第2段階
「は、迅人殿……い、今何と言ったでありますか?」
夜煌は俺の一言に対し、間抜けな顔を崩さない。
「あぁ、夜煌の父ちゃん、母ちゃん、そして、みんなを元に戻してやるって言ったんだ」
「そ、その様な事が可能なのでありますか⁈」
今にも俺に飛びつきそうな夜煌はに対し、俺はしゃがみ、夜煌の頭を優しく撫でる。
「あぁ、可能だよ。幸い、まだみんな言葉を発しているから、自我を失ってはいない。自我を失っていたら俺にはどうしようもできなかったが、これなら可能だよ」
「ほ、ほんとでありますかっ⁈」
「あぁ……だから、そこでじっとして待っているんだ。俺がこれからする事に対し、俺を信じて待っていられるか?」
俺がそう夜煌に聞くと、一瞬だが『えっ』というような顔をするが、すぐに真剣な表情になり、すぐに頷く。
どうやら俺の話を信じ、決心がついたようだ。
「迅人殿、お願いしますであります!」
「OK! なら、いっちょ頑張りますかね~!」
俺は手をポキポキと鳴らし、穢れた者達の方へと歩いて行く。
近づけば近づく程腐敗臭が俺の鼻をつんざく。
だが、俺の力である【順応】が発動し、臭いは気にならなくなる。
しかし、近づいてみると穢れた者の姿はとてもショッキングな有様だ。
「うぅ……迅人殿、大丈夫でありますか?」
心配そうな声で俺に声をかけてくる夜煌に俺はサムズアップする。
俺も一応は人間だ……これでもね。
俺は一度自分の体を無に帰すまで……とは言わないまでも、いや、実際は消えたんだろうか?
うん?
俺は人間だよな?
いや、今は俺の事は置いといて、目の前にいる穢れた者達をどうにかしないといけない。
しかし、この穢れた者達を見たら、人間とはとても言えない姿だ。
それと、この様な姿にした虚ろわざる者……奴らはここまでして古代種を狙うのか。
俺はこいつらとは絶対に相容れないだろうと思った。
「蒼龍の喚起・第2段階」
ゴオオオオオオオオ
蒼い炎が勢いよく吹き出し、体中を包み込む。
そして、蒼い炎は俺の足に集まり出し、形成されていき、全ての能力がファーストフェーズとは打って変わり、飛躍的に上がる。
だが、それと同時に体に多少の負担がかかる。
しかし、これぐらいなら耐えられなくはない。
【順応】がすぐに対応しだし、気怠さも無くなる。
よし……準備は整った。
「行くぞ、『蒼龍の震脚』」
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