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why why here

「な、なんで氷歌が急にここに来るんだ⁈」


俺は恐る恐る窓から氷歌を覗く。

あいつは空から降りた所から動いていなかった。


グルンッ


「ひぃぃぃ⁈」


俺が窓から少し覗いていたら、すごい速さで首を向け、人を殺しそうな視線をこちらに向けてきた。

俺は瞬時に顔を引っ込める。


「な、なんだよあの動きは⁈ 俺がここにいるってことがバレたのか?」


俺は再度覗き込むと、氷歌は視線を変えていた。


「よかった……そ、そうだ! 今の俺は顔を変えているんだから、俺だって分からないんだよな! な、なに焦ってんだよ~俺ってばぁ~ははは」


すると氷歌が動き出し始めた。

氷歌が向かった先は……うん? あそこって俺がお金を下ろした銀行だよな……まさか⁈


「あいつ……俺名義のキャッシュカードでお金が下ろされたのを知ってここに来たのか?」


絶対にそうに違いない!

お金を下ろしてから1時間程経ってからここに来た……それを考えればもの凄い速さで俺がお金を下ろしたことが氷歌の耳に入る様にそこら中に根を張っているにちがいないと俺は思った。

ほら見ろ! 今銀行から氷歌が出てきたが、その後ろからぞろぞろと偉そうな人まで外に出てきたし。

ここの支店長かな? めちゃくちゃ汗をかきながらペコペコと頭を下げてるじゃないですか?


「うん? 支店長が何か紙を渡したぞ」


俺は目に魔力を注ぎ、視力を上げ、何を渡したのか見てみた。


「おいおいマジかよ……個人情報はいったいどこにいったんだ支店長さんよぉ」


その紙には俺の元の顔と、顔を変えた俺の両方の写真が載っていた。


「うわっ⁈」


写真に気を取られていたら、いつの間にか氷歌がこちらを見ていた。

俺はまた顔を引っ込め隠れる。

まずいぞ……このままではまずい! ここはもう一度顔を変えなければ!

それと、たぶん俺の使ったキャッシュカードはもう使わない方がいいだろう。

いや、使えない。

もしまた使ってしまったらすぐに情報が入り、また氷歌が現れる。


だが、他に手が無い訳ではない。

俺にはラグナさんの記録と記憶がある。

いくらでもやりようがあるのさ。

俺は絶対にお前には見つからんよ。

この絶好のチャンスを必ず物にしてみせるんだから!

だが、両親、姉ちゃん、そして始にだけは俺が戻ってきたって伝えたい。

しかし、皆には氷歌の罠が敷かれているはず……まぁ、今はその事は後で考えるとして、今は顔をまた変え、安全な場所に行き、作戦を練る事にしよう。


俺は新たに顔を変え、注文したメロンソーダと明太子パスタ大盛りが来るのを待った。

もうね、お腹が空いて仕方がないのよ……




「お待たせしましたぁ~! あれぇ? メロンソーダと明太子パスタ大盛り注文をされたお客様ですかぁ?」


かわいらしい女性店員さんは、注文をしたメロンソーダと明太子パスタ大盛りを持ってきた時に、あれ? この人だっけ? みたいな顔をしながら、俺に注文したか聞いてきた。


「はい、そうですよ~。ありがとうございます」

「そ、そうですよね~。 さっきの出来事で私まだ動揺してるのかなぁ? あはは……すいませんでした。 それではごゆっくりとお過ごしくださいねぇ」

「いえいえ。ありがとうございました」


女性店員さんは笑顔を見せ、厨房へと消えていった。

俺はもう一度、外を見ると、氷歌はいなくなっていた。


「ふぅ……やっとくつろげる。さて! 久々の食事になるんだよな……いただきま――」


カランカランッ


「いらっしゃいま……せ……お、お一人様で、でしょうか?」

「えぇ」

「そ、それではお好きな席へどうぞぉ……」

「ありがとう」


女性店員さんは引きつった顔をしていたが、笑顔を絶やさず、笑顔で接客をしていた。

レストランで食事をしていた人達は、食事の手を止め、視線は全員一点を見ている。

また、泣き叫ぶ子どもいれば、席を立ち、お会計を済ませ店から出る者。

俺はというと、やっと食事ができると喜んでいたのだが、レストランに入ってきた者のせいで一瞬で喜びに溢れた気持ちが一瞬で消える。


俺の目の前に氷歌が……雪風 氷歌が現れたのであった。


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