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幼馴染  作者: 熊田 蜜柑
良の万引き
3/22

後ろ姿

 その日の放課後、私は良と廊下で出くわした。吹奏楽部に行く途中だった。


「良、これから部活?」


「ああ、お前も?」


「うん。ねえ、良、糸成が万引きしてたって疑われたこと、何か知ってる?」


「え?」


「知らないならいいんだけどさ、今日糸成が昼休みに呼び出されたあとの会話で良が暗い顔してた気がして...。」


 私がそう言うと良は少し驚いた顔をして、スタスタと通り過ぎて行ってしまった。


「えっ。ちょっと良?」


 良は後ろを振り返らなかった。その時、私は気が付いてしまう。活発でイケメンではないがそれなりに整った顔立ちの良、真面目で賢そうな糸成。背丈や雰囲気こそ違えど良の後ろ姿が髪型のせいか糸成によく似ていることに。



 その日は京子に用事があったので、ちょうど部活が終わったらしいおみそと帰ることにした。おみそは小柄で髪を下の方で二つ結びにしているのもあり、少し実年齢より子供っぽく見える。実際中身も子供っぽいので私はつい年下の子と話しているような錯覚にとらわれることがよくあった。


「おみそ、部活楽しい?」


「まあまあかな。」


「今日の朝、びっくりしたよね。糸成の。」


「うん。でも糸成はやってないんでしょ?」


「うん。糸成言ってたよね。後ろ姿で間違えられたって。」


「うん?」


「糸成は知らない子だったって言ってたけど、良と糸成って後ろ姿が似てると思わない?」


「なのちゃん...?」


 おみその目に映る私はきっと暗い顔をしていただろう。



 おみそと別れて家に帰ったあと、私は近所のコンビニに向かった。そして、店員さんに万引きの話を聞いた。


「中学生くらいの子が万引きしてるのを店長が見つけてそれで追いかけたんだけど、外に出てしまって近くにいた子と万引きした子がぶつかってぶつかった子が後ろ姿が似てたとかで間違えられちゃったの。背丈も違うし、うちの商品も持ってなかったしで疑いはすぐ晴れたんだけど。周りには人がいたらしいから、それで噂になっちゃったんでしょうね。」


「そうですか。背丈が違ったって万引きした子はどれくらいの背の高さだったんですか?」


「165センチくらいだったって聞いたけど。」


  165センチ、良の身長と同じくらいだ。

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