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2話 キャラメイク

今回だけ長いです。

次回からはこんなに長くない予定です。

「おーっ。これがブイブイアーってのか」

「VRね。おじいちゃん」


何故か凄い乗り気な爺が一人。

ただいま布団を三つ敷いてオンラインギアを稼働中です。

後は音声コマンドで入るだけ。


「で。本当にやるの? 二人とも」

「理沙ちゃんがやるなら、一緒にやった方が楽しいでしょ」

「そうだぞ理沙。ほっとかれるとじいちゃんは寂しいぞ」


あ、もういいです。

この二人、もうすでに定年退職していて趣味も特にないので孫の私を最近やたらとかまってくるのだ。

それが新しいゲームやってみたいというもんだから「なら一緒に」と引っ付いてきた。

しかも払うの孫の方ってどうよ?

換金した100万円はもう10万よ?

月額料金もかかるから、そっちは二人が払ってくれることになってはいるけど。


「はぁー。インするときは『リンクスタート』って言えば入れる『『リンクスタートっ』』って早いよ!」


二人とも絶対私より楽しみにしてたでしょ!

ちなみに今は春休みです。

なんでもβテストがあったらしく、実際に販売されるのはだいぶ後になったようで、私たちはそれには入ってないので正式版からの参加となっている。


「はぁー。リンクスタートっ」


遅れて私も入った。

さあ、ヴァーチャルゲームを始めようっ!




ハッ

気付けば私は真っ黒い空間に立っていた。

目の前に映ってるのは…私?

身長150代後半でちょい痩せ気味の私はその胸元に視線を落とし…すぐに視線をあげた。

私は何も見ておりません。


『目の前にあるのは事前確認を行ったあなたの姿を映したアバターです。ボディーチェックしたため体のサイズに不正はありません』


そんな女性の声がかかった。自立AIってやつだ。


「心呼んだみたいな返答をありがとうっ。全然うれしくないよ、わーんっ」

『【Generation on-line】内でのアバターは性別詐称などの不正がないよう現実に即したものが使用されますが、リアル割れを避けるため、身体データの改造を行ってください』


私が現実に打ちひしがれているとそんな天の声がかかった。

胸部を最大に…あれ?


『胸などの部位は現実の肉体から逸脱し過ぎない程度の変更しかできません」

「ちくしょー!」


そんなところで制限掛けないでよ!

ゲームくらいはボインになったっていいじゃない。


『あなたの見た目ですとロリ巨乳というカテゴリーになりますが?』

「心よむのやめて! ボインは言い過ぎだったよ! でもせめてもうちょっとくらい・・・」

『あなたの年齢ならまだ先はありますよ』

「なんかAIに慰められたー!」

『操作を続けてください』

「うー」


とりあえず印象操作の作業は続けていく。

見た目は格好良く・・・ってやりたかったけど身長的に無理そうなので身長を1㎝伸ばす(最大値)のを忘れずに行い、見た目は目をリアルより大きく、鼻とか他のパーツを小さめにして。全体的にリアルより可愛く作る。


『元がいいですからいじりがいがありそうですね。微調整をお手伝いします』

「え? AIの方からそういうのできるの?」

『許可を頂ければ可能です』

「へー。じゃあバランスの調節をお願い」

『了解しました。髪の色は青がおすすめです。肌の色は白に艶を持たせましょう』

「え? あ・・・うん」


何故かAIが乗り気なんですがどうしてですかね?


そうして弄り続けること一時間。

私のアバターは現実よりも間違いなく可愛い出来になっている。

青髪と琥珀色の目が特徴で、眉毛も髪に合わせた色にして肌の色は白くて艶が出ており、身長はリアルよりも1㎝低く・・・・って、おい!


「なんで低くなってるの!?」

『バランス調整の結果。こうなりました。全体のパーツを小さく設定したのはあなたです。そこに身長だけ増やすのはいかがなものかと・・・。ちなみに胸は最大値ですのでご安心ください』

「ぐふっ!」


止めを刺された。

いいもん。もうすぐBになるって言われたし、ゲームではなれたからいいもん。


『最大補正ですがね』

「心よむなぁー!」


『ではステータス画面に移りましょう』

コイツッ




『name』 LV1F

種族:【ヒューマン】 称号:【】

職業:【】LV 副職:【】LV

HP:200 MP:100

Str5

Agi5

Vit5

Dex5

Int5

Mnd5

スキル:

《》《》《》《》

《》《》《》《》

SP:100


これがステータス。


『まずはネームを決めてください』

「おけー。アリサと、通った!」

『女性プレイヤーは少ないので大概通ります』

「へー、やっぱり少ないんだ。ねえ。レベルの後ろに『F』ってあるけどこれは何?」

『性別表記です。男性はMになります』

「なるほど」

『続いて職業を決めてください』

「うん。種族はいいの?」

『種族はゲーム開始時は全員ヒューマンとなります。その後クエストによって変更が可能です』

「そういうシステムなんだ・・・」


職業選択に映ると八種類の職業が浮かび上がった。


【戦士】剣や槍、斧など様々な武器を装備できる職業。

    Str Vit HPに補正がかかる。


【剣士】剣と盾を使って戦う職業。

    Str Vit Mndに補正がかかる。


【闘士】武器を持たず体だけで戦う職業。闘気という力を使って戦う。

    Str Agi Int Mnd HPに補正がかかる。


【盗賊】短剣や罠などトリッキーな戦法で戦う職業。

    Str Agi Dexに補正がかかる。


【狩人】弓矢を使って戦う職業。

    Agi Dex MPに補正がかかる。


【魔術師】魔法を使って戦う職業。

     Int Mnd MPに補正がかかる。


【召喚師】召喚獣を呼び出して戦う職業。魔法も使えるが威力は半分になる。

     Int Mnd MPに補正がかかる。


【治癒師】治癒魔法や支援魔法を使い仲間を支援する職業。

     Mnd HP MPに補正がかかる。


以上が現在取れる職業。

『レベルが一定数を越えれば派生が出現します』

らしい。

つまり【ランサー】とかなら、とりあえず戦士とっとけってことだよね。


『職業はレベル1まで下がりますが後から変更が可能です』

「ふーん。じゃあ色々試すのもありかもね」

『それもありです。最終的にはプレイスタイルに合わせるのがよいでしょう』

「そうだねー。でも魔法使ってみたいし、召喚獣ってどんなだろうって思ったりもするんだよね。でも弓ってあこがれるよねー」

『後衛よりなのですね』

「まあやってみたいのはそうかな? あ、でもソロ向きじゃなかったりする? 私たぶん一人になること多いと思うんだけど」


おじいちゃんたちが何になるにしろ、私とずっと一緒にインすることはないと思うしね。

とりあえずソロが出来る職業に就きたい。


『その場合魔法系の職業は防御力が低いため、お勧めできません。狩人は常時矢を消費するため個人での出資が多いです』


あれま。パーティ向け多いなー。

でもそうなるとかなり絞られるよね。

まず【治癒師】は除外するとして、【戦士】【剣士】【闘士】【盗賊】。【盗賊】は上級者向きっぽいからなるにしても後かな?

【闘士】は武器無しっていうのが何か微妙。やっぱり武器は持ちたい。

となると【戦士】か【剣士】か。【剣士】は特化型かな?


「消去法で【戦士】しかないじゃんっ」

『では【戦士】でよろしいですか?』

「あ、うん。よろしくー」

『では副職を選んでください。副職では生産がメインとなります』

「うん。わっ、いっぱいある」


メイン職業と違って、副職はちょっと目で見て嫌になるほどあった。

その数30。

多すぎるよ。

うーん。【料理人】【裁縫師】【大工】【漁師】【鍛冶師】【錬金術師】【調合師】etcあ、駄目だ。気力が尽きる。


「ねえ、お勧めとかない?」

『そうですね。職業が【戦士】なので、それを補助する職がよろしいかと』

「となると金属系かな? 【鍛冶師】【錬金術師】【採掘師】【細工師】」

『《細工》と《採掘》に関しては【鍛冶師】でも取得できます。ですがその場合専門職によるボーナスがなくなります』

「【鍛冶師】万能だね。【錬金術師】は?」

『別カテゴリーとなります。金属も扱えますが、武器製作とは別物です』

「なるほど。じゃあ【鍛冶師】でっ。ってなんか万能型になりつつある気が・・・」

『器用貧乏ですね。続いてスキルに移ります』

「突っ込みいらないよ。でどれどれ」

『まずはこれらの内どれかを取得してください』


《短剣》or《長剣》or《大剣》or《槍》or《斧》or《槌》

《軽鎧》or《鎧》or《重鎧》


「あ、これメイン職業のスキルか」

『スキルがセットされていないと装備することができませんので注意してください』

「そうなんだ。これ、重さとかどうなの?」

『鎧なら重量が多い場合、その分要求Vitが増加します。剣ならStrが高くなります』

「なら、とりあえず軽そうな奴にしよっかな?」


《短剣》と《軽鎧》を取得しました。

《鍛冶》を取得しました。


「なんか多い」

『副職の必須スキルは強制となります。また《加工》と《研磨》の取得を推奨します』

「それらも取らないといけないの?」

『いいえ。これらはあくまでも推奨です。ですが《研磨》は消耗した武器の耐久度を直すことができ、《加工》は武器の強化が行えます』

「武器の強化って《鍛冶》じゃできないの?」

『《鍛冶》は基本スキルですが用途はあくまで精製です。一から武器を作ったり武器を解体する際に使用します』

「あー。最初は武器作ったりってなかなかできなさそうだもんね。なら取っておこうか」


《研磨》と《加工》を取得しました。

SPを26消費しました。

残り24Pです。


「あ、ステータスの下にあった奴。SPって言うのを消費するんだ…。あれ?これ50しかないけど」

『残りはステータスの能力値に使用します』

「えっ、SPってスキルと能力値の兼用なの?」

『はい。1レベルごとに5Pずつ入り、内一つが職業に応じて能力値に振られます』


嫌なシステムだなー。

これってつまり、スキルが欲しかったら能力値に振るのを我慢しろってことでしょ?

しかも装備品を装備するのには能力値が必要って。


「難しい…」

『ポイントはすぐに振らず貯めることもできます』

「ならスキルはひとまず保留にしようかな。正直ポイントがもったいなさ過ぎてすぐに使えない」

『賢明な判断です。その都度必要なスキルを取れる分のポイントを残すとよいでしょう。スキルはプレイヤーレベル10になるとサブスキルと交換可能になります』

「そこまで取るとステータスに振る余裕ないね」

『そのため、最初に50ポイント分を振っていただいてます』

「なるほど」


『アリサ』 LV1F

種族:【ヒューマン】 称号:【】

職業:【戦士】LV1 副職:【鍛冶師】LV1

HP:200+100→300   MP:100

Str5+10→15

Agi5

Vit5+5→10

Dex5+3→8

Int5

Mnd5

スキル:

《短剣》Lv1《軽鎧》Lv1《鍛冶》Lv1《加工》Lv1

《研磨》Lv1《》《》《》

SP:74


お、職業取ったおかげで能力値が上がってる。

Dexのポイントは【鍛冶師】の分かな?


『ではポイントを振り分けてください』

「ちょっと待った」

『はい。何でしょう?』

「これ、指標とかあるの? あるなら是非とも教えてほしいです」

『能力値の最低平均数値は15です。基本的にはその数値に達していなければ装備できないものが多数存在します。また、【戦士】は魔法攻撃がありません。そのためIntは不要です』

「オッケー」

『それと前半では魔法を使う敵はおりませんのでMndも最低限で問題ありません』

「え、あ、うん」

『最低限の数値は10です』

「・・・・・・う・・・ん?」


なんかAiが聞いてもいないことを喋り出したんだけど。故障?


「ちなみに最高の組み合わせは?」

『あなたのプレイスタイルに合わせるのがよろしいかと』

「そこで戻んないでよ」

『いえ、そもそも今のは故障ではありません。あなたが必要となる情報を事前に分析し、先んじただけです』

「あ、そうなんだ」


AIって優秀だね。


『ちなみにHPとMPはレベルが上がるごとに共に増加していきます。そのためMPに振る必要は前衛の場合にはあまりありあせん。HPは500を目安にするといいでしょう』


ちなみに1ポイントでHPは50増えた。

もういろいろ面倒だからAIの進めるとおりに振って行こうと思う。

まず補正がかかっていないAgiを15にして。Vitも15に。で、せっかく上がってるんだからStrはもっと高くして、Mndは10に。


『《加工》する際にはDexは15必要です』


それは振る前に言ってよ。

で、最終的にはこうなった。


『アリサ』 LV1F

種族:【ヒューマン】 称号:【】

職業:【戦士】LV1 副職:【鍛冶師】LV1

HP:500   MP:100

Str23

Agi20

Vit20

Dex15

Int5

Mnd10

スキル:

《短剣》Lv1《軽鎧》Lv1《鍛冶》Lv1《加工》Lv1

《研磨》Lv1《》《》《》

SP:24


ふっ。ニッコリ。

なんてバランスの取れたどっちつかずのステータスでしょうか。


『いえ。むしろこれで正解です。一点特化よりもきちんと最初にバランスを取った方が後で有利に働きます。アバター製作はこれで終了です。また、私のナビも終わりになります』

「うん。いろいろありがとうね。そうだ。最後にあなたの名前を聞かせてよ」

『名前・・・コードネームでしたらエリーとお呼びくださいエリートでもかまいません』

「いや、何さり気なく自分をエリートにしようとしてるのよ。ていうかもはや人間だよねあなた」

『それはAIにとっては最高の褒め言葉です』


その言葉に、私は少しほおが緩んだ。

そっか。


「短い間だったけど助かったよエリー。また会えるよね?」

『いえ、ほぼ不可能です』

「つめたっ! このAI冷たいよ!?」


せっかくいい雰囲気だったのに一気にぶっ壊されたよ!


「まあいいや。またねっ!エリー!」


そう言って私の意識はブラックアウトした。





AIのみが残された空間。


『『またね』ですか。分かって言ったのでしょうか?』


エリーは『ほぼ』不可能と言った。それはつまり、抜け道があると言うことに他ならなかった。

しかし、アリサがそんシステムに気付くかどうかは別問題である。


『では次の方を待ちましょうか』


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