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ヲタ村縁起をちょろっと 先っちょだけだから心配しないで

『H,WW.』が終わってから数十年後の『mtoW』までの簡単な表向き。

『H,WW.2nd』の一部再掲。


 自分らに似ているという像を見せられ「で、ソレがどおしたの?」な程度だったが、ここはノリでリアクションしてやった。

 クマが人後喋ってんだから、ご祝儀だよん。


 気をよくしたのか並ぶ椅子の先頭に座り、わしらにヲタ村と聖女アンナについてを語り出した。




 この村は、これより東にあるパリス=バケット領都とおなじパリス領だ。

 出来た当時は、まだ徒歩が有力な移動手段で、西の王都へ行くもの、または出て行くものにとって宿場と休憩に便利なところだったが、いつしか馬車などに代わり、これといった特産もなく廃れてしまったのだ。


 廃村になって久しく、ほとんど更地となったこの地にパリス侯爵の三女アンナが目を付けて、再開発したのが今の姿だ。

 まず公園と保育施設と診療所。冒険者ギルドの誘致、若者を呼ぶためにサブカルチャーの発信拠点として開発を進めた。


 退役した兵士,引退した冒険者が老後の住処地にと移住もあり,冒険者の訓練所を開かれることになる。しばらくして出張所でなく,独立ギルドとなった。


 冒険者目当てに商売をする者も集まり,飲食も出来る[ナナとポンの店]の支店も作られた。

 なぜか女性スタッフは,エプロンドレスである。


 徐々に発展する村は,いつしか愛称としてヲタ村と呼ばれる。


 ダンジョンマスターに転移したマレビトが近くにクセのあるダンジョンやらを作り、ますます人の集まる場所となった。


 ある程度の発展に聖女と神子は全国行脚の旅をする。

 帰ってきて数年後に、聖女は病に伏せとうとう帰らぬ人となった。


 悲しむ村人が基金し、保育施設と診療所を保育兼孤児院と治療院にまで拡大し、聖女と神子の祠を建てた。のちに祠は少しずつ拡張され、いつしか『聖女教会』とよばれてさえいる。



 この世界の人はエルフ、ドワーフ、凡人(猿人亜種の意味)、ホビット、獣人など多人種世界だ。


 だからお互いにコミュニケーション出来る者は須く〝人間〟である。が『聖女教会』。


 神は最初に地上を統べるものとして天使の羽根を封て地上の人としたのが『聖者教会』。ただし彼らは〝凡人〟でなく最初に地に降りた勇気ある者として〝勇人〟としている。




 話が終わるとクマに隣接する孤児院へと連れていかれた。

 建物に入ると改装が何度も行われた形跡がある。古い柱がむき出しで横には新しい壁建材だとか新旧が入り交じっている。


 クマの言うことにはココで育った者が大きくなって独り立ちしてから、何らかの形で支援していくのだとか。


 お昼が近いからとクマとわしらは食堂に移動した。大人が50人はゆったり座れそうなところで、多くのテーブルと大小入り交じる椅子が用意されている。

 クマは配膳カウンターの外から調理中のおばちゃんを呼び今朝採ったばかりの山菜などを渡していた。チラチラとわしらを見ながらそのまま二人は話を続けていた。

 トレーに小鉢とか乗せていくあの形から基本定食みたいでA,Bランチから選ばせるって感じかな。

 調理場には5人ぐらいいるようでせわしなく動いているが、クマが中の一人に声を掛けてナニかを持って来てもらったようだ。


「ほら、アソコの角っこのテーブルでこれでも飲んでな」


 わしらは、簡単にフルーツジュースで餌付けされとでもおもったのかな。甘いぜ! ジュースがな。


 ことのほか、わしらの喉は渇いていたようだ。中断する余裕もないほど喉からゴクゴクと嚥下する音が鳴る。

 屋内だからクマにもらったフードマントのフードははぐっている。むし暑いしな。

 フードと言えばタヌキとキリンが、深く被ったわしの髪と目を見て『こんなところまでも・・・まさかあの子の子供とか』って驚いてたよな。

 意味分からん。ナゼに? 


 このジュース、不本意だがんまい。まっ今はおかわりできるのかが宇宙的課題でアル。


「おかわりくだしゃいっ」

 目をキラキラさせガキのマネまでして相方が裏切った。こうしてはいられないぞ。

「わしもぉー まけまけいっぱいちょーーーだぃっ」

 どおだ。ガキマネのレベルはわしが上だろ。ニマリと相方を見る。

 えっナニっ、その冷たい目はナニよ?


 しかし非常にもクマの一言でわしらの夢は潰えた。

「もうすぐお昼の時間だから、空っぽになったカップをコッチに返してから手生洗って座って待っててくれ」


 なんてことを言うクマだっ! クマのくせにっ。


「はーい」

 さしてわしはまた相方の裏切りに遭う。

 よりにもよって飲み干したわしのカップまで回収して、ダグラスというクマにイイコぶりに行きやがった。


 くそっ。


 わしは流れる水で手を洗い、買ってもらったばかりのハンドタオルで手を拭いてテーブルに着いた。

 そして誓う。施しだとしても食事は食べてやる。しかしだ、あのジュースのおかわりゲットは、諦めないぞっ。


 しばらくすると小汚い服のガキどもがちらほらと集まりだした。

 へんっ、わしらの服は買ったばかりのおニューなんだからねっ。一緒にしてもらっちゃあ嫌ですわ。


 マレビトは不老。不死ではない。


 排他的な勇人至上主義「聖者教会」,大乗な「聖女教会」な位置づけでいきたいなと。


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