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~家族~

レムリ王国滞在六日目。

街は官房長官の逮捕に騒然としていた。


国もその対応に追われ説明が行われるまで時間を要しそうだ。

それと同時に娘の行方も報じられていた。


何者かに殺害された、誘拐されたなど憶測が飛び交う。

だが民も国の人間も知らない、やったのがその娘だという事を。


「本当にこれでよかったんですか?」

「はい、やった事は許されてはいけませんから。」


四葉ははっきりとそう言う。

家族だから、そんな理由で見逃してはいけないと考えていた。


官房長官は何者かがハメるためにやったと無実を主張する。

だがその証拠は本物であり、言い逃れにはならない。


同時に娘の事も心配していた。

本当に娘を溺愛していたと分かる話だ。


とはいえ四葉は自分なりの正義を持っていた。

それは国の政治家である以上国の利益のために働くべきと。


それなのに敵国と裏で繋がり不利益にしていた父。

それを許せないからこそセファーナ達の仲間になったのだろう。


父親だからといってそれを見逃したら自分も罪人だ。

四葉は逮捕の前にそうも言っていた。


「私はみなさんと一緒にこの国を去りますから。」

「本気なんですね、なら止める理由はないです。」


セファーナも四葉の覚悟を尊重している。

とはいえ仕事のためには、それを教育せねばならない。


技術はカリーユに教えさせればいいと考える。

今のカリーユはセファーナに負けない技術を得ているからだ。


そうして官房長官の娘は誰にも知られないままこの国を去る事になる。

顔を知っているのは家政婦や政治関係者などだ。


報道で写真も出回っているが街の人がそれに気づくのは難しい。

今回の一件は黒羽の使者がやったとなっている。


だがそれに手を貸したのは官房長官の娘とは誰も知らない。

まさか溺愛していた娘が父親を逮捕させたとは知らないのだ。


四葉がこの国を去れば報道も収束していくだろう。

そして四葉は死亡扱いにされるか、それとも拉致扱いにされるか。


どっちにしても四葉の事は次第に忘れ去られるだろう。

国が国際的に探すとも考えられなくもないが。


だからこそ特定の土地に留まらないセファーナ達はちょうどいいのだ。

拉致扱いにされても犯人が特定出来ない以上国を相手に出来ないからである。


どこかの国でそれを見たと言われても一週間程度で次の国へ移動する。

それが捜索をより困難にするからだ。


「私は政治家の娘である以上、国を売るなんて許せませんから。」

「四葉さんは四葉さんの正義があるんですね。」


四葉はどこか悲しそうな顔もしていた。

だが父のした事を許してはいけないと考えた上での今回の一件だ。


四葉はセファーナ達と共にこの国を去り世界に羽ばたく。

その覚悟はとっくに決まっているのだ。


「最後に訊きます、本当に一緒に来る事に迷いはないですね?」

「もちろんです、その覚悟で仲間になったんですから。」


四葉ははっきりとそう言い切った。

ならばこれ以上は何も言うまい、セファーナはそう決めた。


「それじゃ戻りますか。」

「ですね、戻りましょう。」


そうして二人は人混みに紛れ飛空艇に戻る。


飛空艇に戻るとシスシェナが待っていた。


「おう、お帰り、仕事は無事に終わったのね。」

「はい、特に問題なく。」


そしてシスシェナは次の目的地を尋ねる。


「次ですか、ならヴァンハイト王国に行こうと思います。」

「了解、なら準備しとくわ、あんた達は休んでおくのよ。」


そう言ってシスシェナは準備に向かう。

そこにカリーユが姿を見せる。


「お、無事に終わったのか。」

「はい、四葉さんも正式に仲間にしますよ。」


カリーユはそれを受け入れる。

とはいえ四葉にとっての王子様なので隙は見せないようにする事に。


「それでは四葉さんの教育はカリーユに頼みますね、主に技術面の。」

「分かったよ、僕とレイネで教育すればいいんだろ、それじゃ行くぞ。」


そう言ってカリーユは四葉を連れて部屋に戻る。

そのタイミングでヘイロンが姿を見せる。


「あのお嬢様役に立ちそうかね。」

「そうですね、きちんと技術を身につけさせれば使えると思いますよ。」


ヘイロンはそんな彼女の育成には特に反論はしなかった。

それどころか楽しんでいる様子さえ覚えているようだ。


「まあ本格的に仕事を任せるのはもう少し先かね、そんじゃきちっと育てなよ。」


そう言ってヘイロンは部屋に戻っていく。

そのタイミングで今度はレイネが戻ってきた。


「あら、仕事は無事に終わったのね。」

「はい、四葉さんも正式に仲間になりましたし。」


レイネもそれは歓迎のようだ。

教育係として腕が鳴るのだろう。


「ならきちんと教育しなきゃね、任せなさい。」

「ええ、頼みますね。」


レイネも楽しそうにしている。

世話焼きな性格は昔のままのようだ。


「それじゃ私はこれをキッチンに持っていくわね。」


そう言ってレイネはキッチンへ、セファーナは部屋で次の国のリサーチだ。


部屋でフェラナとリサーチを開始する。

次の目的地はヴァンハイト王国だ。


「というわけなんです、どうでしょう。」

「ヴァンハイトか、あそこは今は継承問題とかでごたついてるらしいね。」


そんなヴァンハイトの国内事情。

それならターゲットもいると確信する。


そうして次の目的地へ向けての準備は進む。

新たな仲間の四葉を加え次の国へと旅立つのである。


四葉のニュースは次第に小さくなると知っていての歓迎なのだから…。

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