今日から女の子
Q.女の買い物は長いというのは本当ですか?
A.本当に長いです。長すぎます。俺もう疲れちゃったよ。
もっと時間を有効的に使おうよ。女って馬鹿じゃないの?
「誰のために時間を使ってると思うの?矯正が必要なようね?」
「ごめんなさい!ありがとうございます、マム!」
アリスねぇ、心を読むのはやめてください。
今現在俺は自分の下着を選んでいる途中だ。
スリーサイズは分かっているので店員さんに測ってもらう必要はない。
速攻下着を買ってこの場所から出て行きたい。
居心地悪いし、いろいろと目に毒だ。
そんな考えとは裏腹に女子二人わいわい言いながら下着を選んでいる。
自分のではない俺の下着を。
そんなに楽しいですか?元男の俺にはわかりません。
これから楽しめるようになっていくのかなぁ。
「あのー、すみません、お金がないので一番安いヤツでお願いできないですかね?」
「何を言ってるのユキ、TS病患者には身のまわりの物を揃えるためのお金は国が出してくれるわ」
な、なんだってー?!じゃあ一番高そうなヤツ買いましょう!
燃えたキターーーーーー!!
お金のことを気にしないでできるショッピングは最高ですな!
たっぷり吟味して一時間後、数着の下着を手にして店を出る俺達であった。
買い物って楽しいね!
俺の女子化が進んできているそんな気がする。
続いて洋服を買いに来ている俺達。
ひなたとアリスねぇは何故か俺にロリィタファッションを推してくる。
女子歴二日の俺にでも分かる。普段着でロリィタは普通着ない。
ロリィタを推してくる二人を無視して俺は無難な服を買っていく
そういえば今年の夏はアクアブルーがトレンドらしい。
シャツワンピ、これも買いだな。
正直洋服を選びでは女子二人の意見は全く当てにならなかった。
この二人女子力低いんじゃないですかね?
下着と洋服を買うと試着室で着替える。
鏡を映る自分を見て思う。やっぱり俺って可愛い。
ニコって笑ってみる。
うわぁ、これ男の時にやられてたら恋に落ちてたわ。
恋の風、秒速300メートル!!
さて正午も近いしご飯を食べよう!
和食♪和食♪
俺は一日一食和食を食わなければ死んでしまうのだ。
そして行きつけの和食チェーン店へ……
ってなんでお洒落にカフェでパスタなんですかねぇ……
「現代っ子の和食離れが深刻です!」
俺は突然そう叫ぶとアリスねぇは何を言ってるんだみたいな顔をして、ひなたはまーた始まったよと呆れた顔をしている。
「若人達よ。そんなんで100歳まで生きていけると思うの?!いいや、無理!良いですかな?和食には一汁三菜という理想的なバランスでできてましてね。低脂肪低カロリーでダイエットに最適な……」
「うわぁ、また姉ちゃんの和食推しだ。和食も確かに美味しいけどこうやって姉妹でお洒落な店で食べるの初めてで新鮮なんだし良いじゃん」
「ぐぬぬ。晩ご飯は和食!これは譲らないからね!」
本当に死んじゃうんだよー。
「ひなたに聞いていたけれど貴女、本当に食事が作れるの?信じられないわ」
疑ってますなぁアリスねぇ。言っておきますが俺、日本食に関してはプロ並みだからね?
「まぁ姉ちゃんのご飯が美味しいのは事実だけどドヤられるとウザいなぁ。毎日和食を食べさせられる身になってよ」
「それなら自分も料理すればいいんじゃないですかねぇ、ひなたさん? 家事を全て兄に押しつけて、一人ネトゲでヘッドショットを決めている妹よ?何か反論があるなら聞こうじゃないか?」
フハハハ
「押しつけてないもん!アリスお姉ちゃんが勘違いしちゃうでしょ!私だって料理くらいできるもん!」
「言っておくけど暗黒物質は料理の内に入りませんからね」
食べ物を無駄にするヤツは死すべし。
「うぇーん、アリスお姉ちゃん、クソ姉貴が私を虐めるぅ」
嘘泣きかよ!そんなんで騙されるヤツが……
「ユキ、貴女ちゃんとひなたと仲良くしなさい。ひなたちゃんが可哀想よ」
騙されてる?!むしろ家事を全て俺に押し付けるひなたを叱ってくれない?
「矯正が必要なようね?」
だから!ナチュラルに心読むのやめてもらえます?!
アリスねぇも妹のこと優しく扱って!
さてご飯も食べたし次に行こう次!
次に行くことになったのはコスメショップ。
「あのー、俺に化粧って必要ですかね?もう十分可愛いと思うんですが……」
「「ア゛ッ」」
「ごめんなさい必要ですよね。自惚れてました。ど、どんなのが似合いマスカ?」
「「ロリータメイク!」」
こいつらどんだけロリィタ推しなの?!俺をハメようとしてない?騙されないよ!
「店員さんナチュラルでお願いします!初めてなんでいろいろ教えてください」
店員さんは優しかった。俺は泣いた。
帰りに市役所に寄って帰る。
今日から俺は柊 白雪 。
ピチピチの女の子だ!
「ピチピチって死語よね」
う、うるさいよ!