~常夏~
ステイシルの一件から数日。
セファーナ達は南国シュリックに来ていた。
この国は常夏の地であり太陽の日差しが眩しい国だ。
そんなこの地で今回の仕事は行われる。
目的を達するその日まで果てるわけにはいかない。
だからこそ今はその正義を貫き続けるのだ。
「さて、そんじゃ行こうか。」
「ですね、この国のそれを成敗するために。」
この国は大統領制の国だ。
過去にもそういう国はあったので、その事は理解している。
ヘイロンと四葉は今回もそんな情報を得るべく行動を開始する。
目的地はいつものように裏通りだ。
裏通りにあるおもちゃ屋の前にやってきた二人。
ヘイロンはその店へと入っていく。
「いらっしゃいませ、何かお探しですか。」
「鷹のおもちゃあるかな。」
その言葉に店主の顔色が変わる。
そして二人は店の奥に通される。
「さて、何が欲しいんですか?」
「この国の政治家かそれに関係するやつで特に黒いの。」
そう言うと店主は奥の引き出しから一つの書類の束を持ってくる。
どうやら今回の黒い相手のようだ。
「これは…、国防長官ですか。」
「そうですね、二年前ぐらいからどうにも売国の動きがあるんです。」
どうやらその国防長官は二年前辺りから怪しい動きをしているという。
噂では外国と繋がりこの国に他国のスパイを招き入れているらしい。
なぜそんな事をするのかは不明だそうだ。
だが買収されている可能性もありそれがこの情報だ。
「やはり買収を…。」
「そうと見て確定でしょうね、どこの国にもそういう人はいるものです。」
やはり買収されているのか。
その筋が濃厚との事で国内でもそれを探っているらしい。
誰よりも先にそれを密告する、それがセファーナ達の仕事だ。
今回の相手は国防長官、国の大物である。
「なんにしても国防長官は遅かれ早かれ逮捕はされると思いますよ。」
「ならそれを早めにするだけですね。」
四葉もすっかりこのチームに染まっていた。
彼女の正義は確かにそこにあるのだから。
目の前で悪を見続けたその目は歪な正義を宿している。
誰よりも悪を憎む歪な感情だ。
四葉の持つ正義は環境が生み出したものなのだから。
セファーナとは違う形の歪な正義、それは似て非なるものである。
「それにしても世界にはこういう人が溢れているんですね。」
「全部の人が品行方正とはいかないものです、それが人ですよ。」
それは正論だった。
人には悪人も善人もいるのは当然である。
「さて、それでそれを買ってくれるんですか?」
「なら買おうか、おいくらかな?」
その問いに店主は金額を提示する。
その提示額は27000ほどである。
「オーケー、ならそれで買おうか。」
「どうも、では確かに受け取りましたよ。」
そうして情報を手にした二人。
だがこれで完全ではないのはいつもの事である。
そうして店主に礼を言い店をあとにする二人。
情報屋の情報網を実感させられる話でもあった。
「さてっと、ジュースでも飲んでから帰るかね?奢るよ。」
「では甘えておきますね。」
そんなわけで南国のフルーツジュースを買い飲み干す二人。
冷たいジュースは南国の味がした。
そうして二人は飛空艇に戻る。
飛空艇に戻るとシスシェナが待っていた。
「お帰り、情報は買えたかね。」
「モチのロン、ほら。」
そう言って袋を手渡す。
ヘイロンの力は偉大だと改めて思う。
「そんじゃ私は部屋に戻るわ、あとは任せた。」
「では私も戻りますね。」
そう言って二人は部屋に戻っていく。
そしてそれに合わせるようにセファーナが戻ってくる。
「あ、情報は手に入ったんですね。」
「ええ、はい。」
袋を受け取り中身を確認する。
確認を終えると部屋に戻り情報の精査をする事に。
シスシェナも今のメンバーを見て遠いところまで来たのだと実感する。
仕事を始めて40年がもうすぐ経過する。
このチームもすっかり熟練揃いである。
そんな今を噛み締めるのも大切だ。
そんなタイミングでレイネが戻ってくる。
「あら、ノスタルジックかしら。」
「まあね、あたし達も遠くまで来たわよね。」
レイネもそれには同意する。
あの大地震から30年が経過しているというのも、時の流れを感じさせる。
「でもこれからもそんな支えになる、でしょ。」
「そうね、あたし達はそうあり続けるだけよ。」
それは変わらぬ決意だった。
これからもそんな正義を貫くという決意である。
「それじゃこれからもね、今夜は少し美味しいものでも作るわ。」
「ええ、頼むわね。」
そう言ってレイネはキッチンへ向かう。
シスシェナもこの先の事を考える事にした。
その一方でセファーナはフェラナと情報の確認をしていた。
「どうでしょう。」
「これは黒で確定だろうね、国内でも探られるぐらいだし。」
今回の相手も黒だという。
そうして今回のターゲットは国防長官に決まる。
その正義は常に何かを見ているのだから。
 




