表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/23

7 出発

「いやぁ、ごめんごめん!みんな大丈夫だった?」


 黒い髪に赤茶色の瞳、なかなかの好青年だが、ヘラっとしながら軽く謝っている姿は、つい先程九死に一生を得たとは思えないほど緊張感がない。そんな彼は…、


「勇者様!ご無事で何よりです!」


 勇者らしい。


「あれ?闇の住人(テネブリス)いないじゃん!もしかして倒しちゃったの?」

「ええ。危ないところでしたが、あちらにいらっしゃいます聖女様が浄化し、助けて下さりました。」

「聖女様!?」 


 勇者マルクスが目を大きくしてこちらを見る。そして目が合うと大股でどんどん近づいて、目の前まで来た。


(ちょっと距離が近い!)

「ど、どうも…。」


 苦笑いしながら挨拶するが、マルクスには真面目な顔で頭の上から足元までじっくり見られた。


「すごい!ホント言い伝え通りじゃん!」


 そう言うと手を取られ、両手で握ってブンブンと握手される。


「はじめまして!俺、マルクス・タチェット。勇者やってます!マルクスって呼んでね!」


 ニカッとした笑顔が、可愛い。


「はじめまして。山里ハルです。私もハルと呼んで下さい。」



・・・


「では参りましょうか。」


 いよいよハイリヴァルト国王に会うため、国王が待つサングレイス城に移動することになった。

 歩いて行くのかと思っていたが、移動の魔法で一瞬で着くらしい。


「ノール様、ここは私が!」

「では、よろしくお願いします。」


 ルルシャが先頭に立ち、その後ろにマルクスとノールが並ぶ。

 

「ハル殿、こちらへ。」


 アンドレアに手を差し伸べられ、緊張しながらも自分の手を乗せてノールたちの側へ移動する。

 みんなが笑顔で迎え入れてくれた。ハルはそれに応えるように笑顔で頷く。


 (これからどうなるんだろう?)


 今更ながら緊張してきた。でももうなるようにしかならない。


 ルルシャがステッキを掲げた。

 

「それでは参ります。 テレポーテーション」


 ルルシャが呪文を唱えると、足元に赤い魔法陣が現れ、光が溢れ出し体を包み込んでいく。

 ドキドキと鳴らす胸の前で両手をギュッと握りしめ、目を閉じた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ