表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染  作者: 熊田 蜜柑
良の万引き
2/22

万引き

 登校しながら私は考える。

  私達、幼馴染がバラバラになったのは、やはりスクールカーストというもののせいだろうと。



  4人とも、同じクラスになって喜んだまでは良かった。だけど、私は吹奏楽部、おみそは美術部、良はサッカー部、糸成は卓球部に入ったことによって、なんとなくつるむ空気じゃなくなってそして、私達は離れていった。なんとなくそれぞれ同じ部活の人たちと一緒にいることが多くなった。それまでは同じ小学校だったけれど、挨拶程度だった京子と仲良くなったのはこの時のことだ。


 吹奏楽部のメンバーと一緒にいるのも楽しいが、やはり幼馴染ほど心が許せる人たちはいない。それは他の3人もそうだと思う。


  特にサッカー部に入り、人気者のグループとつるむようになった良はいつも仲のいい人達に気を使っているようだ。



  そんなことを考えながら、学校に行くと私たちの学年の階がざわざわしていた。


「ねえ、何かあったの?」


 先に来ていた京子に聞くと、京子が答える。


「あんたの幼馴染の八雲糸成が万引きしたって噂が流れてるみたい。」


「ええっ!?そんなまさか!ありえないよ!」


  あの真面目な糸成が万引きなんてことはありえない。


「...噂だけどね。」


  驚く私に京子がそう付け足した。


  糸成もしばらくして登校して来て、万引き犯だと噂されてると伝えると驚いた顔をしていたが、基本おとなしい糸成は結局何も言わず、自分の席に着いた。


 昼休み、糸成は先生に呼び出された。糸成が教室に戻ってくると、糸成と仲のいい卓球部員が声をかける。


「なんのことで呼び出されたんだよ?」


「僕が万引き犯だと噂されてた件についてだよ。」


 糸成の声はそんなに大きくもなかったはずなのにその言葉で教室がざわりとしたのが分かった。


「まさか、本当にそんなことしたわけじゃないよな?」


「してないよ。近所のコンビニで万引きして追いかけられた人が僕にぶつかって来て後ろ姿が似てたとかでその人と間違えられただけ。」


 糸成が否定すると教室の空気が緩んだのを感じた。


「そいつって知り合いじゃないよな。」


「...同い年だったけど、知らない人だったよ。」


  その糸成の言葉で、クラスメイトと談笑していた良の顔がなぜか曇ったような気がした。





コメント待ってます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ