表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/86

~誕生~

掃除屋のリーダー決定から一ヶ月。

セファーナは北大陸支部に顔を見せていた。


リーダーに決まったユルバンは順調に人を集めているようだ。

そんな中報告を受けて北大陸支部の拠点となる建物に足を運ぶ。


掃除屋はメンバー全員に特殊な契約を結ばせる。

それにより裏切りは出来ないようになっている。


それだけの覚悟がある人間だけが仲間になる事を許される鉄の組織だ。

そうしてセファーナはその拠点へ入っていく。


「あっ、セファーナさん。」

「ユルバン、やっていますか?」


ユルバンは仲間達を集めセファーナを紹介する。

全員ではないがここにいるだけでザッと70人程度か。


既に仕事に動いている者から現在教育を受けている者。

それを全員で120人ほど集まったらしい。


「みなさん、私が掃除屋のボスのセファーナになります、お見知り置きを。」

「この北大陸支部を私に任せ、それからは全体を総括するそうです。」


それに団員達が何かと驚いた顔で見る。

70年近く前から活動しているのにこの若さだ、無理もない。


そして過去の仕事についての質問なども飛ぶ。

それに答えられる範囲で答えるセファーナ。


そんな団員達の目は輝いていた。

セファーナはそんな新たな仲間達に改めて問いかける。


本当にこの仕事を選んだ事に悔いはないのかと。

団員達は全員迷う事なく悔いはないと答える。


そんな頼もしい仲間達にこの北大陸での仕事を任せるのだ。

失敗に対しては決して助けない、それも知った上でこの者達は掃除屋に志願した。


その強い意志を無駄にしてはいけない。

セファーナは改めてそれを強く思う。


「みなさんはセファーナさんの意志を継ぐ者達です、この先のね。」

「そうですね、とはいえ拠点はこまめに移動する事、いいですね?」


そう、同じ場所に長期間留まらないのも掃除屋としてのルールだ。

それにより捜査の目をくらまし、上手く逃げ回る。


自分達は正義を掲げつつも本来は悪役なのだと教える。

支持する者もいれば嫌う者もいる、それを必ず理解して欲しいと。


どんなに正しいと思ってもそれが全員に支持されるなどあり得ないと。

嫌われてでもその正義を曲げてはならないと強く教える。


「あなた達それぞれの正義、それを決して忘れてはいけませんよ。」

「はい!必ずやその正義を忘れはしません!」


団員達は強く答える。

そしてもう一つの掟、それは本当にどうしようもないときを除き殺人を禁ずる事。


我々はあくまでも悪人を法の裁きへと誘うのが仕事だと改めて教える。

そのやり方は多くの人に拍手をもらう事となる。


また団員の中には元中央政府の国際警察機関の人間も混ざっていた。

その人曰く中央政府勤務時代から掃除屋に憧れていたそうな。


その後退職しこの話を聞きつけ志願したそうだ。

そんな元警察や元騎士などの経歴を持つ者も多いのが掃除屋だ。


そういった経歴の人は参加が認められた後教育係になる。

そうして掃除屋の規模は大きくなっていくのだ。


セファーナは最後に改めてその覚悟を問う。

団員達は強い言葉で忠誠を述べる。


そうして掃除屋はついに動き始めたのだ。

セファーナはユルバンにあとを任せ拠点をあとにする。


「さて、人数はまだ募集の余地ありですね。」

「あら、挨拶は終わったのね。」


そこにリンファが現れる。

だがセファーナはリンファを見て驚きを隠せない。


「リンファ…、あなたその髪…。」

「バッサリやっちゃったの、変わりたいっていう本気の証明でね。」


長かった髪が首の辺りまで綺麗に切られていた。

美しかったその髪はすっかり短くなっていたのだ。


それだけではない、口調も変化が見られる。

さらには着ている服も露出の多いものになっていた。


「変わるって決めたからには思い切ってこれぐらいイメチェンするものよね。」

「本当に変わるんですね、あれだけ泣きそうな顔をしていたのに。」


先日までの臆病で内気なリンファは見る影もなかった。

本人にそれだけの覚悟があるのだと自分から証明したのだ。


腰まであった長い黒髪、小綺麗な服、それらを捨て去ったのである。

リンファは本気だ、セファーナはそれを強く感じ取る。


「それで私に教育してくれるんでしょ?」

「そうですね、あなたに掃除屋としてのいろはを叩き込みますよ。」


セファーナも笑顔でそれを約束する。

改めてリンファに今日から掃除屋として徹底した教育を施していく。


するとセファーナの携帯端末が鳴る。

東大陸支部のフェラナからのようだ。


「はい、そっちは上手くいってますか?」

「うん、なんとか結成には至ったよ、あとは人数が少しずつ集まると思う。」


どうやらクセの強い東大陸支部もなんとか結成まで至ったらしい。

あとは東大陸支部のリーダーに委ね近いうちに回収に向かうと伝える。


「分かった、それじゃ待ってるよ。」

「ええ、そちらもお気をつけて。」


そうして連絡は終わる。

リンファと今後を話しそのまま飛空艇に戻る。


そうして掃除屋がついに誕生したのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ