9話 ババア無双
今回、やっちゃった感があります。
後悔はしてない。
評価ブックマークありがとうございます。
ジャンル別日刊ランキング7位継続です(・ω・)ゞ皆さんありがとうございます
「・・・『フィリーダイブ』」
「《アクアショット》!」
「そいっ」
三人で一体のモンスを確実に倒していく。
でもこれ、三人で割ってるから実際には私が最初に倒したレベル1のウサギと同じくらいの経験値なんだよね。
効率的には他のプレイヤーと変わらないか・・・。
―――他のプレイヤーたちより圧倒的に早く一体のモブを倒していることをアリサは計算に入れていません。
「えーっと。二人ともMP残りはどのくらい?」
「わたくしは後半分くらいでしょうか?」
「・・・同じく。このゲーム。レベルが上がると全回復、というのがないみたい」
「へー。他のゲームにはそんなのがあるんだ。いいなー」
「代わりに単純作業ゲ―が多い。画面の向こうだから、ジェネオンより迫力もないしつまらない。・・・もうあれには戻れそうにない」
あー、ヴァーチャルの感動って大きいよね。
なんか物語の主人公になった気がするし。うん、うん。
「・・・ところで。アリサに一つ言いたい」
「ん?」
「・・・私たちはそれぞれ初撃を加えて敵を倒している」
「うん。そうだね」
「・・・それは主に私たちがIntに高いステ振りをしていることが理由に挙げられる」
「うん。え? それがどうしたの?」
「・・・私達は魔法職だから攻撃の度にMPを消費してるけど、アリサはそれがないよね?」
「どういうこと?」
「・・・職業レベル大丈夫?」
「へ?」
職業レベル。・・・1、だね。ずっと変わってないけど。
【召喚師】Lv3
「・・え」
「・・・これが私の職業レベル。魔法職はMPを使う分、レベル上げに必要な使用回数が甘い。でも近接型は?」
「あ、もしかして・・・。私止めの数回しか攻撃してないから」
「・・・しかも通常攻撃のみ」
「あー・・・」
職業レベルを上げるための経験値が決定的に不足していた。
私達はずっとダメージを受けないように戦闘してきた。それは私が【戦士】ではあるもののスピードタイプだったことが関係していて。つまり『壁』になり切ることができなかったからである。
私は『耐える』のではなく『避ける』を意識しているため二人の間に入って防御、という選択肢がない。
入ったとしても短剣だから肉壁オンリーだし。
職業レベルが低いため、まだ《アーツ》も覚えていなかった。
「・・・ちょっと一人で鹿の相手してくる」
「・・・いってらー」
「わたくしたちはちょっと休みますわね。辛くなったら言ってください。いつでも魔法撃ちますわ」
「うん、ありがとう」
ブル?
草を食べてる鹿がこっちに気付いた。
さあ、勝負しよう。鹿くん。
「そいっ」
ザシュ
ブルゥーッ
最初のダメージは・・・2~3%ってとこ?
一体倒すのに40回以上かー。頑張ろうっ。
近づいてるから突進はない。けど代わりに足を振り上げてきた。
それを私は真横に跳ぶようにして回避した後すぐに空中で腰を捻って着地、と同時に鹿の背後へ。
「ほっ、はっ、とっ」
三度ほど斬るとすぐに怒った鹿が後ろ脚で蹴ってくる。
わずかに足を前に出すモーションが見えていたため、くるっとターンしながら鹿の横側に移動。隙だらけの斬り放題だ。
テロン♪『職業レベルが上がりました』
わーい。
これで大分二人と差が縮められたかな?
でももうちょっとアドバンテージ稼いでおこうっと。
その後、私は鹿の角の振り回し、蹴りを回避しながら斬り続け、その結果《短剣》のレベルが5まで上がった。
テロン♪『アーツ:《スラッシュ》を覚えました』
お、アーツだ。
でも鹿くんのHPはもう通常攻撃一回で十分だから次にしよう。
「そいっ」
ブルァー
鹿のHPがゼロになり、その姿が光へと変わる。
―――さんざん奮闘した挙句、一度も攻撃を当てることなく切り刻まれた鹿は泣いていい。
さてと。確認確認っ♪
どこまであがったかなぁ?
あー、職業の方はさすがに一回の戦闘で2つも上げてくれるほど甘くないか。
「・・・アリサ。恐ろしい子」
「すごいですわっ、すごいですわ!」
その声に振り返ると『二人がとんでもないものを見た』って顔をしている。
エレナはキラキラ、ニアはちょい引き気味だ。
―――そこに
パチパチパチパチパチパチ
「すごいぞー、理沙」
「アリサちゃん、流石よーっ」
いつの間にか来ていた。ジジババ。
ていうかジジイ、キャラ名で呼びなさい。
「ちょ、そう言うのやめ! すっごい恥ずかしいから!」
「何言ってる、試合の時は喜んでたじゃないか」
「状況が全然違うでしょ! これゲームだよっ」
「試合・・・ですか?」
「リアルの話だから聞き流してっ!」
「・・・・・・」
「それにしてもひでえぞアリサ(※注 訂正させました)。やる前に教えてくれてもいいのになぁ」
「嫌だよ。おじいちゃん、私が相手ってわかったら絶対手抜くし」
「そりゃおめぇ、可愛い孫娘をいたぶれるかっての」
「だからだよ。まぁ全力でもボコボコに出来た訳だけど」
最後はちょっと全力と呼べるか怪しい部分もあったけどね。
いや、もしかしたら孫に近い女の子って時点で手加減されていたのかもしれないけど・・・。
と、まあ私のレベルも上がって、二人も着たことだし。
「まずは自己紹介かな? こっち。ゲンジにトメ。私のリアル家族」
「どうも。いつも孫がお世話になっています」
「よろしくなっ」
「ええっ! そんな全然。むしろわたくしの方がご迷惑を・・・あ、エレナと言いますわ。出会ったのはついさっきですがよろしくお願いしますわ」
「・・・ニア。よろしく」
「ニア。初対面の、それも目上の方にそれは失礼ですわよ。あ、失礼しましたわ。こちらはわたくしの幼馴染のニアですわ。あまり人に慣れていないもので」
「・・・それはエレナも同じ。初対面の相手にいつも上がってる癖に」
「う、うるさいですわよ。お二人ともよろしくお願いしますわ」
「あら。出来た子達ね。緊張しなくていいのよ。私たちは石ころみたいに思ってもらえればいいから」
おばあちゃん、石ころって・・・。いや言いたいことは分かるけども。
はぁー。
「二人も着たし。今度は五人でパーティ組んで狩りしよっか」
「・・・また鹿狙うの? でも五人だと」
「うん。ちょっと過剰戦力だから二体ずつ倒そう? どっちみちこの狩場他に使ってる人いないから狙いやすいし」
そう方向性を決めて、二人をパーティに入れる。
「よっしゃーっ。じいちゃんがいいとこ見してやるかんな」
「あんまり期待し―――っておじいちゃん、それだめぇええええ!」
ゲンジが攻撃しようとしているのは【プーギー】だった。
あれを攻撃してしまったら。
プギー・・・
「なんだ? もう消えちまったぞ?」
ああ・・・。終わった。
【アリサ】Lv3
職業:【戦士】Lv2
スキル:《短剣》Lv5 《軽鎧》Lv1 《攻撃力上昇》Lv2
【エレナ】Lv3
職業:【魔術師】Lv3
スキル:《水魔法》Lv6 《布》Lv1 《魔術攻撃力上昇》Lv3
【ニア】Lv3
職業:【召喚師】Lv3
スキル:《火精霊》Lv5 《布》Lv1 《召喚強化》Lv4 《魔術攻撃力上昇》Lv3 《召喚クールタイム減少》Lv5
三人の細かい振り分けを除いたステータスはこんな感じだった。
ゲンジとトメのはまだ知らないけど。基礎レベルは1のはずだ。
そして。
【ビッグボア】Lv9
ブオーッ!!!
さっきよりレベル上がってるしっ!
どうすんのこれ!?
「・・・ヤバイ。アリサがんばっ」
「え、丸投げ?」
「・・・君ならやれる」
「あ、確かにできそうですわ。アリサなら」
「いや、むりむり! 私なんてあんなのとやったらすぐぺちゃんこだからっ」
その時。
―――どの口が言うんだ。と、ニアは思った。
アリサのここまでの戦績。その中でダメージを受けた回数は未だに0である。
魔法職の二人はともかく、前衛のアリサがそれは明らかにおかしかった。
はっきり言ってチートである。
(・・・たぶん、使ってないだろうけど)
それがニアの見解だった。明らかに人並み外れた技量を持つアリサだったが、体の向きや関節の動きがおかしいということはなかった。・・・いや体の動かし方はおかしいけれども。
(・・・多分体操選手でも出来る動き。でもあれは)
「あらー。大変ねー」
「おばあちゃんっ! 言ってる場合じゃないよ!? 逃げないとっ」
(・・・本人は自分の異常さに気付いてない・・・・・と)
「えー、でも。ちょっと魔法を使ってみようかしら?」
「いや、それ今じゃなくても「いくわよー」聞いてッ!」
「おっしゃやるぞーっ!」
「ばかあああああ!」」
(・・・苦労はしてるみたいだね)
―――その時だった。
そこにいた誰もが想像していなかったことだろう。
その場に実はゲンジよりも・・・そしてアリサよりもとんでもないプレイヤーがいたことを。
「■◇■《ウィ●◇シュ》」
なんて?
───それがその場にいた全員の総意だった
しかしちゃんと効果はあるのか【ビッグ・ボア】の前には風の刃が出現し、その体を切り裂いた。
・・・のに。
「あら、まだ使えるのね。それじゃあ■◇■《ウィ●◇シュ》■◇■《ウィ●◇シュ》■◇■《ウィ●◇シュ》■◇■《ウィ●◇シュ》■◇■《ウィ●◇シュ》■◇■《ウィ●◇シュ》■◇■《ウィ●◇シュ》――」
「「「へ?」」」
「――■◇■《ウィ●◇シュ》■◇■《ウィ●◇シュ》■◇■《ウィ●◇シュ》――あら、もう『えむぴー』って言うのがないわ」
ズドドドドドドドドッ!!!
ブモォ―ッ(ビッグボアの悲鳴)
【ビッグボア】HP0
テロン♪『レベルが上がりました』
「「「ええええええええええっ!」」」
(バグ?)
「お~、やっぱりすげぇなトメの早口言葉」
「早くっ、ええっ!? 今ほとんど聞き取れなかったよ!?」
「早口言葉。魔法職の詠唱時間にそんな抜け道が・・・」
「ないからっ! エレナは絶対真似しようとしないで! 普通に育って!」
ちなみに今の全部言い終わるまでに掛かった時間は十秒。使った魔法は《ウインド・スラッシュ》だった。
―――その時のトメの詠唱は常人にはその発音を聞き取ることはまず叶わない速度だったという。
(・・・バグキャラがここにいたか。アリサはリアルチートどまり・・・ドンマイっ)
おばあちゃん最強!