第四話 偽メリッサVSフタメ
その少女は自分の記憶には存在しない。幼いワンピースを身にまとった少女。
だがハルトとセレスティアは、その正体を知っていたらしく。
ハルトは前に出て言う。
「お前は、メリッサ!?」
「またちびっ子ですか・・・・・・」
セレスティアは呆れながら呟き、メリッサと呼ばれた少女は地団太踏みながら言う。
「だからその呼び方するなァァッ!」
次の瞬間。メリッサは右手をハルトに向ける。
「ハルト君!?」
呼びかけるが、ハルトは宙を舞い、メリッサの下に移動した。
あれは念動力、という奴だろうか?
「ハルトは今、私が操っている。倒さなければ、貴方達が死ぬわよ」
人形で遊ぶように、メリッサはハルトを操作し、剣を振らせた。
先までは魔法を使えない敵が相手だったが、ハルトや彼女は魔法使いだ。私に、勝てるのか?
「私にやらせてくれ、アサミ」
そう言って、フタメが龍の拳を展開しながらハルトに近づく。
「死なないでね、フタメさん」
「私を誰だと思っている?」
フタメは頭に着けていたゴーグルを、きちんと顔に装着した。
「貴女、魔法も使えないのに私と私が操るハルトと戦う気なの?」
「タイガードの生き残りの力、見せてやるぞ」
右拳の龍が、大声で鳴く。
最初に駆け出したのは、フタメだ。
フタメは私と違い、戦争がある国で生まれた。故に彼女は時に、VRゲームでの対戦時、私の我流拳法を打ち破る。リアルでも同居している為、おやつの取り合いになれば勝てない。
まあフタメの存在は、母親も父親も受け入れてくれたらしく、二人は迷惑していないらしいが。
そんなフタメが最初に繰り出す技。彼女は口で技名を叫びながら、攻撃に入る。
「龍之突撃!!」
右手の龍が口を開きながら鳴き、ハルトを避け、メリッサをかみ砕こうと襲い掛かる。
「メテオ・ストライク」
静かな声で、ハルトが呟く。周囲に出現した火の玉が、追跡ミサイルのように様々な軌道を描きつつ、フタメに襲い掛かる。
だがそれで動じるフタメではない。彼女は私より冷静だ。
ハルトの数倍静かな声で、フタメは技名を呟く。
「十龍之舞!!」
その瞬間。右手から十体の龍が出現した。
その内の五体が、ハルトを足止めし、残った五体がメリッサを嚙み砕かんと襲い掛かる。
「掛ったなメリッサ。お前の弱点を見抜くのは簡単だった。
お前は念動力を使用している時に、別の魔法を発動出来ない。なら、両方の動きを封じればいい」
ハルトがフェロニカを振り、龍を斬ろうとするが、しぶとく粘り続ける。
メリッサは今にも噛み砕かれそうだ。
長引くことを予想していたが、彼女の前では造作もない。
予想通り、メリッサは龍に噛み砕かれた。
否、噛み砕かれた筈だった。
ハルトは回転斬りで龍の首を斬り飛ばし、メリッサは笑う。
「まだ足りなかったみたいね、コリューメ。
私本来の魔法を喰らうが良い。ダーク・ブレイカー!」
闇属性魔法・ダーク・ブレイカー。一直線に飛んでいき、フタメを狙う。
そこでフタメは終わらない。
「はァァァァァッ! 咆哮反射!!」
ダーク・ブレイカーが龍の顔に激突する。だが龍の咆哮が、それを跳ね返す。
黒い光を放つ球体が、今度はメリッサ向かって突き進む。
龍の顔もそのままメリッサに突っ込む。
そのままメリッサは、黒い光に飲まれ、龍に噛み砕かれた。
噛み砕くのは一瞬で、龍はまるごとメリッサを食った。
何事も無かったように消滅する龍。
龍はフタメの右腕に戻り、溜息をついてから、フタメはゴーグルを外した。




