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汝は裏切り者なりや?3  作者: 心夜@カクヨムに移行
マグニ帝国の野望編
12/22

第十二話  Twin fists of two fire

次の階でアサミを待っていたのは、クールで爽やかなセイリューとは相反し、如何にも熱血青年とでも言うような容貌をした男だ。

 逆立った赤い髪に、男らしい太い眉。見ているだけで暑苦しいオレンジの瞳。

 服も、まるで祭りで着る法被のようなもので、胸をはだけている。

「よう、アンタがアサミか?」

 その声も、容貌通りのものだ。まるで格闘ゲームの主人公のような感じの。

「そうだ。君は?」

「俺はスザーク。四天王の一人だ」

 スザークと名乗る男が、拳を握る。私も反射的に、拳を握った。

「ほう。お前の戦闘スタイルも拳か、奇遇だな。

しかも炎の拳という点もな」

 え、という声を出す前に。

 スザークの拳が燃え上がり、アサミと同じような状態となった。

「炎の拳同士、どちらが強いか決着付けようじゃないか!」

 スザークはそのまま、勢いよく私に向かって駆け出した。

 私も玉砕覚悟で、彼に向かって突撃する。

 まず放ったのは単純な右ストレート。相手も同じく右ストレート。

 同じ型、同じタイミングで放たれた技が激突し、火花を散らし始め。

 吹き飛ばされたのは、私の方だった。

「ぐほあッ!」

 だがその時には、私は次の必殺技は始まっていた。

 空中で両腕を交差させ、バッと開く。

交差炎波(クロス・ファイヤ)!!」

 この世界でも再現出来た事に驚きを隠せなかったが、交差された炎の波が、スザーク目掛けて一直線に飛んでいく。

 元々ゲームの技であるこの技は、飛距離を増すごとに威力、飛行速度が共に上昇する。

 故に回避することは不可能。

 だがスザークは。

「甘いな! お前にそれが出来るって事は、俺にも出来るって事なんだよッ!」

 私が放った炎波を、同じ交差炎波(クロス・ファイヤ)で迎撃し、破壊した。

「技さえ分かれば、こっちのモンよ」

「くッ・・・・・・。青炎之拳(クライ・バースト)!」

 その叫びと同時に、拳の炎が青く染まる。

 右掌を前に出し、左手を右腕の関節に添えて、右掌のみに集中する。

 本来ならオレンジの炎弾が出来るが、今回は青い火の玉が出現した。

「炎弾!」

 勢いよく放たれた炎の弾丸が、スザーク目掛けて飛んでいく。

 炎弾は交差炎波(クロス・ファイヤ)と違い、飛距離が伸びる毎に威力が下がるが、速度が上がるという性質は同じ。ただし炎弾の方が、飛んでいく速度が倍だ。

 先のように、直前に対処したのではもう遅――

「炎弾!」

 スザークの赤い火の玉が、青い炎弾に向かって放たれる。

 青い炎弾はそのまま破壊された。

「甘いな。解放技のお手本を見せてやるよ。

はァァァァァッ!」

 スザークの両腕から、バーナーのように炎が放射を開始する。

 それはよく見ると、バーナーではなく。

 翼のように見えた。

「喰らえ! 朱雀之翼(フレイム・ウィング)!!」

 炎の翼が、私を頭上から襲う。私はそれを何とか両拳で迎撃しながら、スザークに接近していく。

 何とか一撃当てるんだ。

 翼の攻撃を全て防ぎ、石畳を踏み込み、右拳を真っ直ぐ伸ばす。

 私が普段やっているゲームでは《奪命拳(ダツメイケン)》と呼ばれた必殺の一撃の構え。

「何ッ!」

「届けェェェェェェェェッ!」

 仮想の心臓を貫く音が響き、スザークはそのまま倒れ、黒い影となり爆散した。

 この爆散の音を聞く度に、私は人を殺したという罪の意識を覚える。

 フタメを助ける為とは言え、人の命は奪いたくないのだが。

 その時だ。

『あ、安心して。僕は倒せば死ぬけど、四天王は死なないようにしておいたよ。

君が人を殺したくないという性格なのは知ってるからね☆』

 無邪気な声で、シジンが謂った。

 息を吐き、私はまた上の階へ行く。

 あと二人。あと二人で、フタメに会える。


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