~結果~
ユルバンとの接触から一ヶ月。
セファーナは彼にテストを行い、結果を伝える事に。
ちなみに試験のターゲットにしたのは彼の母国の政治家だ。
情報屋から提供してもらった情報を元に相手を決めた。
その相手を一週間で逮捕に追い込めというのがテストだ。
ユルバンはそんなテストに緊張して望んでいた。
だが手際は見事なものだったらしい。
そうして結果が言い渡される。
「結果は合格です、これなら信じるに値するでしょう。」
「ありがとうございます!これで私も…。」
そう、これでユルバンは北大陸支部のリーダーになる。
そしてセファーナは彼の腕を評価する。
「あなたは確実に情報を集め逮捕に追い込んだ、見事でしたよ。」
「はい、ターゲットが決まっていた以上楽な仕事でした。」
最初から狙いが決まっていれば意外とスムーズに進む。
それはセファーナも今までの仕事から知っている事だ。
だがユルバンの仕事はここからが始まりである。
北大陸支部のリーダーとして組織を結成せねばならない。
それは教育を任されるという事である。
だがユルバンはそんな期待にも応えてくれる、そう思っていた。
「ではこれからあなたはこの北大陸支部を大きくしてもらいます、いいですね?」
「はい、お任せを、必ずや掃除屋の北大陸支部を立派にしてみせます。」
最初に募集をするのはリーダーだ。
それを決めた後にその人物を中心とし組織化する。
仲間になる人物の経歴は問わない。
ただ本気であるかどうか、それだけが大切だ。
セファーナはそんな掃除屋をドンとして大きくしていかねばならない。
組織の長でこそあるが、仕事の失敗に対し助けを出す事は絶対にしない。
それはユルバンにも必ず守らせる。
あくまでも失敗に対し助けを出さない、それだけである。
組織は大切にするし定期的に支部に連絡も入れる。
だが仕事に対しての助けは一切入れない。
それが掃除屋の鉄の掟と最初から決めていた事だ。
冷酷と言われても、悪魔と言われても、組織を維持する上での大切な事だからだ。
「それではまずこの北大陸支部で人員の募集をかけますか。」
「でもどうやりますか?また裏の斡旋所でも利用するんですか?」
募集の方法は最初から決めている。
それをユルバンに伝え実行させる事に。
「やり方はこれを利用してください、これなら人も集まるはずですよ。」
「なるほど…、この手がありましたか。」
そのやり方にユルバンも驚いているようだ。
これからその秘密のやり方を使い人を集める事となる。
「では一ヶ月後に再び顔を見せます、そのときに何人集まったか報告を頼みます。」
「分かりました、必ずや組織として報告させていただきます。」
あとはユルバンに組織結成を委ねる。
セファーナはボスとして各地の支部に勇気を与える存在になりたい。
もちろん自分も仕事を休むつもりはない。
だが今は仕事よりも組織を大きくする事が最優先だ。
掃除屋の旗揚げはまだ始まったばかり。
本格的な組織化はここからである。
「では私は早速仕事を始めますね、それでは一ヶ月後にお会いしましょう。」
「ええ、頼みましたよ。」
そうしてユルバンはその場をあとにする。
するとセファーナの携帯端末が鳴る。
「はい、おや、ヘイロンですか、そっちはどうですか?」
「西大陸支部もリーダーの合格決まったよ、そっちは?」
どうやら西大陸支部も無事にリーダーが決まったようだ。
北大陸支部も無事に決まったと報告する。
「分かった、そんじゃ私は次のステップに移るね、またあとで連絡するから。」
「はい、そちらも抜かりなく頼みますね。」
そう言って通信を切る。
すると再び携帯端末が鳴った。
「はい、今度は四葉さんですか、そっちはどうでしたか?」
「こっちも無事に南大陸支部のリーダーは決まりましたよ。」
どうやら南大陸支部の方も抜かりなく進んでいるらしい。
セファーナはとりあえずは一安心をする。
「あとは次のステップに移ります、数日後に再び連絡しますので。」
「分かりました、では抜かりなく進めてください、それでは。」
そうして南大陸支部の方も無事に決まったらしい。
あとは東大陸支部を任せたフェラナだ。
東大陸は厄介な国も多く簡単にいかない事はチームの全員が知っている。
とはいえ東大陸はそんな国に不満を持つ国民が多いのも調査済みだ。
フェラナの仕事に期待しつつも今は連絡を待つ事に。
一旦飛空艇に戻りフェラナからの連絡を待つ。
飛空艇に戻るとシスシェナが飛空艇の手入れをしていた。
思えばこの飛空艇とも長い付き合いになったものだ。
「お帰り、各大陸支部に行ってる奴らからは連絡入ったわよ。」
「そうですか、フェラナさんからは何かありました?」
難航が予想される事もありそれを尋ねる。
シスシェナは笑顔でそれに答える。
「東大陸支部は少し遅れたけどテスト始まったってさ。」
「分かりました、ではあとで連絡を待ちます。」
そうしてその組織は静かに旗が上がる。
掃除屋の誕生までもう少しだ。
長年の夢が今成就されようとしている。




