コラボ第二話 アサミVS斎藤
「斎藤基、推して参る!!」
最初に攻撃を繰り出したのは斎藤だ。
彼はいつも、一撃目は重攻撃から入る。
アビリティも持っていな為、予測と素早い動きが出来れば回避可能。
私はいつものように防御ではなく、回避を選択した。
私の体に当たらず、地面に向かって振り下ろされた剣。
轟!! と激しい風を起こし、その風で周囲にあったオブジェの一部を吹き飛ばす。
そして、私の服の一部も、鋭利な刃で切られたかのように少し切れた。
余裕の顔を浮かべている斎藤。これでも本気じゃないらしい。
私に攻撃の隙を与えず、次の技を繰り出す。
「幻影之剣!!」
その時だ。斎藤の体が分裂――いや、高速移動して分裂したように見せかける。
本物はどれだかは、分からない。
私はその技に対し、《炎無心撃》を繰り出す。
「はああァァッ!!」
一撃必殺の抜刀術の如く放たれた右腕。
それに反応し、激しく燃え盛る炎が、斎藤を纏う暴風と激突する。
風に負けた炎が、ダイナマイトのように爆散し。
散った炎が、雨のように斎藤を襲う。
敵の服のあちこちが焼け、斎藤はワイシャツを脱ぎ捨てる。
高校二年にしてはかなり筋肉質な体が、露わになった。
左目は黒い髪に隠れて見えなかったが、殺気の籠った右目を見て一瞬凍りつく。
「烈風斬!!」
刃に等しい切断力を有した風が、私を襲う。
服のあちこちが破れ始める。
先の攻撃で壊れたオブジェも、再び破損した。
バックステップで、風の影響がない場へと退避。
現在防御に徹しているが、どうしても攻撃に入れない。
彼――斎藤基は私と同等かそれ以上の反応速度と攻撃力を持つ。
ここで攻撃を放とうと、彼は簡単に止めて、斬撃で風の刃を生成し、私を襲うだろう。
一度で良い。彼の隙を見つけられれば・・・・・・。
と言っても、彼には隙というものが無い。大技や重攻撃の後でも、彼の剣は止まらない。
殺人機械の如く、休むことなく全力で。
ただ彼は、私を殺す為に苛烈に剣を振るい。
私は斬られまいと、防ぐか躱す。
どうしたら良い・・・・・・。
手刀・兜割は、振り下ろすタイミングを速くしても効果は無く、遅すぎれば斬られてしまう。
奪命拳は、少々離れた場所から当てることが出来、威力も高い。だが簡単にルートを読まれ、躱しやすく、隙だらけになってしまう。
炎無心撃も、同じく隙が出来やすい。
どれでいけば・・・・・・。
いや、いける。あの技なら。
私は一瞬、無心になった。全ての感情を捨て、頭を空にし。純粋な気持ちで勝ちたい、と。
次の瞬間。両拳を纏う朱色の炎が、金に変化した。
それだけではない。体中が金色のオーラを纏い、斎藤を少し動揺させた。
哀と怒の感情を解放することで、自分を強化する《青炎之拳》とは違う、純粋な気持ちで自分を強くする。
感情解放技・《神炎之拳》。
負けじと斎藤も、感情解放技を発動する。
髪が赤く染まり、白目と黒目が反転し。白銀の刀身が薄紫に染まり。
黒いオーラを纏った。
「殺気解放か・・・・・・」
これでお互い実力は同じ。以前は《青炎之拳》と同程度の強さだったが、私は感じた。あの殺気解放は進化したと。
そのオーラを払うように、斎藤は剣で切り払う。
轟!! と強化前よりも強い、そして黒い光を持つ風が、彼より四メートルも離れていた私に激突する。
刃のような黒い風が、私の腹に傷をつけ、爆散した。
「「アサミ!!」」
ハルトとフタメが言う。
「突風殺息!!」
彼の唐竹割りによって生じた黒き風刃が、ミサイルの如く、私目掛けて飛んでくる。
間一髪で回避するが、余波に巻き込まれ、吹き飛ぶ。
体勢を立て直し、攻撃の機会を伺う。
その時だ。斎藤は剣を私にではなく、飛び上がって目にも止まらぬ速さで回転斬りを開始。
そのまま風刃の雨を作るのかと思ったが、違った。
彼は、自分で作った風をバネにして、宙へと飛んだのだ。
彼の作った風は止まず、彼を空中にとどめている。
彼にアビリティは無いが、風能力者の如く、自分の剣技のみで風を作り、飛んでいた。
そのまま斎藤は片手で切っ先を上に向け、両手に持ち替え、そのまま振り下ろす。
「喰らえッ!! 黒竜巻斬!!」
黒い突風が、竜巻と化して私へと繰り出された。
私もそれに対抗し、必殺技を繰り出す。
《太陽之手》。炎の双拳の全火力を集中させ、手形の防壁を築く技。
右手で制御し、彼の黒竜巻斬に向ける。
この技は、奥の手中の奥の手。飛び道具を防ぎ易くなる代わりに、もと止められなければ、自分が生成した手形の炎ごと使用者を飲み込み、死ぬことになる。
だが止められれば、一発逆転が可能な技でもあるのだ。
例えば――。
受け止めた竜巻を、炎の手で掴み。
そのまま斎藤に投げ返す。
自身の竜巻に飲まれ、身動きが取れない斎藤に向かって跳躍し、上から炎の手を叩きつける。
そのまま斎藤を炎の手中に収め、軽く握る。
握った手の中で、風船が弾けたような感覚と共に、炎の手が爆散し、自分の視界を眩い光が遮った。
私は目を閉じて、光が消えるのを待ち、そのまま地面に着地する。
私は心で呟く。
――――終わった、のか?
そのまま私は前に倒れこみ、意識が暗転した




