Joy and despair from discouragement
「俺はあれから5年もの間あそこにいたってことかよ……」
まるで浦島太郎だ……俺的には1週間ぐらいの感覚だった。
それが戻ってきたら5年もの年月が経過してるとか……
「ありえねええええだろおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
俺は立ち直るまでに2時間かかった……
「はぁ……どうすっかなぁ……5年もの間何やってたんだって聞かれたらマグマの流れに身を任せていたら龍に強引に引っ張られて、そこにいた龍に力を貰い、やっとの思いで戻ってこれたんだ。はぁ……こんな現実味のない話を誰が信じるってんだよ」
パサッ
「うん? なんだこれ?」
俺が頭を抱え込んでいると、目の前に一枚の新聞が風で流れてきた。
俺はそれを手に取り紙面をめくっていくと、一枚の写真に目が行く。
『二刀流魔剣士 斎藤 始 とうとうSクラスハンターへ』
「へ、へぇ……斎藤 始っていう子がSクラスハンターになったんだぁ……へぇ……」
「うおおおおおおおお!! はじめええええ! やったじゃんかよコンチクショーが! ははは、やっぱあいつはとんでもない奴だったんだ」
気持ちが折れかけていた俺を、一気にテンションマックスにしてくれたビッグニュースである。
「なになに? 当初Bクラスハンターであった斎藤 始はある日を境に二次覚醒する。ほうほう、いいねいいねぇ! それでそれで、斎藤 始を二次覚醒に導いたのは友の死がきっかけである」
俺はそこで一旦読むのを止める。
「始……俺の死がお前を二次覚醒させたのか……?」
俺は下を向き、プルプルと震える。
「すっげーじゃないかよ! あの時のあれがきっかけで目覚めたとかよ! どこぞのヒーローみたいでかっこいいじゃねーかよ!」
俺は落ち込むどころか、めちゃくちゃ喜んだ。
なになに? この記事を見ると4年前の物になる。
つーことは二次覚醒して1年で頭角を現したって事か!
あいつやっぱスゲーなと喜んでいた俺は、つか、俺は死んじゃいないけどな~。
あっ、始は生きてると言っているが、記者達はマグマに落ちたら普通は死ぬであろうとか、友の死を受け止められない悲運のハンターとか色々な事を書いてあるな。
「つか、始の奴俺が生きてるって信じているんだな……民衆はそうは思ってなくても、お前さえ信じてくれてれば俺はいいよ」
よし……まずは始と連絡を取ってみるとしようか?
早くあいつを安心させてやりたいしな。
あ、それよりも今は無一文だ……近くの銀行に寄ってお金を下ろしていこうか?
こういった時のために、俺は近くのコインロッカーにキャッシュカードなどを入れてある。
俺はコインロッカーの場所に行き、キャッシュカードを取り銀行へと向う。
5年は経っていたが、お金を無事お金を下ろせた。
小腹も空いたので、近くのレストランで食事をしに店に入り、窓際に座る。
「はぁ……色々とあったが、お腹が空いたらなんとやらですわ。あ、すいませーん」
「はーい。只今お伺いしまーす」
かわいらしい女性店員さんが呼びかけに反応し、注文を聞きにこちらにやって来る。
「お待たせいたしました。ご注文はお決まりでしょうか?」
「はい。メロンソーダと明太子パスタ大盛りでお願いしま――」
ドガーーーン!!
「きゃあっ⁈」
「うおっ⁈ な、なんだ⁈」
俺は突然の爆発に驚くが、すぐに音がした方を見る。
煙が立ちこんでいてよく見えないが、誰かが空から降りてきたと民衆が叫んでいるのが聞こえた。
徐々に煙も収まってきたところで、人影が現れる。
いったい誰だこんな人騒がせな事をする奴はと呆れ返っていると、煙が収まり現れた者を見た瞬間、俺はすぐにしゃがみ隠れる。
「な、なんであいつがここにいるんだよっ⁈」
派手な登場をし、民衆の視線を釘付けにした人物は、俺がもっとも恐れている人物……Sランクハンター 雪風 氷歌であった。
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