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being at sea

俺はゲートの出口付近に到着した。

人もちらほら見えてきて俺の心は安堵すると同時に、いくつか戸惑う事があった。


まず1つ。

ゲートの出入り口付近には出店があるのだが、俺がここに来た時と出店の雰囲気がだいぶ変わっていたことだ。

お店に関しては季節によって変わったり、閉店したりして新たにまたお店が開店するってこともあるが、なんだろうか……以前よりもだいぶ店数も増え、さらには活気付いていた。

俺がいない間にこんな早く変わるもんだろうかと不思議に思った。


そして、2つ目……これである。


「な、なんで俺の顔が載ってる写真が所々に貼ってあるんだ……⁈」


そう、なぜか俺は指名手配犯かって言うぐらいに所々に顔写真が貼ってあった。

しかもこれ身内しか持ってないような写真もあるし!

いったい誰がこんな事を……ってよく見たら内容が書いてある。


「なになに? この男を見つけた者には金え~っと一、十、百、千、万、十万、百……いやいや、あり得ない……いつから俺は億越えの指名手配者になったんだ……いや、捜索願か」


いや、それでもあり得ない……俺いなくなる前まで、人様に顔向けできないことなんてしたことないし!俺はもう一度指名手配所を見る。


「この者、市原 迅人を見つけた者には金1億……生け捕りのみ……言う事を聞かなければ、多少の攻撃は許可する。信憑性のある情報には100万……偽った情報を提供した者には死を……連絡はギルド・スノーフィールドまで……依頼者……Sランクハンター 雪風 氷歌」


俺は膝から崩れ去る。

あいつ何してくれてんだ!

いや、あいつならやりかねない……しかも始をボコボコにしていたともラグナさんから聞いたし……はっ⁈ 危ない……今一瞬あいつがいるかと思って後ろを見てしまった。

ここにいてはいずれあいつの耳に俺の情報が入る……なんとかしないといけな――


「なぁ、あんた大丈夫か?」

「ひぃぃぃぃい⁈」


突然背後から声をかけられビビる俺……

背後を見ると、見るからに好青年なイケメン君が俺を心配そうな目で見ていた。


「あ、悪い……倒れこんでたから大丈夫かと思って声をかけたんだ」

「あ、あぁそういうことでしたか! いや~ご心配おかけしてすいません。この通りピンピンしておりますよ。はっはっは」

「そ、そうか。それはなによりだ。急に声をかけて悪かったな」

「いえいえ。こちらこそ心配していただきありがとうございます」

「……」

「どうしました……うん?」


好青年から返答がないので視線を向けると、俺の指名手配書、じゃない、俺の捜索願をガン見していた。

こいつはまずい!

俺はとっさに下を向くと同時に魔力を練る。


「な、なぁ、あんた……もしかしてこの捜索願にある本人じゃないのか?」


ほら来た! 俺は少しの間だけ黙る。


「すまない。もう一度だけ顔を見せてくれないか?」


好青年は俺の肩を掴み、俺の顔を覗き込む様にして確認しだす。


「あれ? えっ⁈ か、顔がちが……あ、すまない⁈ 人違いだったみたいだ」

「はい? どうしたんですか?」

「あ、この指名手配、いや捜索願に載ってる人物に似てるかなって思ったんだけど、俺の思い過ごしだった。いきなり肩を掴んでしまってすまなかったな」

「いえいえ、お気になさらずに。それでは私はこの後用事がございますので失礼させていただきます」

「あぁ、気をつけてな」


そう言い、俺と好青年は別れ、俺はゲートから抜け出す事ができたのであった。

ふぅ……危ない危ない!

俺はあの状況で、ラグナさんの記憶を読取り、顔を変化させる魔法をかけて、あの状況を脱したのであった。

いや~危うく見つかって、氷歌に通報され、最悪監禁されるとこだった……ま、まぁ、今のは軽い冗談で言ったつもりなんで……でもあいつならやりかねないなとも思ってしまった。


俺はなんとか最初の難関であるゲートを通過し、現実の世界へと帰る事ができたのだ。

軽やかに歩を進め、いざ現実世界に戻り外に出ると、信じられない光景が俺を待っていた。


「な、なんだよ……これ?」


俺が目にした光景は、以前このゲートを潜る前の街並みとは違い、煌びやかになっており発展していた。


「こ、ここは俺の知ってる街か? 以前とはだいぶ変わって……めちゃくちゃ発展してるじゃないかよ」


恐る恐る街を歩いていると、街頭にドデカいテレビが設置されていて、ニュース番組がやっていた。こんなドデカいテレビなんか無かったぞ。

俺は黙ってニュースを見ていると、日本の大統領の名前が変わっていた。

そして元号もだ。

いつの間にそんなに変わってしまったんだと頭がこんがらがっていると、さらに衝撃な事を目にする。


「う、嘘だろ……2022年だと?」


テレビの端に日付が表示されているのを目にした俺は2022年という数字を見て愕然とする。

だって、俺が始とゲートに潜ったのが2017年だ。


「あれから5年も経ってるとか……ははは……このテレビ間違ってるんじゃないか?」


俺はそう言うと片っ端から目に入る物全てに目を通す。

だが、ほとんどが2022年と書いてある物ばかりである。

目に入る物全てに2022年と入っているのを見てしまえば、これは紛れもなく、今が2022年だという証拠である。

だが、俺はまだ受け入れらずにいた……この現状を。


「俺はあれから5年もの間あそこにいたってことかよ……」


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