入学式
『王立セイラ学園』
国の英雄セイラが建国した由緒ある学校で、学問、スポーツ、芸術など、あらゆる分野において優れ国内トップクラスと言われる学校だ
16歳~18歳までの3学年制で、全校生徒はざっと1000人。
(日本でいう高校みたいなものね。)
敷地はとても広大で川や湖にそして山まである。大きな食堂や寮も完備。一年生は全寮制になるので強制的に寮生活になる。
そんなエリート校に通う生徒の親には大物が多い。
国の宰相や、軍の最高司令官、国王…他色々とにかく国の最重要人物達だ。
特待生制度も用意されており、試験の成績上位者には学費や生活費が免除される。(庶民出身のあたいとエイダンはその特待生ってやつだ)
「ふう、立派なとこねぇ」
広大な見事な校舎に思わずため息が出ちゃったわ。
「そうだな」
エイダンも緊張している様子だ。
「君たちみたいな庶民が来るには、場違いなんじゃないかい」
「はぁ!?」
「あっ・・・」
「あっあなたは、ルドルフ様!」
初対面な人間に対して失礼なこと言うやつがいると思い振り向くとそこには、サラサラな金髪で美しい空のような水色の瞳をもつ絵にかいたような美男子のこの国の第三王子がいた。
(確か、お美しい母親似で、ちやほやと可愛がられて育った甘ちゃんだったわよね。)
「ふむ、流石に庶民といえどこの国の王子の名前くらいしっているか」
(なんか偉そうでこいつ嫌いだわ)
「君だろ、庶民の出でありながらも首席で学園に合格したというのは?」
「ハイィイイイイイ」
(エイダン緊張している。学び舎のもとではみな平等よ堂々としてほしいわね)
「そして君が、次席の庶民その2だな」
(なにこいつ、初対面な人間じろじろ見てあたい達を値踏みでもしているわけ?)
「面白い、そうだ式が終わったら食事でもどうだ?」
「えっ・・」
「庶民がどうやって勉強してこの僕をも出し抜く成績で試験を突破できたのか興味がわいた」
「えっと、その・・・」
「いけませんは、殿下」
今度はなんだ?あっ・・・出た!
この物語のいじめっこローズだ。確かルドルフの婚約者でルドルフにそっけなくされその寂しさからスーのこといじめるのよね。
綺麗なブロンドの髪を縦ロールに巻いて、十代には不必要な厚化粧をしている残念な美少女だ。素材を生かせばめちゃくちゃ化けるのにもったいないわ。
「殿下は式の後は、陛下と王妃様をはじめ私たちとの会食の予定がありますのよ」
「うらさい、食事ならいつでも出来るそんなものまた今度でいいだろう」
「いけません、殿下のご入学をお祝いに皆様集まって下さるのです」
「うるさい、そういうおせっかいなとこが嫌いなのだ!婚約者だからって僕のすることに一々指図するな鬱陶しい、祝いたいな勝手に祝えばいいだろ」
「そんな・・私は殿下の事を思って」
あー・・可哀想に泣いちゃった。これってこの馬鹿王子が悪いわよね。これはただの我が儘だだっこよ。ローズは別に間違ったこと言ってないわ。
「ふん、ローズのせいで興が冷めたこの話はまたにしよう」
そう告げると馬鹿王子は行ってしまった。
「殿下・・・」
「あの、大丈夫ですか?」
エイダンが恐る恐る話しかけた。
「えっあっ・・・」
ローズの頬が赤くなった。そうよ、うちのエイダンなかなかのハンサム好青年なんだから。綺麗な栗毛に形の整った顔、そして綺麗な水色の瞳でその辺の女子より可愛いわ。
ん?水色の瞳?
「お恥ずかしいところをお見せして申し訳ございません。皆様の大切な晴れの日に泥を塗り本当に心苦しいですわ」
「そんな、かしこまらないで下さい。気にしていないですから」
「でも・・・」
赤い目で涙を堪えながら平身低頭で謝る姿、なんだか見ていたアニメとは違う感じがするわね。
「大丈夫よ!それよりも追ったほうがいいんじゃないかしら?殿下行ってしまったわよ、婚約者でしょ?一緒に行ったほうがいいんじゃないかしら?」
「
はい・・・」
ん?なんか歯切れが悪いわね。
「では、失礼します。後日お詫びに伺わせていただきます」
そう言うとローズは俯きながら馬鹿王子を追って行った。
「なんか台風みたいだったな」
エイダンが呟いた。
「そうね、でもこれから始まるのよ。行きましょう」
そう言って私たちも入学式会場に向かった。