

「あ、え、ちょっ⁈」


プープープー


「き、切りやがった……一方的に」


ま、まぁ氷歌らしいっちゃ氷歌らしいな……


「よし! 今度こそ俺は寝るぞ! お休みぃ」


俺は一瞬で眠りについた。


だが、眠りについたというのに、誰かに囁かれたような、奇妙な体験をした。

でも、自然と嫌な気分ではなく、むしろ癒された……そんな気分を感じた。


目が覚め、時計を見ると7時。


「氷歌に付き合っていて眠る時間が少ないにも関わらず、体の調子はすこぶる良い……昨日は結構肉体的にも、精神的にも疲れていると思っていたんだけど……しかし、あれは夢だったのかな? 誰かと話をしていた感じはしていたんだけど……う~ん……思い出せない」


目を閉じ思い出そうとしたが、中々思い出せずにいた。


「まぁ、今は目も覚めたし、朝食でも食べに行きますかね~」


俺は宿を出て、営業をしている店を探す。


すると、見慣れた面々が食事をしていた。

俺が見ていると、元気な声で俺を呼ぶクララの姿があった。


「お~い! 迅人~! こっちこっち!」

「やぁ、おはようクララ」

「おはよ~迅人」


俺はクララに呼ばれ、近くまで歩み寄る。

うん、クララと愉快な仲間達であるリーダーの王林、魔導士の津雲、剣士の焔、ヒーラーのフィール達が仲良く朝食を取っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ