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Affirmation

「もぅ……氷歌ちゃん酷いよ~! 氷漬けにしといて先に行っちゃうんだもん」

「仕方ないわ。あなた騒がしいし、ずっと迅人に質問攻めで先に進まないんだもの」

「おほ~! これはあれですかなぁ? あの氷歌ちゃんが嫉妬――」

「ほほぅ~! もう一度氷漬けにされたいと? 今度は永久的に――」

「じょ、冗談です! 冗談だよ~まったくもぅ! でもそんな氷歌ちゃんが私は――」

「あなたに好かれたいなんて微塵も思っていないから」

「そ、そりゃ~ないよ氷歌ちゃ~ん⁈」


まさかあの氷漬けにされて、この短時間で氷を溶かし、ここに来るとはさずが炎帝と言ったところか……

つか、俺がいなかった5年で『帝』を授かった者が変わっていた。

だからなのかな? 炎帝に救帝……この二人に気付かなかった。

でも強いのは分かる。

つか、なんで救帝は出ていないのに、炎帝は選考会に出てんだよとツッコミたくなる。


「あなたは私の言った事を無視したおかげで、私の計画が少しだけ狂いが生じたんだけど」

「仕方がないよ~! だって、あの氷歌ちゃんが推薦を出したんだよぉ~! こいつぁ~面白いって思うのが普通でしょ~?」

「そのおかげで私がお目付け役になっちゃたんでしょうが!」

「ちぃちゃんには悪いなッと思ったんだ……あ、あと、氷歌ちゃんにも! だからそんな怖い顔をしないで。でも勝てなかったんだよぉ~……自分の好奇心に! あはっ!」

「「あはっじゃない!」」

「ぐおっ⁈」


茶目っ気ぽく笑った夏乃子さん……二人から拳骨をもらっていた……若干だが俺もイラっとしてたんでスカッとした。


「ぐぉぉぉぉお⁈ ふ、二人して拳骨をくれるとかマジありえないんですけど~! うん?はーくん今嬉しそうにしてなかった?」

「ソンナコトアリマセンテ。キノセイデスヨ」

「なぜそこでカタコトになる⁈」

「はいはい。おふざけもここまでにして、温かい内に食べましょう」

「そうですね。ふざけている間においしい料理が冷めてしまいますからね」

「おふざっけて……」


2人の切り替えの速さに俺は驚く。そして、夏乃子さんはというと、二人の言葉に多少傷ついていた。


「はーくんさぁ……私が氷漬けにされてた時、私のウィンクを流したよね?」

「さあ料理が冷めない内にたべましょうかあああ!」

「こら、人が聞いてる事は素直に――」

「うるさいわよ」

「すいませんでした」


俺達はその後、出てくる料理を楽しんだ。






「ふぅ……お腹いっぱいぃぃぃ」

「はぁ……美味しかったですぅ」

「ごちそうさまでした」

「みんないっぱい食べたみたいね。それでは迅人! 選考会2日目について話をしましょうか?」

「はいっ! お願いします!」


俺は氷歌から2日目についての話を聞き、そして、今日の反省すべき所を聞く。





「今日はここまでにしましょうか」

「あ、ありがとうございました……」


氷歌からの指摘を聞いていて、俺の心は砕ける寸前だった……


「ひゃぁ……結構言われたんじゃないの? 氷歌ちゃんも相変わらずだよねぇ……」

「いやいや、いつもの氷歌さんからしたら迅人さん高評価ですよ! 氷歌さんの言葉から迅人さんが頑張っていた事が伺えましたし。それに、他の人ならここまで良かった点を言えてもらえませんから、全然良い方だと思いますよ」

「私ならだいぶ凹むレベルだけどね……」


俺はなんとか自身の反省点を聞き、なんとか耐え抜いた。

さっき千癒さんが言っていたけど、これで良い方なのだろうかと疑問に思った。

けどさ、ぶっちゃけありがたいなとも思った。

幼馴染だからとか、昔からのよしみだから遠慮して言わないよりも、ちゃんとこう指摘してくれることに俺は心底感謝した。

おっ? 俺も成長したって事かな? な~んてな!


「まだ改善しなければいけない事もあるけれど、今それを言ってもしょうがないわ。でも、それを分かっているのと、分かっていないとでは大きく差が出る。だからしっかりと頭に叩き込んでおきなさい」

「は、はいっ! 分かりましたであります!!」

「よろしい。明日からは今日よりも手強い相手ばかりになるから気を引き締めなさいよ」

「はいっ!!」

「はーくんとは決勝で当たるのが望ましいなぁ! そうすれば負けてもハンターズ・ロアに出場は確定する訳なんだし」

「その言い方だと、迅人が優勝できないって言っている様に聞こえるんだけど?」

「いや~、さすがに私とはーくんじゃ、ぶっちゃけ負ける気がしないというかって、氷歌ちゃん⁈」

「ひょ、氷歌さん⁈」

「氷歌⁈」


さっきまで和やかだった空気が、一気に冷ややかな雰囲気へと変わる。

氷歌が部屋を一気に冷やしたせいだ。

夏乃子さん、千癒さんも顔が青ざめていらっしゃる。

なんとかこの場を切り抜けなければ、みんなに明日はない!


そう思っていると、徐々に部屋の温度が戻っていく。

2人を見ると安堵したのか、胸に手をやり深く息を吐いていた。


「ごめんなさいね。私とした事がつい……」


氷歌はそう言い、みんなに謝る。


「い、いいえ気にしないでください。元はと言えば、空気の読めない夏乃子ちゃんが悪いんですし」

「えぇぇ……私ぃ?」

「夏乃子ちゃんはもう喋らないでください!」

「はうぅぅぅ」


千癒さんから鋭い眼光を食らい、夏乃子さんは押し黙る。

すると氷歌は水を飲み、俺を見る。

うん? なんだよその目は? 俺になんか付いてるのかと思っていたら、深くため息をつく。


「はぁ……そう、そうね……ならこうしましょう」

「はい? 何をですか氷歌さん?」


氷歌はまた俺を見て優しく笑みを見せる。

その笑顔に俺は背筋が凍る思いをした。

嫌な予感しかしない……


「先に断言させてもらうわね」

「何を断言するのぉ氷歌ちゃん?」

「迅人は夏乃子……決勝であなたを倒し、優勝すると断言するわ」





ほらな……嫌な予感がしたんだ。


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