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~兵士~

ワイマール王国滞在三日目。

セファーナ達は苦戦しつつも情報を集めていた。


流石は大国だけあり今まで以上に苦戦を強いられる。

だがそれでも着実に情報が集まっている。


情報を集めるセファーナ達は国の内情を探りつつ裏も取っていく。

セファーナとカリーユは慎重に情報を集めていく。


「ふぅ、今回は簡単にはいきませんね。」

「そりゃそうだろ、仮にも大国なんだからな」


セファーナもそれは承知していた。

だがそれでもやると決めたのだ。


「とにかく少し街を歩きますか。」

「だな、何かあるかもしれないしな。」


そう言って街を歩き始める。

すると路地の奥の方から話し声が聞こえてきた。


「何か聞こえますね…少し近づいてみましょう。」

「気づかれるなよ、逃げる準備はしておけ。」


そうして路地に入っていく二人。

路地の奥では国の兵士らしき人が何かを処分しているようだ。


「命令とはいえこいつを処分していいのかな…。」

「やるしかないだろ、自分達はしょせんは下っ端なんだ。」


どうやら何か処分に困るもののようだ。

袋から紙らしきものを取り出す二人の兵士。


紙のサイズからして何かしらの書類だろう。

勘付かれないように様子を窺う。


「…でもどうやって処分する?燃やすのか?」

「燃やしたらボヤ騒ぎになるよな…放置していくか?」


この場所が場所だけに処分の方法に困る二人の兵士。

路地裏なのでゴミを捨てても気づかれにくくはある。


「うーん、流石に燃やしたら騒ぎになるし此処に置いていくか、それがいい。」

「それしかないよな…放っておけば誰かが代わりに処分するだろ。」


そう言って二人の兵士はその紙袋に入った書類らしきものをその場に置く。

そうして兵士達は路地を出て仕事に戻っていった。


セファーナ達は兵士達を見届けた後路地に戻り、その袋を確認する。

中身は睨んだ通り知られるとマズイ書類だったと見て間違いない。


その袋を密かに回収し何食わぬ顔で路地をあとにする。

その後人気のない裏通りでその袋の中身を再度確認する。


「やっぱりこれは重要なものみたいですね。」

「日付を見ろ、五年前になってる。」


その書類は五年前の日付になっていた。

文面を確認すると五年前の殺人事件の調査書類だと分かる。


最後の文字は無念の捜査打ち切りと書かれていた。

恐らく犯人を特定するあと一歩のところで突然打ち切られたと察する。


つまりこれは当時の捜査書類だ。

今になって処分を何者かが命じたのだろう。


突如浮上した五年前の犯人が大臣という疑惑。

大臣を毛嫌いする議長、その存在がこの書類を重要なものと感じさせる。


国の捜査機関に圧力をかけ当時の書類などのデータを処分させる。

それが出来るのは国の権力を行使出来る存在に他ならない。


セファーナはこの書類を回収し精査する事にした。

情報としては有力と見て間違いないだろう。


あとは疑惑を確かなものにすれば仕事は大きく前進する。

残りの日数も考慮し疑惑を確かなものにするべく調査を続ける。


その後も情報を集めつつ街を歩く。

そうして今日はいったん飛空艇に戻る事とする。


飛空艇に戻るとシスシェナがいつものように出迎えてくれる。


「お、お帰り、収穫はあったかしら。」

「はい、多分重要な情報だと思います。」


その事を説明するセファーナ。

シスシェナは慢心と過信には気をつけろと言い叱咤激励する。


その後セファーナは部屋に戻りフェラナと一緒に精査する事となる。

カリーユは部屋に戻って勉強だ。


そのあとちょうどいいタイミングでレイネが戻ってくる。

シスシェナに頼まれたお酒も買ってきたようだ。


「戻ったわよ、頼まれてたお酒も買ってきたわ。」

「お、サンキュー、感謝するわ。」


レイネもセファーナの事は心配していた。

今までやってきた事の影響も考えていたからだ。


「まあ、あの子も辛いとこから立ち直ったもの、信じるしかないわ。」

「そうね、でも彼女の心はもう歪みきっている、そうも感じるわ。」


それは当たっていた。

今までの事を考えれば、その心はとっくにおかしくなっている。


それでも彼女の正義を信じ、共についていこう、そう決めたのだ。

だからこそどんなに歪んでいようともそれを信じ続ける。


それは覚悟であり自分達も歪んでいるという事でもあった。

だがそんなのは今さらである、もう決めた事なのだ。


「それじゃ食材はキッチンに持っていくわね、お酒は夕食の後にね。」

「はいはい、晩酌の楽しみって事でね。」


そう言ってレイネはキッチンに食材を運ぶ。

シスシェナも今後の予定などを立てる事に。


一方の部屋ではセファーナとフェラナが書類を確認していた。


「どうですか、これは。」

「これは有力な情報と見て間違いないだろうね、改竄かいざんされた形跡もないし。」


フェラナは一目でそれを確信する。

彼女は様々な場所を瞬時に確認し手を加えられていないかを見抜いた。


とりあえずはこの書類を保管し明日以降も情報収集をする事に。


そうして日が暮れていき夜になる。

食事を済ませ明日以降に備え英気を養う。


この大国での仕事を成功させるべく、その鎌は確実に首を狙っているのだ…。

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