~和国~
カロッサ王国の一件から数日。
セファーナ達はレムリ王国に来ていた。
この国は和の文化が発達した国で、独自の文化が強い。
民の着ている服などを見てもその文化が分かる国である。
なお極東の国ジパングとは別の国である。
この国はあくまでもレムリ王国なのである。
「さて、仕事を始めるか。」
「だね、相手が誰でも狙ったら逃がさないぜ。」
やる気満々の二人。
早速ヘイロンの仲間の情報屋に会いにいく事に。
「それにしてもこの国は独特だな。」
「とはいえジパングとは別なんだよね、独自の発展を遂げた国ってとこ。」
駄弁りつつやってきたのは服屋だった。
二人はその暖簾を潜り店に入る。
「いらっしゃい、何か入用で?」
「純白の礼装、あるかな。」
その言葉に服屋は表情を変える。
そして二人は店の奥へと通される。
「さて、何が欲しいんだい?」
「この国の政治家、または国の重要な機関の偉い奴の特に黒いの。」
その注文に奥の戸棚から書類の束を持ってくる。
今ある黒いものはこの三種類だという。
「ふむ、この中で一番地位が高い相手は誰になる?」
「一番地位が高いならこいつだ、この国の官房長官って役職だね。」
この国の政治はジパングと似ているらしい。
三つのうち一つは財務官僚、もう一つは知事、そして官房長官だ。
「ならこの官房長官の情報にする。」
「はいよ、あと小耳に挟んだ事なんだが、聞くかね?」
他にも情報があるらしい。
そっちは確信がないので確信が持てるまでは非公開、それを聞かせてくれるらしい。
「そんでその不確定な情報ってなんなのさ。」
「実はその官房長官の一人娘が行方不明らしくてね、家出だろうって言われてる。」
官房長官の娘が行方不明。
それは家出か、それとも誘拐か、少し考える二人。
「まあ見つけたら帰るように促してやんな、流石に危険だろうしね。」
「僕達は便利屋じゃないんだがな、まあ見かけたら声ぐらいはかけてやるよ。」
そうして情報屋はその情報の金額を提示する。
提示された金額は19000ほど、ヘイロンはそれに即決で金を支払う。
「ふむ、確かに、そんじゃその情報は好きにしな。」
「ああ、助かる。」
そうして二人は店を出る。
そんな中飛空艇に戻る道中で騒がしい声を聞く。
「なんだ?喧嘩か?」
「まさかとは思うけどね、行ってみますか。」
そう言って二人は街の使われていない倉庫に突入する。
そこでは女の子がチンピラに絡まれていた。
「や、やめなさい!」
「いいじゃないかよ、悪いようにはしないぜ?」
それにカリーユが一気に飛びかかる。
数人いたチンピラを瞬く間に秒殺するカリーユ。
「おい、平気か?」
「…さま。」
その少女は目を輝かせていた。
そしておもむろに口を開く。
「王子様…私の王子様!」
「は?おい、僕は女だ、やめろ!」
少女はカリーユにべったりだ。
離れてくれそうにない。
「好かれちゃったねぇ、王子様♪」
「お前な…、からかうな。」
すると少女はとんでもない事を口にする。
「決めました、私はあなた達についていきます。」
「は?待て待て、それは無理だ。」
だが少女は引こうとしない。
「もう決めたんです、駄目ですか?」
「だがな…、僕達は…。」
それにヘイロンが提案をする。
「いいんじゃね?意外と役立つかもよ?」
「はぁ、まさか僕達の事をバラすのか?」
正体を知られるのは流石にマズい。
だがヘイロンにも策があるらしい。
「そこはこのヘイロンにお任せを。」
「はぁ、好きにしろよ…。」
結局カリーユが折れた。
そうして二人はそんな少女を連れて飛空艇に戻る。
飛空艇に戻るとシスシェナが待っていた。
「あんた達、何をしたの?」
「ここが皆さんの家なんですか?」
そしてカリーユが口を開く。
「僕達は世界を騒がせる黒羽の使者の仲間だ、怖いか?」
「まあ!それは素敵!なら私も仲間にして欲しいです!」
それは思わぬ言葉だった。
単なる馬鹿なのかと思ったが、その目は本気のようだ。
「ただし口外したら海に沈める事になるわよ?いいわね?」
「構いません、こんな素敵な仲間になれるのなら秘密ぐらい死守しますから。」
その目は嘘は言っていないと確信する。
そういえば名前を聞いていないとして、名前を尋ねる。
「私は四葉、白瀬川四葉です。」
「分かった、とりあえず部屋だな、シスシェナに任せる。」
そう言うとシスシェナは家具なども調達すると言い部屋に案内する。
四葉は楽しそうにしていた、意味が分かっているのだろうか。
ヘイロンは楽しそうに笑いそのまま部屋に戻ってしまう。
そのタイミングでセファーナが戻ってくる。
「あ、情報は手に入りましたか?」
「ああ、ほら。」
その袋の中身を確認する。
確認を終えたセファーナは情報の精査をするために部屋に戻る。
それに合わせるようにレイネが戻ってくる。
「あら、何かあったの?」
「レイネ、お前に頼みがある。」
カリーユは四葉の事を説明する。
レイネに世話や教育を頼もうというのだ。
「そういう事ね、分かったわ、任せておいて。」
「ああ、それじゃ頼んだ。」
そうしてカリーユは部屋に戻る。
レイネは四葉に何かと教える事となる。
一方のセファーナは部屋でフェラナと情報を精査していた。
「これは黒で間違いないですね。」
「そうだね、売国奴か、最適な案件じゃないか。」
ターゲットの罪は売国らしい。
過去にも経験のある事例なので、今回も狙いは決まった。
そうして思わぬ仲間を得たセファーナ達。
その世間知らずのお嬢様に手を汚させる事となる。
若い力が加入したそのチームはさらに飛躍していくのである。
 




