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~追放~

カロッサ王国滞在六日目。

街は例の外交官の逮捕に騒然としていた。


さらに街に住む例の民族が騒ぎ立てていた。

メディアも困惑した様子でその様子を伝えていたという。


この逮捕により追放派の国王候補の支持率が急上昇したという。

黒羽の使者の仕業だが、候補は繋がりは一切ないと潔白も証明済みだ。


「とりあえず終わりましたね。」

「だね、あいつらがこの国を追放されるのを願ってるよ。」


ヘイロンもその民族とは何かとあるらしい。

過去に仕事でもめた事があるらしく、その民族への嫌悪感は強いらしい。


「私もさ、信頼を商売にしてる以上、あいつらとは二度と関わりたくないよ。」

「そんなにもめたんですね。」


その民族は外国でもトラブルが絶えないとは聞いている。

実際外国のトラブルの多くはその民族とその隣国の民族らしい。


民度が低くルールを守れない。

それが世界各地でトラブルを引き起こす原因なのだとか。


ヘイロンもそんな連中とは関わりたくないと心底思う。

それが一度でも関わった事で感じたものだ。


そいつらは自分達では何も出来ないとも聞いている。

それなのに嘘を言い回り、仕事を受けては劣悪なものを作るとか。


嘘も言い続ければ真実になる、そんなことわざがあるぐらいだとか。

それは世の中声の大きい人間が正義なのだと暗に示している。


大きな声を上げ続ければ人はそれを信じる。

そうして自分達を正当化しているのである。


「あいつらになめさせられた辛酸は二度となめたくないよ。」

「ヘイロンさんも苦労していますね、情報屋というのも楽じゃなさそうです。」


あいつらは常に自分達が被害者だと思い込む。

自分達は悪くないのだと信じ込むらしい。


常に相手が加害者で、自分達が被害者。

そんな被害妄想の塊な民族らしい。


「結局さ、手を出した奴が加害者なんだ、それが被害者とか笑っちゃうよね。」

「被害者に冷たい、そんなのおかしいですよね。」


今まで見てきた国も被害者は基本的に保護される法律があった。

加害者には罰が科せられるし、見ている人もいるのだ。


それでも声を大きくして言い続ければ立場は逆転する。

本気でそう信じているのだろう。


自分達は何をしても悪くない、自分達は被害者だ。

その図々しすぎる精神には恐怖すら感じてしまう。


善悪の区別がついていないのか?

それとも精神的な異常があるのか?


そんな理解不能な精神構造だとヘイロンは言う。

そのうち科学的に解明されるかもしれない、ヘイロンはそんな風に皮肉った。


「ヘイロンって世間を斜めに見てますよね、でも真面目で。」

「私は仕事の都合で嫌なもんも見過ぎてる、そりゃそうもなるっての。」


仕事で嫌なものをこれでもかと見ている。

それは世界を斜めに見させるにはじゅうぶん過ぎる話だった。


見たくないものも見るし、嫌なものとも付き合わないといけない。

それは世間への視点を斜めにしたのだろう。


とはいえ現実は理解している。

斜めに見ていてもそれを憎むような真似はしない。


それが情報屋としての務めである。

どこか不思議な空気もそんな人との付き合いが作り上げたのだろう。


「さて、そんじゃ戻ろうぜ。」

「ですね、戻りましょう。」


そうして二人は飛空艇に戻る。


飛空艇に戻るとシスシェナが待っていた。


「お帰り、その様子だと無事に終わったのね。」

「ええ、この国も元の形に戻るといいのですが。」


そんな中シスシェナは次の目的地を尋ねる。


「そうですね、ならレムリ王国に行きます。」

「はいよ、なら準備しとくわ、あんた達も休むのよ。」


そう言ってシスシェナは部屋に戻る。

ヘイロンものんびりしたいと言って部屋に戻っていく。


するとカリーユが顔を見せる。


「無事に終わったんだな。」

「ええ、カリーユも仕事は覚えましたし、教える事はもうなさそうですね。」


それは信頼の言葉だった。

カリーユはそんなセファーナを信頼しているのだろう。


「ふん、僕も馬鹿じゃない、言われたからには遂行してやる。」

「頼もしいですね、立派に育って嬉しいです。」


カリーユも照れ隠しなのだろう。

だがお互いの信頼は確かなものである。


「それじゃ次の国でも仕事だな、無理はするなよ。」


そう言って部屋に戻っていくカリーユ。

そのタイミングでレイネが戻ってくる。


「あら、仕事は終わったのね。」

「はい、レイネさんも問題はなさそうですね。」


レイネの働きっぷりも立派なものである。

行く先々の国での資金調達は今ではレイネの仕事なのだから。


「ふふ、これでも世渡りは得意よ、任せなさい。」

「はい、信頼していますよ。」


信頼の言葉を贈るセファーナ。

レイネも嬉しそうだった。


「それじゃこれはキッチンに運んでおくわね。」


そう言ってキッチンに向かうレイネ。

セファーナも部屋に戻ってフェラナと共に次の国の事をリサーチする。


「次はレムリ王国ですね。」

「レムリか、あそこは和の国として有名だよ、独自の文化がある。」


レムリは和の国らしい。

今まで以上に面白いものが見られそうである。


そうして次の国への準備は進んでいく。

組織化という目的を胸に、今はその正義を果たすのみである。


歪んでいてもその正義は確かに誰かを救っているのだから…。

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